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2024/11/24 (Sun)00:30
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2016/01/13 (Wed)01:18





 トレーズ・ミドウィッチ…ヴァレンウッド出身、推定60歳のアルトマー(ハイエルフ)。
 アルドメリ軍の将校で、内戦問題を解決するため帝国軍に派遣された。現在はホワイトラン周辺の治安維持のため、山賊やストームクローク兵士の討伐にあたっている。




「スカイリムの寒さは身に堪えるね。なにか買っていくかい?」
「ふわああぁぁぁぁぁぁ!!ネコしゃんだ!ネコしゃんがいっぱいいるお!」
 動物(カジート含む)と接するときだけ童心に返るトレーズは、ホワイトランの前にキャンプを張るカジート・キャラバンを目の当たりにしてテンションが壊れた。
 幼少の頃に両親がカジート・キャラバンと取り引きしていたことや当時の思い出などを語り、かわりにリーダーのリサードからもエルスウェアの話を聞く。
 しばらく故郷の話を口にしたあとで、リサードはやれやれと首を振って話を打ち止めにした。
「これ以上は止そう。里心がついていけない」
「ネコしゃんはスカイリムで大変な思いをしてるんだお…でも大丈夫だお!サルモールがスカイリムを支配して帝国人やノルドを全員地獄に叩き込めば、ネコしゃんももっと快適に過ごせるようになるお!ネコしゃんはアルトマーのゲボ…友達なんだお!!」
「…サルモール?聞かなかったことにしよう」
「ネコしゃん…(´・ω・`)ショボン」
 どうやら彼らはサルモールのことをあまり快く思っていないらしい。それは虚無の夜の件ですべてのカジートがサルモールを崇拝していると考えていたトレーズに大きなショックを与えた。




 ホワイトラン近郊で炎の精霊に襲われているムアイクを発見、これを手助けする。
「片付いたな」
「弱いよ!ネコしゃん弱いよ!?」
 岩陰からひょっこりと姿を現し、まるで自分が倒したかのような台詞を口にするムアイクに、トレーズは裏声で叫んだ。







 その後、ホワイトラン周辺をパトロールしていた衛兵の報告をもとに、トレーズはミストウォッチ砦を根城とする山賊の討伐へ出かける。
 砦の内部へ侵入するための扉には鍵がかかっていたが、トレーズより先に潜入していた男が鍵を所持していた。クリスターと名乗る、どう見ても戦士というよりは農夫といったほうがしっくりくる風体の男は鍵の譲渡と引き換えに、山賊に捕えられた妻フオラの救出を依頼してくる。
 だが驚いたことに、フオラは捕虜などではなく山賊の頭領その人であった。
 夫との退屈な生活に飽いた彼女は持ち前の剣の腕を発揮し、ここミストウォッチで山賊を纏め上げたのだという。
 トレーズは兜の下で舌を舐め、剣をかまえる。
「どのみち殺して有耶無耶にする予定だったが、山賊なら大義名分ができたというものだ。死ね」
「そう易々と殺されると思うな!」
 かくして山賊たちを葬ってきたトレーズと、山賊の首領フオラとの一騎討ちがはじまった。


「カアアァァァァッ!!」
「何ぃっ!?」
 ドガッ!!
 盾で剣撃を防ぎながら距離を詰めていくフオラ、トレーズの一撃を受け流し剣を振りかぶろうとしたそのとき、トレーズの体当たりが直撃し体勢が崩れる!
 その隙を見逃さずトレーズは大剣によるリーチの長い突きを繰り出し、フオラにとどめを刺した!


「それなりの強敵だった、やはり力強い剣捌きにかけてはネディックの末裔は優秀だな。女といえど」
 スカイリムに来るまで、トレーズはノルド人と戦ったことはほとんどない。
 レッドガードとは違う力任せの戦法を直に体験しつつ、やがてはこうした連中と戦火の中で剣を交えることになるだろうという予感を胸に抱きながら、トレーズは砦を出た。
 ちなみにフオラの救助を依頼してきたクリスターに「おまえの妻は山賊の頭領だったので斬り捨てた」と報告したところ逆上して襲いかかられたので、これも斬り捨てた。後悔はしていない、だってノルドだし。








