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2018/04/15 (Sun)03:12
The Elder Scrolls IV: Oblivion
Fan Fiction "Crossing Over" #3
Fan Fiction "Crossing Over" #3
- エルダースクロールズ4:オブリビオン -
Side Story【クロッシングオーバー】
第三話 「集結前夜」
皇帝ユリエル・セプティム七世暗殺の報がシロディールに広まってから、間もなく半月が経とうとしている。
帝都の西方、コロールに近いウェイノン修道院に仕える修道僧ジョフリーは、帝国を揺るがす一大事件を伝える黒馬新聞の記事から目を離し、鼻根を揉んだ。目を痛めたのは、たんに老齢による視力の低下だけが原因ではないだろう。
『皇帝、暗殺さる!』
衝撃的な見出しではじまる号外記事には、皇帝と、三人の皇太子が謎の暗殺集団の手によって命を落としたことが記されていた。新皇帝即位までの政権を元老院が代理で担う、帝国軍は事件に関する報道を規制する動きを見せている…といったような具体的な記述が続くにつれて、このニュースがたんなる誤報や悪戯ではないかというジョフリーの希望的観測は早々に失せてしまった。
「なんということだ…」
すでに直系の後継者たる皇帝の血族は存在せず、悉くが暗殺者の手にかかったことは新聞に報じられている通りだ。
それでもジョフリーには一人、その資格に値する者に心当たりはあったが…
沈痛な面持ちで帝国の行く末を案じるジョフリーだったが、一人の若者…同じく修道院に仕える僧、同志のピナールが大声をあげながら階段を駆け上がってきたのを見て、なにごとかと眉をひそめた。
「大変ですジョフリー様、門の近くで人が倒れています!」
「なんだって?」
報告に来る手間でどうして介抱しないのか、という言葉が喉まで出かかったが、たんに気が動転している以上の理由があるようだと察したジョフリーは同志ピナールのあとに続いて外へ出る。
そこで倒れていたのは、黒い装具に身を包んだ小柄な戦士…ちびのノルドであった。
一切の武器を携帯していないが、戦いで武器を失ったようには見えない。外傷や出血は見当たらず、野盗やモンスターの類に襲われたわけではないようだった。
一見してそれらの特徴を捉えたジョフリーはしかし、彼女の傍らに転がっている宝石細工を見て驚きの声をあげた。
「こ、これは…王者のアミュレット!」
「失敗した、で済まされると思っているのか、この大馬鹿者が!」
「スイマセンでしたッ!!」
薄暗い穴蔵の奥深くで、何者かの怒声が反響した。
帝都地下下水道…都市環境を支える重要な生活インフラ施設にして、複雑に張り巡らされたその構造はちょっとしたダンジョンになっている。凶暴な巨大ドブネズミ、マッドクラブが棲息しているほか、武装したゴブリンが潜んでいることもあり、その危険性から内部構造を把握するのは至難である。
それを利用し、しばしば犯罪者や人ならざる者の隠れ家として使われることもある。
帝都転覆を目論む秘密結社“深遠の暁”もまた、人目を避け潜伏するためにこの地下下水道を利用していたのである。
タロス広場地区とエルフガーデン地区の間に跨る通路の中継地点に、彼らのアジトの一つがあった。壁には深遠の暁のシンボルが刺繍されたタペストリーが掛けられ、ベッドや本棚といった調度品が、数は少ないながらも几帳面に並べられている。
組織の幹部であり、教祖マンカー・キャモランの息子でもあるレイヴン・キャモランは、目前の若者…監獄を脱出したちびのノルドに睾丸を蹴られ、ルマーレ湖に投げこまれ、命からがら舞い戻ってきた暗殺者エロール・ヴェスイウスを前に、不愉快極まるといった表情を崩さない。
「寝坊して作戦に参加できず、さらには王者のアミュレットを持った無頼者をみすみす取り逃がした、だと…貴様のような無能者が組織にいたこと、それ自体を私はいま恥じているところだ!」
「ぐっ…!うう……っ!!」
恫喝するレイヴンに、エロールは反論する術も余地もなく、ただひたすらに膝を折り、平身低頭するしかできない。
さらにレイヴンは続ける。
「そんな役立たずの貴様でも、襲撃作戦にさえ加わっていれば、せめて仲間の盾くらいにはなれたものを…ブレイズと渡り合い、見事皇帝を討ち取りながらも、その命を散らした仲間たちに申し訳が立たぬとは思わぬか!そうであろうが、この恥晒しめ!」
「申し訳ありません…本当に…なんとお詫びすればいいか……」
「もう侘びで済まされる段階など、とうに過ぎておるわ!我が偉大なる父上も、貴様の失態には心(しん)の底から失望されておる!よって、たったいまより貴様は破門とする!」
「は、破門っ!?それだけは、どうか、それだけはッ!!」
「聞く耳持たぬわ!どこへなりと失せるがいい、それと…今後はせいぜい、身の安全に気をつけて生きることだな!」
「まっ、待ってください!レイヴン様ぁ!」
エロールはぶざまな醜態を惜しげもなく晒してレイヴンの膝にすがりつくが、すげなくあしらわれ、傍らに控えていた信者に追い返されてしまう。
かつての仲間が向けてくる侮蔑の視線を背中に受けながら、エロールはふらふらと立ち上がり、アジトから出ていった。
「どうしよう。これから…」
取り返しのつかない失態を演じ、組織を追い出されてしまったエロールは、今後の見通しも立たぬままふらふらと帝都を彷徨う。
…とりあえず、家に帰って寝るか。
そう思い、自宅のあばら家がある帝都港湾地区のスラムへ向かおうとした、そのとき…なにやら騒々しく駆け回る人波が見え、なにごとかとエロールは顔を上げた。
時刻は夕方、すっかり空は赤く染まっていたが、そのルビー色の輝きはたんに太陽の明るさ以上のものに見えた。まるで空が燃えているような…そして、濛々と立ち昇る黒煙さえ見える。
「…本当に何か燃えてるぞ」
まさか…?
嫌な予感をおぼえ、エロールは野次馬たちを脇にどけながら、駆け足で自宅へと向かう。
「お、俺の家があアアァァァァァッッ!!」
物凄い勢いで炎に巻かれ、燃えさかる自宅をまえに、エロールは膝をついて叫ぶ。
『今後はせいぜい、身の安全に気をつけて生きることだな』
先刻のレイヴン・キャモランの忠告、いや、警告の言葉が脳内に蘇り、エロールはこの火事が偶発的事故や、放火魔の手による突発的犯行ではなく、つい先日までは同志であった深遠の暁の手によるものだと直感的に悟った。
「このプロテクターはどうやって外すんだ?」
うん……?
意識が朦朧とするなかで、ちびのノルドはぼんやりと自分の“真上”で交わされるやりとりに耳を傾ける。
自分はどうしてここにいるのか?そもそも、ここはどこなのか…自分はどんな状況に置かれているのか?何もかもわからないまま、ちびのノルドはうっすらと瞼を開いた。
仮面のスリット越しに見えたのは、低い天井と、二人の修道僧の姿だった。どこか落ち着かない様子でこちらを見守る若い男と、厳めしい顔つきで装具を検分する老人。
敵ではなさそうだが…
もうしばらく気がついてないふりをして様子を見ていようか、と考えた矢先、若いほうの男、同志のピナールが声をあげた。
「気がついたようですよ」
薄目を開けていたのがバレバレだったか、あるいは筋肉の緊張を見て悟られたか。
どのみち、このまま空惚けていても仕方がないので、ちびのノルドはゆっくり身体を起こすと、老齢の男のほうに声をかけた…かけようとして、腹部に走る痛みに顔を歪めた。
「あの、ここはいったい…あ痛っ」
「無理に動かないほうがいい、我々が発見したとき、きみの腹の傷口が開きかけていた…魔法で治療したのだろうが、少しばかり無茶が過ぎたようだな」
「きみは修道院の近くで行き倒れていたんだよ」同志のピナールが説明を加える。「かなり衰弱していた様子だったので、我々が介抱したのです。よろしければ、名前をお聞かせ願いませんか?」
「え、と」ちびのノルド、という、不名誉な渾名を脳裏から振り払い、「アリシア・ストーンウェルといいます。わたし、ウェイノン修道院っていうところへ行こうとしてて…ジョフリーさんっていう、お坊様に会いに行くところだったんです」
その言葉を聞いて、二人の修道僧は驚いたような表情を見せた。
老人が言う。
「ここがそのウェイノン修道院で、わたしがジョフリーだ。どうやら…きみがこれを持って、この場所を目指していたというのは、たんなる偶然ではないと考えて良いのだね?」
そして、ジャラリ…鎖が音を立て、ジョフリーの手に握られた王者のアミュレットが窓の光を反射してきらめいた。
ちびのノルドは修道院の一階に案内され、茶のもてなしを受ける。
どうやら来客用らしい、棚の奥からわざわざ出してきたと思われる銀製のティーポットで華奢な陶磁器のカップに紅茶を注ぎながら、ジョフリーは丸机の上に置かれていた新聞に視線をやった。
「これを見たかね?黒馬新聞が発行した、皇帝暗殺を報せる新聞記事だ」
「いえ…」
「いま、帝国の民は不安に怯えている。皇帝とその血族がすべて暗殺者の手にかかり、跡継ぎがいない状況で、元老院が国を代理統治している。この状況で平和がいつまで続くのか?これは、たんに、王族が亡くなったというだけの話ではない。暗殺者の正体が不明なのもそうだが、脆弱な基盤のうえに成り立つ帝国に他国がどのような反応を示すか。これをきっかけに、大陸中が戦火に呑まれる可能性さえ有り得る」
そこまで言ってジョフリーは一旦言葉を切った。
ちびのノルドの表情を伺い、彼女が話を正確に理解していることを確認してから、机の上に置かれた王者のアミュレットを手に取り、話を続ける。
「そういう状況で、きみがこの、王家の象徴であるアミュレットを持って私のもとへやってきた。そのことについて、当然、納得のできる説明をして頂けるのだろうね?」
「え、と…」
こころなしか鋭い眼差しで見つめてくるジョフリーに、ちびのノルドは口ごもる。
帝国の一大事に巻き込まれたことをいまさら再認識させられたこともあるが、このジョフリーという老人が帝国の関係者であれ、国の行く末を案じるただの一市民であれ、適当な説明を許しそうな気配はなかった。
城の地下に存在する遺跡と、そこへ続く地下下水道で逃走中の皇帝一派と暗殺者グループが争う場面に出くわし、助太刀に加わった。奮闘も虚しく皇帝は暗殺者の手にかかり、皇帝からアミュレットを託された自分は、ブレイズの生き残りであるボーラスの助言に従ってこの修道院へ向かった…そのように説明した。
たんに素直に話せば良いだけのことだった。ちびのノルドが“話さなかった”点を除けば。
そして当然のことながら、ジョフリーは彼女が口にしなかった点について疑問を抱いたようだった。
「だいたいの事情はわかったが」ちびのノルドを見つめるジョフリーの表情は依然として緩まない。「いったい、どういう理由できみはそういう場面に遭遇したのだね?」
「えっ?」
「偶然、そんな場所に居たはずはないだろう?なにも、理由なく疑っているわけではない…きみはいま、一国の命運を握る立場にある。そういう人間の行動に曇りがあるようでは、こちらとしても無条件に信頼するというわけにはいかない。それだけ、厳しい状況にあるのだということを、いまいちど理解して頂きたい」
「う~ん…あ、あの、はい」
返事にならない声を発しながら、ちびのノルドは必死に頭を回転させようとした。
おそらく…密売人と取引しようとしていたところを衛兵に見つかり、独房に入れられていた、などと正直に話したら、信頼どころの話ではなくなるだろう。
「えーと、えと…あ、うん、そうだ、そのう、ちっ、地下の!下水道の、ネズミと、あと、ゴブリン!ゴブリンの退治を依頼されてましてっ!それで、地下下水道にいたところを、偶然、皇帝陛下御一行と鉢合わせましてっ!そーいう事情で、えーと、なんか、巻き込まれた?みたいな?」
あはははは。
誤魔化し笑いで語尾を濁しつつ、ちびのノルドはたどたどしい口調で一生懸命に説明する。
たしかに辻褄は合っている。“いまこの場で思いついた話です!”と態度で力説してさえいなければ。そして、そんな茶番に騙されるほどジョフリーはお人好しではなかった。むしろ、余計に警戒を強めた感さえある。
だが真っ向から疑問を呈することなく、ジョフリーはやや質問の矛先を変えた。
「ゴブリン退治の依頼、というと、きみは戦士かね?」
「え!?ぁ、うん、あっ、はい」
「ギルドの人間かね?」
「いえ、そのう、傭兵です。フリーの」
「それで、ボーラスに言われてここへ来たのかね?」
「はい。急がなきゃいけないと思って、一睡もせずに歩き通してきたんです」
「なるほど」
そう言って、ジョフリーは目前の傭兵を改めて観察した。
いかにも怪しい人物ではある。素性が知れず、バレバレの嘘を平然と口にし、茶を出しても仮面を外そうとしない…だが、意識をなくして倒れるまで休みなく、王者のアミュレットをここまで運んできたというのも、確かな事実だ。
暗殺者の一派ではあるまい。だが、だからといって帝国に不利益をもたらす者ではないと確信はできない。何らかの狙いがあって協力者のふりをする、他国の諜報員か…
そこまで考えて、ジョフリーはかぶりを振った。諜報員にしては、あまりに“不出来”すぎる。
フゥーッ…大きなため息をつき、ジョフリーは今この場における、ちびのノルドへの評価を“保留”として扱うことに決めた。ここで彼女の正体の詮索ばかりしていても仕方がない。
「それで、ボーラスがわたしの名を出した理由については?」
「えと、うーん…いいえ、聞いてないです」
ひょっとして覚えてないだけじゃないのか。
曖昧な返事ばかりするちびのノルドに対し今一度疑問が首をもたげるが、その点についてジョフリーは努めて無視する努力をしつつ、説明をはじめた。
「わたしはかつてブレイズの隊長として皇帝陛下に仕え、現在はブレイズのグランドマスターの地位にある」
「えと。引退、なされた…?」
「現役だよ。いまはここで、タロス修道会の修道院長として本来の身分を隠しつつ、ときおり皇帝陛下のために働くことがある」
ジョフリーは“帝国のために”ではなく、“皇帝陛下のために”と言い、その点を強調した。
ときおり皇帝陛下のために働くことがある、という言い方をしてはいるが、実際は普段から情報収集をしつつ市井の状況観察や不穏分子の監視を行う、常駐の諜報要員としての正確が強いのではないか、とちびのノルドは考えた。
「ボーラスさんは、皇帝陛下に隠し子がいるのではないか、と言ってましたが…」
「彼がそんなことを?事実を知っての発言ではないだろうが、なるほど、彼は聡明だからな。その可能性には考えが及んでいたか…いかにも。皇帝には一人、妾腹の息子がいるのだ。これはわたしを含め、ごく僅かな側近しか知らない話だから、くれぐれも他言のないように」