 トレーズの山賊退治の旅は続く。
 ロストナイフ洞窟に山賊が集結しているという情報を得たトレーズは、罠だらけの洞窟内を慎重に進んでいく。
 かつてヴァレンウッドで両親とともに猟師を営んでいたトレーズにとって、物音を立てぬ移動と罠の回避はお手のものだ。たとえ、そう、重い鎧を身に着けていたとしても。その技術はアルドメリ軍入隊後の「ある特殊任務」でも非常に役に立った。ハンマーフェルへ派遣される前の話だ。


 山賊討伐後、檻に捕えられていたサーベルキャットがいつの間にか脱走していることに気づいたトレーズ。慌てて剣を構えなおすも、どうやらこの野獣に敵意はないようだ。
「飼い主に忠実、というわけでもないようだな。愛玩用…ではないか。闘犬、いや闘猫?どのみち趣味の良い目的ではなかったろうな」
 敵意がないなら殺す必要はないので、トレーズはこのサーベルキャットを放置し洞窟から出る。
 しばらく餌には困らないはずだが、もし今後人里に下りてきた場合…そのときは、手にかけることになるだろう。








「タアァッ!!」
 ドンッ、ボジュウウウゥゥゥゥウウウ!!
 トレーズが剣を振るうと同時にドラウグルが吹っ飛び、青白い炎に包まれるとともに爆発、塵と化す。
 その光景を目の当たりにしたノルドの戦士ゴルディールは、並のエンチャントではない剣の力に驚きの声をあげた。
「なんなんだ、その剣は…」
「フフン、太古にメリディア様の加護を受けし我が一族の宝剣よ。アンデッドと、貴様らの祖先たるネディック人の叛徒を屠るために鍛えられた業物だ。恐れ入るがよい」
「なんかいま、ものすごく不穏当な言葉を聞いた気がする」
「気にするな」
「うーん…」

 ここヒルグランドの墓周辺では、夜な夜なドラウグルが徘徊し近隣住民に被害が出ているという報告が挙がっていた。
 トレーズが調査のため内部に侵入した直後、ゴルディールと名乗る青年と遭遇。ドラウグルの出現は、ゴルディールの祖先の魂を汚そうと画策する妖術師ヴァルズ・ヴェランの仕業だという説明を聞き、トレーズは彼とともに墓所の最深部へと向かうことにしたのである。
 内部ではかなりの数のドラウグルと遭遇するも、対アンデッド特化のトレーズの武器ナリル・モリの魔剣の前では無力に等しく、やがて二人は事件の元凶であるダンマーの妖術師ヴァルズ・ヴェランと対峙する。


「死者は生者に仕えるためにいるのだ!その…なんだこいつは」
「おいあんた、そんなとこで何してるんだ!?」
 いつの間にかヴァルズ・ヴェランの隣で剣をかまえるトレーズに、ゴルディールが驚きの声をあげる。
 なにせトレーズの剣の切っ先はゴルディールに向けられているのだ。
「なにしてるもなにも。ノルドとダンマーだったら、どっちの味方につくかなぞ考えんでもわかるだろうに」
「アンタ何しにここへ来たんだよ!?」
「というわけで妖術師よ、私はおまえの味方だ」
「わけがわからん!」


 残念ながらヴァルズ・ヴェランに肩入れするルートは存在せず、トレーズとゴルディールは協力して彼が復活させた先祖の死体…武装したドラウグルの集団を撃破し、命乞いをしながら逃げ回りつつ稀に呪文を放つヘタレ思考な妖術師にとどめを刺した。
「これで死者が冒涜されることもなかろう…貴様はこれからどうするんだ?」
「俺はしばらくここへ残って、あいつのせいで死んだ叔母や、冒涜された祖先の亡骸の面倒を見なければならない。あんたには、世話になったな」
「そうか。それじゃあ、まあ…死ね」
「えっ?」


 ドシャアッ!
 ヴァルズ・ヴェランによって殺された叔母の死体の隣に、ゴルディールの巨体が沈む。
「肉親の隣に葬ってやろう。せめてもの情けだ」
「ゴハッ、がっ、な、なぜ…!?」
「ノルドだから。他に理由がいるのか?」
 相手が有益な情報を持っている可能性がある限り、相手がノルドであろうと、すぐに殺すことはない。
 しかし既に用済みだと判断した場合、トレーズの剣に「容赦」の二文字はなかった。