「はい…」
「彼はクヴァッチの街の農家の夫婦に引き取られた。彼自身、王家の血を引く者であることを知らされてはいない。名をマーティンという…現在はアカトシュの教会に神父として仕えているはずだ。いまとなっては彼がこの世に残された、セプティム朝を継ぐ唯一の人間ということになる」
「ってことは、その、マーティンさんを王宮にお連れする必要があるんですよね?」
「そうだ。そして、この王者のアミュレットをもって王位継承の儀を行う必要がある…しかし、陛下を亡き者とした暗殺者たちの素性、そして、その狙いを突き止めなければ、また悲劇が繰り返されるやもしれぬ。なんとしても、それは阻止しなければ…我々ブレイズは、そのための活動をすでにはじめている」
「あの、わたしに協力できることって、なにか、ないですか?」
「フム」片眉を吊り上げ、ジョフリーはちびのノルドを一瞥する。「たしかに、我々ブレイズだけでは人手が足りない状況だ。帝国軍も動いてはいるが、全力を投入できるほど国内の状況が安定していない。残念なことに…きみはクヴァッチに向かい、マーティンをここへ連れてきてほしい」
「わかりました!じゃあ、急いだほうがいいですよね!いますぐ…」
「待ちたまえ」
唐突に席を立つちびのノルドを、ジョフリーが呼び止める。
「きみは衰弱して倒れたところを運び込まれたばかりなのだぞ?まして、ここからクヴァッチまでは距離がある。時間がないのは確かだが、悪いことは言わない、暫く休んでから行きなさい。それに、怪我のこともある」
「……すいません…」
「謝る必要はない。むしろ礼を言わねばならないのはこちらのほうだし、それに重要な仕事だからこそ、確実にこなして頂かなければ。何事も、急いては事をし損ずるというもの。それがわかったら、さあ、茶をおあがりなさい。冷めてしまう前に」
そう言ってから、ジョフリーははじめて、ちびのノルドに笑顔を見せた。
数日間の休養を経て、ちびのノルドはウェイノン修道院を発つことになった。そのさい、ちびのノルドは修道院で買っている馬を一頭貸してもらうことに。
ウェイノン修道院からクヴァッチまでは約400km、馬で移動してもだいたい一週間はかかる。時間と労力の観点から徒歩で移動するのは非現実的で、またタイミングの悪いことに、コロールを拠点にしている辻馬車はすべて出払ってしまっていた。
ちびのノルド、ジョフリー、ピナールの三人は厩舎へと向かい、やがてピナールが標準よりも一回り小さな牝馬を引いてくる。
「どういうわけか、一頭だけ成長の遅い馬がいてね。ただ、きみのように小柄な女性の場合はそのほうが扱いがいいだろう」ジョフリーが説明する。
ちびのノルドは馬の扱いが得意ではなかったが、幸いなことに借りた牝馬は大人しい性格で、危なっかしい動きで手綱を握るちびのノルドを乗せても嫌がる素振りを見せることはなかった。
「それじゃあ、行ってきますね」
「その前に一つ、尋ねたいことがある。きみはなぜ、我々に協力するのだね?」
疑問を口にするジョフリーに、ちびのノルドは目をぱちくりさせる。
どう説明したものだろうか、そもそも、そんなことを説明する必要があるのだろうか、といった表情のまま、ちびのノルドは頭に大量の疑問符を浮かべつつ、口を開く。
「えっと…いま、国が大変なことになってて、ブレイズの皆さんもお困りで…それにこれは、皇帝陛下直々のご依頼ですし」
「それで、きみに何の得が、見返りがあるのだね?」
「…見返り?」
まるで大金を前にした原始人のように不可解極まる困惑顔を見せたちびのノルドを前に、ジョフリーは直感的に、このアリシアという娘の本質を理解した気がした。
なんということだ、この娘、ただの善意で行動しているのか?疑いもせずに?
そのとき、急に…ちびのノルドを疑っていた自分が可笑しく思え、ジョフリーは苦笑を漏らす。改めて馬上の人となったちびのノルドの顔を真正面に見つめ、言った。
「道中、気をつけてな。汝にタロスの加護があらんことを」
ジョフリの捧げた祈りの言葉に、今度はちびのノルドが苦笑した。
タロス、初代皇帝タイバー・セプティムが神格化した存在。九大神の一柱にして、かつてタムリエルの地を統一したノルドの英雄。
果たしてこれは偶然か?あるいは、何らかの巡り会わせか…
ちびのノルドがウェイノン修道院を出発してから、しばらく経ったころ。
教団を追われ、家を焼かれたエロールは旅行客用の馬車を利用し、シロディール西端の都市アンヴィルを訪れていた。
「残された財産は、財布に入ってたぶんの現金だけ、か…ハァ。とりあえず、ここなら教団の人間も…すくなくとも、俺のことを知ってるやつは居ないだろうし、暫くは現実を忘れて羽を伸ばそう」
エロールがアンヴィルへやって来た理由、それはただ現実逃避のための傷心旅行であった。
ゴールドコースト以東とは異なり、このあたりはレッドガードの故郷であるハンマーフェルの建築様式が取り入れられている。異国情緒のある港町、というのは、心機一転を図るのに丁度良い土地柄だとエロールは考えていた。
「とりあえず、海で泳ごうかな」
さらに、同じ頃…
「オブリビオンについて、何か知っていることはないか?」
「いいえ…」
「それじゃあ、深遠の暁という集団について聞き覚えは?」
「さあ…」
「…わかった。酒をもらおうか、ウィスキーはあるか?」
「申し訳ありません、うちはワインとビールしか置いてないんです」
「…ボックをたのむ」
背後でウッドエルフの店主と、街道パトロール中に立ち寄ったのであろう帝都衛兵がひそひそ声で自分の正体を誰何する声を聞きながら、アルゴニアンの剣士ドレイクは上面発酵の濃厚なビールが注がれたマグを片手に、食堂の席に腰かけた。
ガットショー、シロディール西部はクヴァッチに近い街道沿いに建つ宿であり、しばしば冒険者や衛兵が利用するらしいこの場所で、ドレイクは早くも自分の旅の行き詰まりを感じはじめていた。
オブリビオンの時空に取り込まれた恋人シレーヌを救うため、手がかりを探してブラックマーシュからシロディールまで来たものの、これといった有力な情報を得られないまま時間と金だけが費やされていく。
だが…無為な日々も間もなく終わり、帝国の行く末に関わる壮大な戦いの渦中に自分が投げ込まれることを、ドレイクはまったく予想していなかった。
クヴァッチへの道程も半分を過ぎたころ。
コロールの南、スキングラードの街で休息を取ったちびのノルドは、夜が明けてから馬屋“感謝の道”に預けていたウェイノン修道院の牝馬を引き取った。
いざ出発しようとした、そのとき。
「えっ!?な…なに……?」
雷鳴とともに空が赤く染まり、不穏な空気があたり一帯を覆う。
スキングラードの門を守っていた衛兵、馬屋の主人や従業員が口々に空を指して騒ぎはじめるなか、ちびのノルドは西の山頂に禍々しい光を放つ門が出現しているのをはっきりと目にしていた。
すなわち、クヴァッチ領…自分がこれから目指そうとしていた場所に。
「なんだァ…?」
その光景は、決して治安が良いとは言えないアンヴィルの港湾地区で飲んだくれていたエロールも目撃していた。
彼は赤く染まった空と、そこから感じる威圧感、異界の瘴気に触れ、それがオブリビオンの次元に由来するものであることを理解した。腐っても元魔術師ギルドの一員としての知識と経験は衰えていなかった。
そしてこれは、かつて自分が所属していた深遠の暁教団の計画の一旦であることも、同時に理解した。
明け方、不穏な気配を察知して宿の外へ飛び出したドレイクは、変わり果てた空模様を見ておもむろに殺気立つ。
「この邪気は……!?」
間違いない、かつてブラックマーシュで目撃したオブリビオンの門が開放されたときと同じだ。束の間、魔界へ通じる門が開き、あっという間に恋人を飲み込んで消え去った、あのときとまったく同じ光景だ。
そして、クヴァッチでは…
突如として開いたオブリビオンの門から、恐ろしい魔物たちが続々とその姿を現しはじめていた。
【 To be continued ... 】
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2018/04/08 (Sun)17:13
The Elder Scrolls IV: Oblivion
Fan Fiction "Crossing Over" #2
Fan Fiction "Crossing Over" #2
- エルダースクロールズ4:オブリビオン -
Side Story【クロッシングオーバー】
第二話 「監獄脱出」
「いった…」
鋼鉄製の仮面の奥で苦痛に顔を歪めながら、娘は目を醒ました。
彼女の名はアリシア・ストーンウェル。“ちびのノルド”の通り名を持つフリーランスの傭兵で、かつては大陸の北方スカイリムにて傭兵団”雪狼一座”に所属していた経歴を持つ。
近年シロディールへと渡ってきた彼女は、異様な安値で物品を売り捌く店の背後関係を調査したり、商船を改装した宿を襲撃した賊を撃退するといった、傭兵というよりは何でも屋、厄介事請負業者として生計を立てていた。
そして、今回の事件…帝都をぐるりと覆う外壁の影で禁制品を扱う闇商人、“サム”という名の胡散臭い男から“スクゥーマ”と呼ばれる麻薬を買おうとしたところ、サムを捕らえるため草場に身を伏せていた衛兵隊の待ち伏せを受け、そのときに動転したサムから短剣の一撃を腹に受けたのである。
『貴様、帝国の犬か!俺を嵌めたな!?』
いまも、慌てふためくサムの声が耳に残っている。どうやら自分が衛兵たちを手引きしたと勘違いしたらしい…見当違いの災難に見舞われ、ちびのノルドはため息をついた。
それにしても…ちびのノルドは独房をぐるりと見回し、自分が囚人服ではなく、愛用の装具を身につけたままでいることに若干の疑問を覚える。実際のところ、帝都衛兵隊にとってちびのノルドは未だ容疑者のままであり、実刑が決まったわけではないため、手続き上、囚人服を着せることはできなかったのだが、ちびのノルドにはそこまで理解が及ばなかった。
サムに刺された腹の傷は癒えていたが、包帯の跡はなかった。おそらくは治癒師…魔術師の手によって治療されたのだろう。
腕の装具から覗く古い包帯、その傷跡は以前のままだった。これは長年の古傷であり、治癒師も手をつけようとはしなかったのだとちびのノルドは考えた。
そして独房を見回していたときに、つい先刻この場を通り過ぎた皇帝の一団が開放した隠し通路を発見し、なおいっそう首をかしげた。彼女はさきほどの皇帝たちのやりとりの一切を関知していなかった。
「目を醒ましたか。言っておくが、その抜け穴には近づくなよ。危険だからな」
ちびのノルドの覚醒を察知した衛兵が、鉄格子越しに睨みをきかせてくる。
とはいえ、隠し通路を指して「危険」と言ったのはハッタリであり、それはきょとんとした表情で見返すちびのノルドが何の事情も知らないであろうことを察しての言葉だったが、結果的にその一言が彼女の関心を隠し通路へ向けることになってしまった。
古代遺跡へと続く抜け穴と、看守を…その間を阻む、鍵のかかった鉄格子の扉越しに…交互に見つめ、ちびのノルドはゆっくり起き上がると、そっと手を振って看守に背を向けた。
「…… …… …じゃっ!」
「あっ、コラ!おまえー!?」
足早に隠し通路を抜けようとするちびのノルドの姿に、看守は慌てて扉の鍵を開けようとする。しかし、鍵穴に鍵を差し込んだあたりで看守の脳裏にふとした懸念がよぎった。
いま自分がここを離れたら、誰が他の囚人を監視するというのか?
ちびのノルドを追って秘密の地下通路へと飛び込むのは、あまり懸命な判断とはいえない…のみならず、皇帝の命を狙う暗殺集団と鉢合わせる可能性を考えると、この身に危険が及ぶことも充分に考えられた。
「…ええ、くそ」
この微妙な状況のなかで、行動を急ぐのはまずい…そう判断した看守は、同僚にこの事態を伝えるべく地上階へと続く階段を駆け上がっていった。
それに、ちびのノルドの存在についてはまだ、文書が作成されていない。なんとなれば、最初からそんな者はいなかった…と誤魔化すこともできるだろう、といった打算を踏まえての決断であった。
「ハァッ!!」
ときの声をあげ、レノルトは失われしアカヴィリ由来の刀を振りぬいて暗殺者を真っ二つに両断する。真紅のローブが鮮血に染まり、石畳にごろりと音をたてて亡骸が転がり落ちた。
「グレンロイ、ボーラス、無事か!?」
「私と陛下は無事です、しかしグレンロイが…」
「…くそっ」
通路の向こう側から発せられたボーラスの言葉に、レノルトは皇帝の前であることも忘れ、思わず罵り言葉を口にしてしまった。
グレンロイは大太刀、ダイカタナの使い手だ。この狭く入り組んだ遺跡内部では、そのリーチの長さがかえって不利になる。そこを突かれて倒されたに違いない、そうでなければ、あの錬達の剣の使い手がカルトの暗殺者風情に遅れを取るはずがなかった。
誤算はほかにもあった。
皇帝とブレイズが、宮廷の極一部にしかその存在を知らされていない秘密の地下通路を使って脱出しようとした、その理由。暗殺者の目を遠ざけ、あまつさえ迷路のように入り組んだこの場所は逃走を容易なものにしてくれるはずだった。
しかし、現実はどうだ?
暗殺者たちはこの迷宮の複雑な構造を我が物とし、まるで待ち伏せをしていたかのように奇襲を仕掛けてきている。暗殺者たちが、この地下通路の存在を最初から知っていたことは明白だった。
宮廷内部に内通者がいたのか、それとも、ブレイズでさえ感知できない方法で事前の調査を完了していたのか、それはわからない。それにいま、そのことに頭を悩ませたところで、事態が好転するわけではない。
そこまで考えたとき、レノルトは暗殺者の集団が近づく気配を感じた。
「ボーラス、陛下を連れて先へゆけ。ここは私が喰い止める」
「しかし、隊長!?」
「おまえの役目は、第一に陛下の身の安全をお守りすることだ!自らの命にかえても!そして、もちろん…同胞の命にかえても。私に構わず行け、早くッ!」
ほとんど狂気的と呼んでもいい形相で叫ぶレノルトをまえに、ボーラスは束の間躊躇したのち、皇帝とともにその場を離れた。
間もなく通風孔などの、外界からの侵入路となり得る、あらゆる場所から真紅の暗殺者たちが姿を見せはじめた。それぞれが召喚術を使い、魔法の鎧を纏ってレノルトに狙いを定めている。
そしてまた、この事態とは何の関係もない、もう一つの小さな姿も…
レノルトを置き去りにしてから、どれだけの時間が経ったことだろう。
エルフの古代遺跡から、ゴブリンの潜む自然窟を抜け、ふたたび入り組んだ遺跡へと足を踏み入れたとき、ボーラスは自分が用意された罠にまんまとかかったことを思い知らされた。
「なんということだ、扉に…鍵が!」
それは脱出用通路という用途を考慮し、決して施錠されることはないはずの扉であった。しかしいま、鍵は逃亡者が外せないよう外側からかけられており、それが暗殺者たちの仕業であることは目に見えて明らかである。
「…もはや、これまでかもしれぬな」
「陛下、お気をたしかに!」
気を落とした、というよりは、達観した様子で諦めの言葉を口にする皇帝を激励しつつ、ボーラスは脱出の手段を考えた。扉を破壊するか、あるいは別の脱出路を探すか…
しかし結論が出るよりも早く、罠を張って待ち構えていた暗殺者たちがここぞとばかりに二人に向かって襲いかかる。
ボーラスは施錠された扉を背に、皇帝を庇いながら暗殺者たちと剣を交える。
彼にとって誤算だったのは…というより、彼の考えが及ばなかったことに、施錠された扉は“外からは開けられる”という一点が、皇帝ユリエル・セプティム七世の命を奪うことになった。
扉の開く音と、ドン、グチャリ…という、鈍い殴打音がほぼ同時に響き、ボーラスが「まさか」という表情で振り返ったとき、すでに皇帝は陥没した頭部からおびただしい量の血を流し、床に倒れていた。
「お、おおおおおお!!」
激情のままボーラスは皇帝を手にかけた暗殺者を切り伏せる。だが、自身もその背に別の暗殺者の刃を受け、激痛に顔を歪めた。
ここで死ぬのか、皇帝を守るという使命を果たせず、自分の身すら守れないまま…
そのとき、視界の奥で殴打音とともに暗殺者が吹き飛び、次々と倒されていく様子が目に写った。
あれは、なんだ?