 現状では、首に懸賞金がかかるような活動をおおっぴらに行うことはできない。しかしその心配さえなければ、相手が何者であろうとトレーズの剣の標的であった。ストームクロークも同様である。
 ある砦に展開していたストームクロークの斥候たちにトレーズは急襲を仕掛け、これを壊滅させる。
「タロスなぞ信じる輩は一党平等皆殺しだ!望みの天国へ叩き込んでやる!」







 そんな無茶ばかりしていたせいか、あるときトレーズは道中で暗殺者の襲撃を受ける。
 二刀流の使い手であるカジートの女暗殺者が斬りかかってきたとき、トレーズはすぐ戦闘態勢に入ることができなかった。
「ネコしゃん!?ネコしゃんが襲ってくるのなんで!?」
 攻撃を大剣による防御で受け流し、牽制のつもりで剣を振りかぶる。しかしカジートの女暗殺者はその一撃で呆気なく死亡してしまった。


「ネコしゃん弱い!ネコしゃん弱いよ!?」
 普段は愛玩動物扱いとはいえ、命を狙われて加減するほどトレーズは呆けてはいない。
「…ていうか、暗殺者って白昼堂々正面から襲うもんじゃないと思うけどな…」
 半ば呆れつつ、襲われる謂れのない…というにはあまりにも語弊があるか…ともかく、いったい誰の命令で襲ってきたのか、手がかりを探るため暗殺者の持ち物を改める。
 優秀な構成員であれば、自らの素性や依頼者の手がかりとなるようなものは持ち歩かないはずだが…
 やがて一枚の手紙を見つけたトレーズは、その内容を確認した。
『我々が川のそばまで連れてきた婦人は怒りっぽい性格らしかった。バーバグは彼女を大人しくさせられると思ったようだが、力づくでやり過ぎたようだ。このことを聞いて、ボスが怒らないわけがない』
 …… …… …… ……
 …… …… ……
 …… ……
 これじゃない。
 どこで手に入れたのかすら忘れた謎の紙片をその場に捨て、トレーズは改めて暗殺者の持っていた手紙を読んだ。
『指示に従い、必要とあらばなんとしてでもトレーズ・ミドウィッチを排除すること。黒き聖餐は行われた。誰かがこの哀れな愚か者の死を望んでいる。既に契約の支払いは受け取っている。失敗は許されない。‐アストリッド』
「えっと…」
 どうやら組織的な動きであるのは確かなようだが。
「黒き聖餐、聞き覚えがあるな。この手口はなんだったかな…モラグ・トング、じゃないか。黒き兄弟、いや闇の一党(ダーク・ブラザーフッド)だったか」
 ダーク・ブラザーフッドに関しては(ゴシップレベルであるとはいえ)書籍が何冊か発行されているため、黒き聖餐や夜母などについての知識はいちおう頭の片隅に残っている。
 もっともトレーズは諜報畑ではなく、裏社会との繋がりも乏しいため、直感的にピンとくる名前ではなかった。
「殺し屋か…面倒だな」
 これはそのうち対処しておかなければならない問題だな、と思いつつ、トレーズはその場を後にした。




 日が暮れたので、イーストマーチの温泉地帯にてキャンプ。
 トレーズの山賊殺しの旅はまだまだ続く。



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。相変わらずメインストーリーが進んでないです。おかしいなあ…
 しかしSkyrimをプレイしてて感じるのは、Oblivionのときとは違い、登場キャラクターの思想やクエストの内容がタムリエルの歴史観に直結している、ということです。
 Oblivionのクエストは基本的にどれも「なんか悪いやつが悪事を企んでるからそれを潰す」で済まされるレベルだったんですが、Skyrimの内戦問題や民族的な対立に基づく争いはそういう勧善懲悪的なものとは一線を画していて、どうしてもその背景を探らずにはいられなくなります(世界的な災厄であるドラゴンのほうが印象薄いってのもどうかと思いますが)。
 いずれにせよ、「どちらが正義で悪なのか」「どちらに加担するのが正しいのか」などという短絡脳で判断することが許されない世界は、一筋縄ではいかない魅力がありますね。
 似たようなアプローチであるFallout: New Vegasは決断に対するアウトプット量がやや少ないうえ、「どれも気に入らないから俺が全部支配してやるぜー!」というお子様マインド全開な非現実的選択ができてしまう時点でちょいと評価が下がるんですが、さて、Skyrimではどうなるんでしょう。