予想だにしなかった闖入者の存在に誰しもが驚くなか、やがて暗殺者たちがすべて斃されたとき、傷ついたボーラスの前に立っていたのは、徒手のまま大量の返り血を浴びた小柄な女性の姿だった。
「えっと、あの…だ、大丈夫、ですか?」
「おまえは…?」
修羅場を潜り抜けた者にしては、いやに自信のなさそうな声でつぶやく娘…ちびのノルドを見つめ、ボーラスはその正体を訝る。
そうだ、たしか、この娘はあの独房で眠っていた、あの娘だ。と、そのことは混乱する頭を抱えたボーラスにもすぐに理解できたが、それが手練の暗殺者たちを悉く屠ったという事実に、いまひとつ現実感を抱けないでいた。
「あ、あのっ、そのう、ぶ、ぶれいず?のかた、ですよね?れー、の…レノルト、という人からだいたいの事情は聞いています。皇帝陛下をお守りしているとか」
「レノルトに?まさか、彼女は生きているのか!?」
「はい、ただ、暗殺者たちとの戦いで負傷したので、いまは安全な場所で休んでいますが…その、皇帝陛下は……?」
ボーラスの影に隠れていた皇帝の姿を見て、ちびのノルドは思わず顔を伏せる。
危機は脱したものの、皇帝陛下を守るという使命を果たせず…それをまっとうするためならば自らの命、同胞の命でさえ捨てよというレノルトの命令を果たせず…そのことにボーラスが愕然とした、まさにそのとき。
すでに息絶えたと思われた皇帝ユリエル・セプティム七世が這い起き、血まみれの顔面を晒したままちびのノルドの手を取った。
「やはり…御主が来たか……」
「陛下!?」
ボーラスが驚きの声をあげ、ちびのノルドが仰天するなかで、皇帝が言葉を続ける。
「このアミュレットを受け取り…我が息子へ託すのだ。ドラゴンファイアを灯し、オブリビオンの門を閉じろ」
自身が首にかけていた、赤く輝く巨大な宝石が埋め込まれた首飾りをちびのノルドに渡そうとする手はいまにも止まりそうで、弱々しくかすれた声は聞き取るのも難しかったが、それでも、その言葉には確かな力強さがあった。
それは提案ではなかった。頼んでいるわけでもなかった。
それは命令だった。かつて大陸全土を支配下に収めた皇帝ユリエル・セプティム七世としての、最期の命令だった。
それからなにごとかを呟き、力を使い果たした皇帝はその場に崩れ、こときれる。なにを呟いたのかは聞こえなかったが、ちびのノルドは、直感から彼が「すまない」と言ったように思えた。ただし、その謝罪の真意を汲むことはできなかった。
皇帝の亡骸の傍らに跪きながら、ボーラスがちびのノルドに向かって言う。
「陛下は…お前に何らかの予感があったようだ。いまわの際に、王家に代々伝わるアミュレットを他ならぬお前に渡したのも、おそらくは理由があってのこと。あの」先刻まで施錠され、そして皇帝を亡き者とした暗殺者が開いた扉を指し、「通路から下水道を抜ければ、帝都の北側、ルマーレ湖のすぐ傍に出ることができるだろう。私は陛下と…同胞の亡骸を葬り、レノルトと合流しなければならぬため、しばらくはこの場に留まるつもりだ」
「あの…」
「陛下はアミュレットを息子に託せ、と言ったが、生憎と陛下の御子息はみな暗殺者の手にかかってしまった。正式な血統は…あるいは、隠し子の存在があるかもしれぬ。ここを脱出したら西のコロールへ向かい、ウェイノン修道院のジョフリーという僧に事の次第を話すのだ。きっと、力になってくれることだろう」
そこまで言って、ボーラスは口をつぐんだ。
ここに至り、ちびのノルドには、皇帝の遺志を継ぐ理由が何一つないことに思い当たったからである。しかしこの状況で、ボーラスが他に頼れる者はいなかった。
戸惑いながら見つめてくるちびのノルドに、ボーラスは口を開く。
「…頼まれて、くれるだろうか?」
「…… …… …はい」
実際のところ、ちびのノルドにも打算の一つや二つ、ないではなかった。
いま現在、帝国から見れば、ちびのノルドは闇商人から禁制品を買おうとした容疑者であり、さらには看守の目の前で独房から逃亡した脱走犯である。
しかし皇帝陛下の勅命を受け、特殊任務を遂行していた…となれば、これらの罪を帳消しにしてもらうことは、そう難しいことではないはずだ。ブレイズの力添えがあれば、尚のことだ。
さらには任務の重要性がある。これは明らかに国家の存亡に関わるものと思われ、見事果たしたとなれば、傭兵としてこれ以上の宣伝はない。この降って湧いた厄介事を引き受けるに足る理由は、充分にあるわけだ。
…とはいうものの、ちびのノルドがあの場で咄嗟にそれだけのことを考えたわけではなかった。ボーラスの頼みを引き受けた理由のほとんどは、実質、彼女の生来の善良さによるものである。
ボーラスの助言に従い下水道を抜けたちびのノルドは、仮面の隙間越しに陽光を浴びて目を細めた。どうやら、いつの間にか夜が明けていたらしい。東のモロウウィンド国境に近いヴァラス山地の稜線から朝日が顔を覗かせていた。空はまだ薄暗く、星明りがわずかに見え隠れしている。
さて、ここでゆっくりしている時間はない。
帝国にとって自分は未だ脱獄犯扱いであり、いまごろはすでに手配が回っているに違いない。道中で衛兵に見つかるわけにはいかない、どうやって対岸へ渡ったものか…ちびのノルドがそう考えはじめたとき、真紅の影が排水溝のブロックを飛び越えてきた。
「あれは…暗殺者の一味!?」
「待てィ、そこの小娘!」
驚きの声をあげるちびのノルドの目前に、ザシャアッと派手な音を立て着地する真紅の暗殺者。その姿は皇帝とブレイドたちを襲った者たちと同じもので、この輩が連中の仲間であることは疑いようがなかった。
「まだ仲間が残っていたんですか…!」
「貴様が首からかけているソレは、王家に代々伝わるアミュレットだな!?どうやって貴様のよォな小娘がそれを手に入れたのかはわからんが、そいつを組織のアジトへ持って帰れば、寝坊して襲撃計画に間に合わなかった失態の埋め合わせができる!のみならず、幹部待遇だって有り得るかもしれん!どうやら俺にも運(ツキ)が残っていたようだぜ!ナイス、ナイスだ俺!」
「…え?」
早口でわけのわからないことをベラベラと捲くし立てる暗殺者に、ちびのノルドはしばし呆然となる。どうも、地下迷宮で戦った連中とは若干雰囲気が異なる気がするのだが…
そんな彼女の戸惑いを余所に、暗殺者はやたらに威嚇的なフォルムのメイスを振りかぶると、ちびのノルドを指差して叫んだ。
「というわけだから、この俺の出世のために散るがいいッ!小娘、覚悟!!」
そしてちびのノルドに飛びかかる暗殺者!