 ちなみにトレーズのノルドに対する容赦なさに関してですが、これはかつてサルモールがサマーセット島に住むエルフ以外の種族を皆殺しにしたり、帝都陥落の際に民間人をもろとも虐殺したレイシストぶりを継承しているものです。
 衆人環境で大組織を敵に回すほど見境がないわけではありませんが、大義名分が存在するか証拠が残らない状況であれば迷わず凶刃を振るう危険な人物という設定です。彼女としては「自分は正しいことをしている」という認識なので、そこに罪悪感はありません。行動原理は犯罪者のそれではなく、あくまで国家と祖先への忠誠なので。
 すぐに手が出る性格は、あるいは彼女の祖先であるアイレイド滅亡にもっとも貢献したと思われる虐殺者…もとい聖騎士ペリナル・ホワイトストレークへのコンプレックスによるものという可能性もあります。ふたたびエルフが大陸の覇権を握るには、目前の敵は叩いて潰す圧倒的な力が必要であるという認識が彼女を凶行に駆り立てているのかもしれません。











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2016/01/11 (Mon)15:36






「ネコしゃんだ」
「仲間と冒険に出るのを好む者もいるが、ムアイクは独りの方がいいと思う。こっそり歩けば敵と揉めずに済む」
「ネコしゃんだー」
 双子の月を背景に佇むホラ吹きのムアイクと、リンダイの黒騎士トレーズ。
 彼女はこれまでカジートと接点を持ったことはほとんどない。故郷であるヴァレンウッドはカジートの国エルスウェアと国境を接していたが、彼女が住んでいたのはサマーセット島に近いヴァレンウッド西部の村コリ・シルムーアで、ときおりファリネスティとウッドハースを行き来するカジート・キャラバンが通過するのを遠目で見かける以外は、言葉を交わしたことすらなかった。
 アルトマーでありながら狩猟を生業とするトレーズの家族がカジート・キャラバンと交渉することはあったが、ハンターだった頃のトレーズはまだ幼く、取り引きは専ら両親の仕事だった。そしてヴァレンウッドが正式に帝国からアルドメリへ譲渡され、その出来事を契機にアルドメリ軍に入隊してからは、そうした仕事とも無縁になっていた。
 これまでモフモフの毛皮に憧れながらも、どこか近づき難い雰囲気を纏わせるカジートと接したことのなかったトレーズは、ムアイクと会話ができることに素直に感動していた。
「ネコしゃん」
「ムアイクの話はおしまい」
「ネコしゃん…」








「せいっ!」
 ドガッ!
 トレーズの見事な一太刀が、屈強な山賊の首を刎ね飛ばす。と同時に、山賊の身体から溢れ出る生命エネルギーがトレーズの鎧ナリル・モリの装具へ吸収され、朽ちた肉体が草の上に横たわった。
 ドラゴンを屠りホワイトランの危機を救ったトレーズの当面の任務は、周辺の治安維持だった。スカイリムには数多くの犯罪者が跋扈しており、内戦に備え都市を防衛するだけで手一杯の衛兵隊にかわって、トレーズがそうした脅威の排除を任されたのである。
 いずれソリチュードへ向かったハドバルからの連絡が来るはずだ。それまでの退屈しのぎだった。




「ネズミしゃんだ」
「ギギー」
 翌朝、山賊の根城と目される洞窟へ向かったトレーズは、友好的なスキーヴァと遭遇する。
 人間族に対しては激しい嫌悪を抱くトレーズだったが、基本的には自然や動物を愛する性格であり、無益な殺生は好まない。
 ときおり人間相手に無益な殺生を働くこともあるが、彼女にとってアレッシアとネディック人の子孫に相当する人間はすべて歴史的な恨みを晴らすための処刑対象であり、それだけで彼女には「有益」と判断される行為だった。
 そのいささか過激な主張ゆえ、トレーズが「根は優しい性格」だなどと認識されることは、(アルドメリの復権を願うサルモールでさえ)まず、ない。




「ムウ…やはり目立つな、この鎧は…」
 暗がりから様子を窺うも、いつ発見されるのではないかと内心で冷や汗をかくトレーズ。
 もちろん、いつまでも姿を隠しおおせるはずもなく…
「お、おいっ、なんだあれ!?」
 あまりに特異な外観ゆえか、まず「敵」ではなく「得体の知れないもの」として山賊に認識されたトレーズ、その動揺を見逃すことなく素早い動きで飛びかかり、山賊たちをあっという間に斬り伏せていく。