「えいやっ」
ガギン、と、鈍く重い金属音があたりに響く。
ちびのノルドは上空から迫り来る暗殺者の股間を爪先で鋭く蹴りあげたのだった。
勢いを増して落下していた暗殺者の身体は、蹴られた衝撃で、ぴょこんと飛び上がっていた。たった一点に集中したダメージ、さらには自身の体重がそこへ乗り、暗殺者は仮面の下でぐるりと白目を剥いて悲鳴をあげた。
「イチニーサンダァァァァーーーーーー!!」
「!?」
「ちょっと出たぁぁぁーーーっ!!」
「…え、なにが?ねえ、なにが!?」
不穏当な言葉を口走る暗殺者に尋ねるちびのノルド、しかし暗殺者はその質問にこたえることなくバターンと派手な音を立てて地面に倒れ、口から泡を吹いて失神した。
…どうしよう。
おそらく、とどめを刺すのは、簡単だ。
そしてたぶん、そうすべきなのだろうが…ちびのノルドは逡巡する。どうにもこの、そそっかしいというか、おっちょこちょいというか、バカっぽいというか、要するにアホにしか見えないこの暗殺者の命を奪うことは、躊躇われた。
しばらく悩んだすえ、ちびのノルドはある結論を出した。
「…よし。流そう」
ザッパーン。
大きな水音を立て、ルマーレ湖に投げこまれた暗殺者の身体はプカプカと水面を漂いながら、対岸へ向かってスィーッと流されていく。
運が良ければ、命は助かるだろう。かなり、物凄く、運が良ければ。たぶん…
枯葉のように静かに流されていく暗殺者の姿を見届けてから、ちびのノルドはウェイノン修道院へ向かうべく、その場をあとにした。
【 To be continued ... 】
2018/04/04 (Wed)18:41
これは太陽系から遠く離れた、別の星系でのおはなし…
マッサー、セクンダと呼ばれる二つの月を持つ惑星ニルン、そのなかで複雑な歴史と文明を持つ大陸タムリエル。生命の誕生から現在に至るまで数多くの戦乱を経験したこの地で、また、新たな争いが巻き起ころうとしていた。
第三紀433年、収穫の月27の日。
かつて大陸全土を支配していたセプティム王朝もいまやその影響力は衰え、大陸中央部のシロディールを帝国領として治めるに留まっていた。
65年もの歳月を権力者として君臨してきた、ときの皇帝ユリエル・セプティム七世。数多くの苦難に直面しながらも支配者として辣腕を振るい続けた彼の生涯がいま、閉ざされようとしている。
それは、決して逃れ得ぬ運命。
姦計を用い邪悪なる神の召喚を目論む集団と、その計画に巻き込まれた者たち。それを望むと望まざるとに関わらず、彼らの運命もまた奔流に呑まれ、一つの時代の終焉と、新たなる激動の時代の訪れに直面しようとしていた…
シロディール中央部、帝都北東部に位置する獄舎地区。
普段ならば看守の足音と、ときおり聞こえる囚人の嘆きしか耳にすることのない監獄で、慌しく移動する一団の姿があった。それも、すっかり日が暮れたあとに、である。
ときの皇帝ユリエル・セプティム七世を中心とし、その周りを囲む異様な兵装の集団。彼らが皇帝陛下の護衛であることは誰の目にも明らかであったが、おなじく明らかなこととして、帝国軍のものとは異なる軍装に身を包んだこの集団の正体を訝る者があったとしても、これは不思議なことではない。
彼らは“ブレイズ”という…帝国軍ではなく皇帝直属の組織で、皇帝の護衛や諜報活動がその主な活動内容である。その存在を知る者は少なく、構成員や組織の性格については極めて慎重に秘匿されてきた。
もとより獄舎の看守に命令をきかせるために素性を明かす必要などなく、ただ一般の兵士よりも皇帝に近しい存在であることを態度で示すだけで事は足りていた。
「おいっ!この独房は決して使わぬようにと言っておいたはずだ、なぜ囚人が眠っている?それも、囚人服すら着ることなく!」
ブレイズの一人、それも隊長格であろうと目される者が凛とした、いささか耳に突き刺さる高音で声を張り上げる。驚きべきことに、皇帝の身の安全を任される部隊の長は女性であった。
彼女は名をレノルトという、実力でブレイズの指揮官にまで上り詰めた女丈夫で、平素であれば見るものをはっとさせるような美貌の持ち主であるが、いまは顔を覆う兜の奥でひたすらに険しい表情を浮かべている。
レノルトの剣幕に圧されてか、看守はいささか動揺した様子でしどろもどろに説明をはじめた。
「じつは今日の夕刻過ぎ、帝都外周にて、我々がずっと目をつけていた禁制品の密売人を相手に捕り物を演じまして。この娘はそのとき、密売人が咄嗟に放った凶刃を腹に受けて負傷したのです。そのため、怪我の手当てをしたのち独房に寝かしつけた次第で」
「たわけを申すな、なぜ怪我人を独房に入れるのだ!」
「…といいますのも、この娘、我々が捕らえた密売人の客だったのです。どうやら、密売人は娘が我々の雇った密偵だと早合点をしたらしく…それゆえ、娘の意識が戻ったのち、取調べをする予定であったのです。生憎と他の独房はすべて埋まっておりまして、よもやこのタイミングで独房の開放が必要であったなどとは考えてもみず…」
「わかった、わかった!もうよい、下がれ」
うやうやしく一礼する看守を脇にどけ、レノルトは鉄格子の扉の鍵を開けて独房のなかへと足を踏み入れる。
それにボーラス、グレンロイという名の部下がつづき、最後に皇帝ユリエル・セプティム七世が独房の鉄格子をくぐる。その様子を確認したのち看守がふたたび扉に鍵をかけ、そのときに大きな音がしたにも関わらず、先刻から続く喧騒もろとも意に介さぬ様子で床に伏せる娘が目を開く様子はない。
やがてレノルトが壁に隠されていたスイッチを探り当て、独房の壁の一部が横にスライドする。
それは古くから監獄に用意されていた隠し通路であり、かつては古代エルフ“アイレイド”の遺跡であった地下施設を利用したものだった。
「陛下、お急ぎください。追っ手が迫っています、ここで時間を無駄にはできません」
レノルトに促され隠し通路へと向かう皇帝、しかし床に伏せる娘の傍らを通ったとき、何を思ったのか…彼はその場で足を止め、腰を落として娘のほうを見やった。
鋼鉄製の面で隠れた表情を窺うかのように皇帝は娘を凝視し、やがて、口を開く。
「この者は、この者の存在は…わたしの予知にはなかった」
「陛下?」
「いや、この者の存在そのものを予期してはいた。だが、この者は本来ならば、この場所にはおらぬはず…この者からは、大きな運命のねじれを感じる。運命の変化を、いや、運命が変わるからこそ、“本来ならば変わるはずであった運命が元の流れへと戻る”…?」
「…陛下、お急ぎください」
「うむ」
ボーラスに促され、皇帝は彼らとともに隠し通路へと向かう。
その様子を独房の外から観察していた看守は、一つの懸念を抱いていた。…あの隠し通路の扉は、どうやって封鎖するのだろう?