 ドガッ!!
「治安維持に興味はないが、どのみち、将来は我々がこの地を支配するのだ。貴様らのようなクズを生かしておく気はない、帝国やストームクロークよりも先にソブンガルデとやらへ向かうがいい」
 とりあえず「ノルドさえ殺せればなんでもいい」気のあるトレーズは、この雑用めいた活動もそれほど不服ではなかった。
 ちなみに写真だとカッコ良く決めているように見えるが、よく観察すると右足の膝裏に矢が刺さっている。これは衛兵にならざるを得ない。




「なに見てるニャアーッ!!」
 夕暮れ時、戦闘で浴びた血を洗い流すために水場で身体を清めるトレーズ。








 後日ホワイトランにて、アリクル戦士の依頼でレッドガードの女の捜索を受諾したトレーズはバナード・メアの宿で下女として働くサーディアを誘き出し、アリクル戦士ケマツのもとへ差し出す。
 サーディアを麻痺の魔法で捕えたのち、ケマツはことの真相を語った。
「こいつはハンマーフェル南部の街タネスをアルドメリ自治領に売り渡した裏切り者だ。そのため、先の戦争では甚大な被害が生じた…私の任務はこいつを処罰するため、ハンマーフェルへ連れ帰ることだ」
 その言葉を聞いた途端、トレーズはサーディアの首を刎ね飛ばし、続いて、ケマツをも斬り捨てる。
 反撃する間もなく腹に剣を突き刺され、ケマツは苦しそうに呻きながら地面に倒れた。
「軽装なのが災いしたな、アリクルの戦士。その自慢の曲刀は…少々厄介なのでな」
「きっ、貴様…なぜ……ッ!?」
「その女はもう用済みだ。そして、レッドガード…いや、アリクルの戦士よ、貴様らに歴史的な恨みはないが、個人的な宿恨があるのでな…生かしておくわけにはいかん。仕事を頼む相手を間違えたな」
 これまでケマツは、トレーズが兜を脱いだ姿を見たことがない。
 つまり、彼女がアルトマーであることを知らなかった。
「貴様、まさか…アルドメリの…!!」
「これでも首に懸賞金がかけられる程度には有名だったのだがな。もっとも、この鎧に見覚えがないとすれば…おまえと出会ったことはなかったかな?」
 げはっ、大量の血を吐き、ケマツが息絶える。
 トレーズは踵を返し、一連の様子を見守っていた馬屋の主人に金貨の詰まった袋を渡した。
「衛兵を呼んで、死体を片づけてもらえ。迷惑をかけたな」
 それだけ言うと、不服そうな馬屋の主人を無視し、トレーズはふたたびケマツを一瞥した。
「…あれから、もう20年か……」

 第4紀171年、ヴァレンウッド国内での特殊任務を終えたトレーズは少数精鋭の偵察強襲部隊に編入され、ハンマーフェル南部の港湾都市ギレーンへの上陸作戦に参加した。
 アルドメリ軍のハンマーフェル侵攻部隊は大部分がヴァレンウッドからシロディール西部を経由しての陸路で移動していたが、トレーズの所属する部隊は奇襲のためサマーセット島から海路で侵入し、誰も気づかない深夜のうちに橋頭堡の確保に成功していた。
 はじめての大規模戦闘に参加したトレーズは多大な戦果を挙げ、173年にはハンマーフェル北部の城塞都市スカベンの陥落に尽力し、その功績から勲章を授与されるとともに、ハンマーフェルから多額の懸賞金をかけられることになった。
 しかし翌年の帝国軍の大攻勢でスカベンに展開するアルドメリ軍は甚大な被害を出し、アリクルからの撤退を余儀なくされた。
 シロディールで赤輪の戦いと白金協定の締結が決定したとき、トレーズはハンマーフェル南部の駐留軍施設で待機していた。両軍に多大な損害が出ていたうえ、シロディールでの情勢が非常に不穏だったこともあって半ば休戦状態にあり、歴史的に大きな進展があったこの年は、むしろハンマーフェル方面軍にとって束の間の休息の時間であった。
 しかし白金協定を認めず帝国からの独立を宣言したハンマーフェルとアルドメリの争いはむしろ大戦後に勢いを増し、ストロス・エムカイ島で停戦条約が締結され、アルドメリ軍の全面撤退という屈辱的な結末を迎える180年まで、トレーズはレッドガードの戦士たちと剣を交え続けたのである。