皇帝陛下とその護衛たちは、隠し通路の扉を戻すことなく行ってしまった。いまは眠っている娘があの通路を発見し、脱獄を試みたらどうなる?看守の目が光っているとはいっても、隙の生じる時間は存在する。
とはいえ…看守は嘆息する…謎の暗殺集団に皇帝陛下が襲撃され、あまつさえ王家の血統を継ぐ者たちの命が奪われたいま、そのような問題は瑣末なことに思えた。
一方、舞台は変わり…
タムリエル大陸南部、アルゴニアンの国“ブラックマーシュ”。
シロディール(帝国領)に近いロックガードの村にたった一つ、立派な屋敷が建っている。かつてアルゴニアンとともにブラックマーシュを開墾したダンマー(ダークエルフ)、その祖先である古代種“アイレイド”文明の研究家であり、また武道家、哲学者、経済学者としての側面を持つ村の名士の邸宅である。
その功績と人柄の好さゆえ“センセイ”と呼ばれ慕われる初老の男とともに、ベランダに立つもう一人の男の姿があった。
男の名は“ドレイク”。
ロックガード東部の都市ヘルストロムにて五十名を数える門下生を持つ剣術道場の師範代であり、これもまた街の名士にして、地方豪族の末裔であった。
キルティングが施された白い絹織物のローブという服装のセンセイと、黒い外套を纏い腰に大小を差したドレイクの対比は、端から見れば(また双方の年齢差からしても)親子のように見え、事実、この二人はドレイクが幼少の頃から付き合いの深い仲であり、ドレイクにとってセンセイは気性の激しく子育てに興味のない実父よりもよほど父親のかわりであった。
そしていま、ドレイクは実の父よりも父のように慕っていた恩人に別れを告げるため、この場所に立ち寄っていたのだった。
「センセイ、突然こんな話をして、信じてもらえるかはわからないが…シレーヌが姿を消した。二人で森の中を歩いているとき、突如として開いた魔界の門に引き寄せられ、そのまま閉じ込められてしまったのだ。門は消え、俺はただ一人、取り残された」
シレーヌとは狩猟家の娘で、ドレイクの幼馴染であり、また、長年連れ添った恋人同士でもある。結婚しなかったのは、ドレイクの父がそれを許さなかったからだ。
思い詰めた表情で眼下の村落を見下ろすドレイクに、センセイが語りかける。
「おそらく、それはオブリビオンの門だろう。すぐに閉じてしまったのは、それが意図的に開かれたものではない、不安定な存在だったからだ。おそらくは、何らかの力の余波…」
「余波、とは?」
「近頃、帝国領でデイドラ公メエルーンズ・デイゴンの顕現を目論む動きがあるとか。破壊と変革をもたらし、天災を象徴する存在…その崇拝者である、深遠の暁と呼ばれる集団。その足跡を辿れば、あるいは娘の行方を追えるかもしれぬ」
「俺は…行かなければならない」
「婚姻を許されなかった娘のために、確たるあてもなく、シロディールへ?ドレイクよ、道場はどうなる?一族にはなんと申し開きをするつもりか?」
「俺は気づいたのです。一族の栄誉、自らに課せられた使命、それよりも大切なものがあるということを。彼女を失い、ようやく…それを取り戻すためなら、俺は他のすべてを捨てても構わない」
「…一族の誇りのため、実の弟でさえその手にかけた男が、いままで頑なに守り、自らの人生の指標としてきたものを捨てるというのか。たとえ娘を取り戻せたとしても、二度とこの国の土を踏むことはできまいぞ」
「もとより承知のうえ。貴方とも、二度と会うことはないでしょう。センセイ…貴方から受けたこれまでの御恩、決して忘れることはありません。今日は、それを伝えに来ました」
背を向けて村から去っていくドレイクの姿を見つめ、センセイはため息を漏らす。
「…あまりにも。こうしてみると、あまりに。早い別れであった、若き獅子よ……」
老人の心はいま、過ぎ去りし日々のなかにあった。
厳しい伝統と鍛錬によって心を削られながらも、その瞳の奥に輝きを残す少年の姿。長きにわたり燻り続けていたその光はいま、自らの肉体をも焼き尽くす灼熱としてドレイクを包んでいた。
おそらくドレイクは、自らの胸に抱く希望によって命を落とすことになるだろう。
そう思うと、センセイは悲嘆せずにはおれなかった。
また舞台は変わり、帝都港湾地区の一画。
これは皇帝が独房を訪れるより前、密売人の凶刃を受けた娘がその原因である捕り物に直面するよりも前のことである。
いままさに日が落ちようとしていたところ、ルマーレ湖に面した貧民街のあばら家にて目を醒ました一人の男がいた。
「モ…モンテスキュー!?」
極めて奇ッ怪な単語を口にしつつ飛び起きる男、美男子というよりは三枚目と呼ぶにふさわしい容貌の青年は窓の外を見つめ、すっかり赤く染まったルマーレ湖を見るに至り、その慌てぶりはいっそう輪をかけたものになった。
「しまったー!寝過ごした!今日は皇帝暗殺の日なのに!!」
…このうっかり者、彼こそは人類に死と破壊をもたらす邪悪なデイドラ公メエルーンズ・デイゴンをこの地に呼び寄せようと画策する密教団“深遠の暁”信者にして、皇帝ユリエル・セプティム七世とその血統を根絶やしにすべく集められた暗殺部隊の構成員。
名を、エロール・ヴェスイウスという。帝国人(インペリアル)にして、かつてはメイジギルドに所属する魔術師であった。
The Elder Scrolls IV: Oblivion
Fan Fiction "Crossing Over" #1
Fan Fiction "Crossing Over" #1
- エルダースクロールズ4:オブリビオン -
Side Story【クロッシングオーバー】
第一話 「はじまりの刻」
【 To be continued ... 】
2018/03/31 (Sat)05:00
どうも、グレアムです。Day R Survivalをプレイする傍ら、Oblivionのほうもボチボチいじってます。
まずはWezaleffちゃん風キャラクターを使ったウェスタン系アイテムの製作ですね。上の画面写真の1ドル銀貨はかなりよく出来てるんじゃあないかと思います。バニラのセプティム金貨の改造なんですが、Meshからいじってるので、ほぼほぼ別モノになっています。
これでもTexture解像度はそんなに高くないんですよ。256Pixelで、せいぜいバニラのセプティム金貨の二倍です。MODによっては小物にまで1k Texture使ってたりするんで、ああいうのはさすがにマシンパワーの無駄食いという気がしないでもない…
そしてレミントンM1858のシリンダーです。Mount and Blade: Warband用のMOD、1860s Old Americaから移植したレミントンM1858のMeshをBlenderで削ったりなんだりしてこしらえました。この銃は元のMeshの出来が良い(特にシリンダー)ので、弄くってて楽しいです。
これだけには飽き足らず、さらにリアルなリロード・シーンの再現を目論み、ローディング・レバーを下げてシリンダーを外した状態の銃本体も作成。それぞれ(例によって)内部的には片手剣と盾装備扱いで、二挺拳銃が可能になっています。
じつはシリンダーをStaticオブジェクトとアイテムの二種類用意したとき、ニアミスが原因でCollision作成に相当な時間がかかってしまったんですが、その話はさておく。
…間違えて別の名前で延々と上書き保存してたことに気づかず、ゲーム画面を確認しながら「おっかしいなー不具合が改善されない…なぜだーなぜだー」と無駄に試行錯誤しながら半日過ごしただけだからな!