 レッドガードはアレッシアともネディック人とも関係のない、アイレイドとはまったく接点のない血族であったため、トレーズがノルドや帝国人に抱くような、歴史的報復の対象ではない。
 しかし先の戦争で苦戦を強いられ、辛酸を舐めさせられた相手とあって、かつての敵国だったこともあり(現在も決して友好的ではない)、敵視していることに変わりはなかった。もっともノルドへ抱く「かつての奴隷種」のような蔑みではなく、好敵手に抱く敬意のようなものを持ち合わせている点において扱いに明確な差はあったが。
 9年に渡るハンマーフェルでの戦場生活を思い出しながら、トレーズは仇敵たるレッドガードの戦士にわずかばかりの敬意を示したあと、その場を立ち去った。



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。
 今回はストーリー的な進展は皆無です。まあ、もともとただのプレイ日記にする予定だったし、そのことに反省はないのですが、しかし現行の話を進めるよりも過去の掘り下げのほうが楽しいなあ…
 アルドメリとレッドガードの9年にわたる戦争は非常に興味深い出来事なのですが、なにせ資料が作中の本「大戦」くらいしか存在せず、そのほとんどを想像に任せるしかないという現状。
 TESシリーズの歴史に不透明な部分が多いのは小説版が邦訳されてないのもそうなんですが、単純にシリーズ進めるごとに年代が飛びすぎるんですよね。特にSkyrimで。その間に何もなかったかっていうと全然そんなことはなくて、それこそゲームの題材にできるような出来事が山のように起きているという。このへんのリソースはもうちょっと上手く活用して頂きたいものです。設定を詰めるのは大変そうですけども。

 さて今回は上記のあれこれとは別に、ある実験をしてみました。
 前作Oblivionにて、コンソールコマンドCreateFullActorCopyでオリジナルキャラを幾らでも作り出せる(正確にはプレイヤーキャラをコピーしたあとShowRaceMenuでキャラを作り直し、さらにそれをコピーして違うキャラを作り出す…という手順を繰り返す)ということ、そしてSkyrimではこのコマンドが使用できないため、オリジナルキャラを登場させるにはフォロワーを作るしかないのか?という懸念は以前から書いていた通りです。
 しかし先日、俺はあることに気がつきました。
「PlaceAtMeでプレイヤーを召喚したらどうなるんだ?」と。
 正確にはプレイヤーのBaseIDたる000007番を新たに登場させた場合、そこに何が誕生するのだろうか、という疑問。せっかくなので、検証してみました。




『不細工!』
「うわっ、なんだこいつ!?」
 そこには、Skyrimのメインビジュアルたるドヴァキン装備(通称)に身を包んだ女の姿が!


 兜を外すと…
『なんだおいやんのかテメー!』
「わ、私だ…」
 そこには寸分違わぬ容姿のトレーズが!


 せっかくなのでコンソールコマンドを使って私服姿に着替えてもらった。なんか姉妹みたいだ。
 さて、オリジナルはどっちでしょう?


 最後はポーズをとってキメ。
 ちなみにこういうパンツ一丁のスタイルは、見田竜介氏の漫画の影響であります。



 ま、そんなどうでもいいカミングアウトはともかくとして、だ。
 PlaceAtMeで呼び出されたキャラの容姿はプレイヤーと寸分違わぬものだが、ステータスから所持アイテム、取得魔法に至るまで完全にコピーしたCreateFullActorCopyとは違い、その性能は大きく異なる。
 まずレベルは召喚時点でのプレイヤーと同じだが、ステータス(体力、マジカ、スタミナ)は100のまま(この召喚トレーズはマジカが150だったが、それは当環境のYgNordはアルトマーの特性を継いでいるため)。スキルも初期値のままであるようだ。
 また魔法も最低限のものしか覚えていないうえ、所持品に至ってはドヴァキン装備のほかに雑多なポーション類、ドラゴンボーンの書など、いかにも冒険初心者を意識したようなものがセッティングされている。
 なによりも特徴的なのは、こいつ、近くにいると延々とプレイヤーのことを罵ってくるのである。曰く『不細工!』『団子っ鼻!』『でかいケツだな!』『トロールの餌だな』etc、etc…
 それも声にはエコーがかかっており、日本語環境の場合、ちゃんと音声も日本語のものが用意されている。
 俺はSkyrimのシナリオをそれほど進めていないため、これが後のイベントに使われるのかどうかは判断がつかない。デイドラ関連のイベントで登場しそうな気配があるのだが、しかし関連語句で検索してもこのドッペルゲンガー・ドヴァキンに関する情報がまったく引っかからない以上は、コンソールを使ってキャラを複製しようとしたプレイヤーのために用意されたベセスダのお遊びという気がする。