あとはちびのノルドの新バージョンを作る傍ら、現代的オブジェの素材を探すためひさしぶりにDuke Cityを訪れたりしてました。これは現代的な都市を追加するMODで、ワープゲート(見た目がもろスターゲイト)を通って別ロケーションに飛ぶタイプとなっています。
元ネタはいわずもがなDuke Nukemシリーズですが、他にも多くのパロディ要素が存在します。どうもアチラのmeme要素もけっこう混じってるらしくて、中には元ネタがわからないやつもけっこうあるんですが。
都市に到着したらしたでいきなりゴロツキに襲われ、いつの間にか近くにいたチャック・ノリスが助けてくれるというぶっ飛び展開が。そういえばここ、そういう場所だったな…
最初の宇宙船?っぽいエリアがわりと動作軽かったんで油断してたんですが、さすがに都市の中はかなり重くてなかなか行動がままなりません。
どうも現行環境だとTextureのメモリ消費量がネックになるらしくて、女性キャラをDisableで消すとガッツリ軽くなったりするんですよね。女性の場合は肌Textureとか装備品のTextureでガッツリメモリを喰ったりするんで。
ただ、現行環境だと他MODの和風サムライショップ・武礼堂の建物内が信じられないくらい重くて、あれの原因がちょっとわからないんですよね。光源がアヤシイ感じもするんですが、確証がないです。
あと、Duke City内で一般人を殺傷し、警察書の独房でお勤めしてたらルシエンさんから勧誘がありました。おまえ本当にどこにでも現れるな!吉田戦車の漫画の登場人物か何かか。
まあそんなことをしつつ、シコシコとちびのノルドを改良しておりました。腕に巻いてある包帯のテクスチャを自作したりとか。包帯で巻かれてる部分はちびのノルド常用装備であるR18PN Armorの素体に使われているHGECの腕部分を切り取って作ったもの(つまり独立したMesh)なんですが、とにかくHGECのUVマップがクソ扱い辛くてかなり苦労しました。
上の画面写真のうちDuke Cityにいるときはまだロープだかなんだか、バニラのTextureの流用なんですが。
同じくちびのノルド常用装備であるBaron Armorのヘルメットのバイザー部分だけを独立させ、目が見えるように&髪が自然に見えるようにMeshをいじくり倒してます。
今後、いままで執筆を続けていたSSシリーズとは別に、ストーリーを再構成という形で新しく話を書き直そうと思ってます。だいたい映画一本分の尺を想定し、全12回程度での更新を予定しており、今回のちびのノルド改良はその布石だったりします。
いままでの話を捨てるわけじゃなく、あくまで別展開ということで、言うなれば平成ライダーのTVシリーズと劇場版のようなモノ(という例えで合ってるかどうか…)。なのでキャラの諸設定も意図的に変更しています、今回の画面写真でちびのノルドが負傷しているのは旧SS執筆前に構想してた古い設定を再利用したためです。
…とはいえ、旧SSのほうも一旦設定をリセットしたい思いはあるんですけどね。とりあえず異世界出張組の三人(リア、ブラック17、ミレニア)をリストラしたい。前にも書いたけどあの三人は元々俺自身のオリジナルの創作とクロスオーバーさせる予定で、今もうそれをやる気はないので、だったらもう、たんにOblivionの世界観から浮いてるだけのキャラでしかないよね…ということになってしまうんで。
あのへんはもう、やり直すとなるとそれはそれで面倒なので、何食わぬ顔していきなり別キャラをレギュラーに据えちゃおうとか考えてるんですが。異世界から召喚されたならされたで、今だったらそれこそ特定の世界観を持たない現代人とかそういう系のアプローチにしたいですし。
とりあえず、今さらでも書きたいと思ってる話はちびのノルドとアルゴニアンのドレイクに集中してるんで、ぶっちゃけ、この二人さえいればいいというのは俺の中であります。
まあ、そんなことを考えつつアレコレ用意しているわけです。
2017/11/05 (Sun)19:20
どうも、グレアムです。相変わらずMount and BladeのMODからOblivionへモデルを移植していろいろいじってるんですが、あれこれ手を出しすぎてもう何がなにやら…
とりあえず前回レーニン像を追加したから、じゃあブルーマの旗もソ連の旗に変えて衛兵にモシンナガン(銃剣つき)を持たせようぜ。とか考えてたら上の画面写真の通りになりました。名づけてブルーマ赤色化計画。赤色化っていうかソ連じゃねーかっていうか近代化もしてる気がするけどまあいいや。
そのうちトラックとか戦車も追加するかもしれない。これで何時オブリビオン・ゲートが開いても怖くないぜ!
服装に関しても、たぶん移植は可能だと思うんですが、防具の場合は武器や他のアイテムと違ってボーンのペアレント設定とかまた色々面倒臭くなるので、ちと保留です。
せっかくなので建物も追加してみるか、ということで1860's Old Americaから二階建ての木造家を移植してみたのですが、これが思ったより違和感がなくて、かえってアピールに乏しいのでこれは没にしました。わざわざ追加する必要ないよね…というか。
あとBlenderのCollision生成では空洞を作れないので、単一のモデルでこの見た目通りの判定を持たせるとなると、ちと難儀なのだ。テスト的に箱型Collisionを複数作成&拡縮でそれっぽく作ったときはいちおう機能したものの、なんとなく構造的にまずそうな感じがしたので、これもやはり保留案件行き。
いやまあ、あくまで自分用に作ってるだけなので、そこまでシリアスに設定する必要はないんだが(ぶっちゃけCollisionを適当に作って撮影時はTCLで衝突判定OFFにすればいいわけだし)、それはそれとして、いちおうちゃんとした作り方も知っておきたいよね…という欲が。
それじゃあ、他の追加物もボチボチ見ていきましょうか。
拳銃はMelee武器用のポーズでもそれなりにそれっぽく見えなくもないんですが、長物に関してはちゃんと「ライフルを扱っているポーズ」でないと見映えがしない(Skyrimではクロスボウがあるからまだ色々代用は利くんだが)ので、Gun Gimmick Poseというのを導入&改造して運用してみました。
ただ、これは…この構えでは銃は撃てないよね、という部分がどうしても気になってしまって。
いや持ち手の問題じゃなくてですね。今回、立射の画像は撮影してないんですが、真横を向いてるうえボッ立ちで重心が高いというのはさすがにまずい(典型的な素人持ちになってる)ので、長物のポーズに関してはそのうち自分で作る必要があるかなあと思ってます。
それとはまた別に、ライフル系は背中に背負わせたいがあまり両手武器で作ってしまった弊害から、そのまま銃を構えるポーズを取らせると銃本体が90°上に向いてしまうんですよ。なので上の画面写真では装備ではなくギミックポーズで銃を持たせてるんですが、やはりそれは面倒臭いので、そのうち片手武器用のライフルを作るか、ポーズ作成のとき武器のボーンを回転させるかして対処しようと思ってます。
ただ持ち手に関してはこだわりだすとキリがないので、そこそこ適当にやっちまおうとは思ってるんですが。
拳銃ともども、汎用ポーズを一つか二つ作っておけば便利なのかなあとは思ってます。
…と思ったら立射ポーズも撮ってたわ。上半身だけだけど。
こちらはコルトM1855カービン、なかなかレアいというかウェスタンでもあまり見かけないブツです。ちなみにマズルフラッシュはどうやって撮ってるのかというと、じつはこれ、暖炉の火なんだよねぇ。
ブラックパウダーの銃は発砲煙がすんごいことになるので、そのうち煙も追加したいなあとは考えてます。クヴァッチなんかでよく見かける、煙吐いて炎上してるMeshの改造でどうにかならんかなあと思案中。
現代火器もボチボチ追加しております。こちら右側はモスバーグM500、左側はスパス12。それぞれThe Reckoning、Battlefield Modからの移植です。
このスパス12がかなり緻密にできてて良いカンジなのですが、はじめ移植したときにコリジョン判定が異常なことになってて、インベントリから捨てると落下後に向きが固定されて動かせなくなる&地形の衝突判定が消えてプレイヤーが奈落に落ちる&CTDするというものすげーコンボを連発してきたから困った。
Nifskopeでパラメータを見ても特に他と変わった部分は見受けられなかったので、ひとまずBlenderでCollisionを再生成したところ解決したという。解決っていうか、そもそも何が問題だったのかすらわからないままでしたが。
あとはS&W M1911とMP443グラッチを移植。ちなみにこれ、ポーズは自作しました。本当は二挺用を想定したポーズではないんだけど、そこそこサマになるので転用。
画面が赤いのは夕方だから…ではなく、じつはこれオブリビオン領域の天気だったりして。
いやこのとき、晴天にすると水面が真っ白になる不具合が発生して…たぶんRealistic WaterかWater Reflection Blurのどっちかが不具合起こしてたんだと思いますが。まあ再起動で直ったんですけどね。
そんなわけで今回の成果物(しまった、モシンナガンを撮り忘れたぞ)。
お買い求めはジェンシーン武器商会中古店で!
「すごいですよ!超レア物ですよ!なんたって異世界の武器ですから!」
「いくらウチが故売屋だからって、こんな得体の知れないものばっかり持ち込まれても困るんだけどねえ…」
そんな会話があったろうか、なかったろうか。
「とりあえず扉の修理代を払ってもらおうか」
「アッハイ」