 あまりに口が悪いので好戦的なのかと思いきや、数発殴っただけで頭を抱えて逃げてしまった。ヘタレすぎる。
 ちなみにロードを挟むと髪が銀色になってしまった。おそらくECEの機能で銀髪をベースに色調整をしていたからだと思うが、どうもPlaceAtMeで作り出したキャラはECEの機能に依存するパラメータ調整を保持できない気がする。仔細に検証したわけではないので、断言はできないが…
 ともかく、写真撮影のみが目的ならModを使わずともゲーム内だけでオリジナルのキャラを作成しておくことは可能なようである。といっても今回は自作キャラを複数用意しての小芝居をやるつもりはないのだが、覚えておいて損はないだろう。




 実際のゲーム画面はこんな感じ。












2016/01/09 (Sat)21:15






「この美しい自然、蛮族などには勿体無い光景よ。いずれここも我らが…」

 トレーズ・ミドウィッチ、スカイリムの内戦問題を処理するためアルドメリ自治領より派遣されたアルトマーの将校。別名「リンダイの黒騎士」。現在は帝国軍と協力し、反乱軍ストームクロークと、突如出現したドラゴンの脅威を排除すべく活動している。








 リバーウッドにて潜伏中、スリーピング・ジャイアント亭で錬金材料を買い込み片っ端から賞味したところ、全身から緑色の、見るからに不健康そうな光を放つようになったトレーズ。
「…大丈夫か?」
「気遣いは無用!」
 店番のオーグナーがいつになく不安そうな表情で見守るなか、いかなる形であれノルドに憐れみをかけられることを是としないトレーズは強気な態度でぴしゃりと言いつけた。




 四六時中甲冑姿でいるのも疲れるので私服に着替えたトレーズ、しかし背後に感じる不穏な視線が気にかかる。
「誰かに監視されてる気がするな…」








 数日後、スカイリムの中心に位置する都市ホワイトランへドラゴンの脅威を伝え、リバーウッドの保護を求めるべくトレーズは出発した。
「べつにあの村がどうなろうと知ったことではないが、本来の任務を考えた場合、帝国派のホワイトランの庇護下へ置くほうが都合が良いな。それに、兵の派遣は周辺都市への挑発になる…すこし刺激してやる必要があるだろう」
 トレーズの目的はとっとと大規模な戦闘を起こし、内戦問題を終焉に導くことである。もっともその真意は、ストームクロークを壊滅させタロス信仰をスカイリムから根絶やしにすることで、そのうえで国政がガタガタになればなお都合が良い、という酷いものだったが。
「それにしても、妙な天気だ…」




 ホワイトラン正面のペラジア農園を通りがかったとき、山賊のような風体の戦士たちを目撃する。
「本当の戦士なら、巨人と戦える機会を棒に振るなんて考えないはずだけどね」
「ハァ?」
 いきなり「期待はずれだ」みたいなことを女戦士に言われ、兜の下で怪訝な表情を浮かべるトレーズ。
 視線を周囲に巡らせ、畑の土の上に横たわる巨人の死体を見たとき、トレーズはようやく事態を把握した。どうも、本来なら自分は「彼らが巨人と戦っている現場へ遭遇する予定だった」らしい。
 こういう現象を、トレーズは「世界のズレ」と呼んでいる。
 たとえて言うなら、星霜の書「エルダースクロールズ」に記された予言が的を外したかのような、本来起こり得ないはずのパラドクス。誰がどう見ても違和感のある光景を、なぜか、だれもが受け入れる奇妙な現象。
 それを明確な異常として知覚する能力をトレーズは持っていた。
 もちろん、それがわかったところで、どうなるものでもないのだが。
「それにしても気になるのはあの連中だ。同胞団などと名乗ったか…なんなんだ、あの原始人めいた装備は?かつて帝国に存在した、戦士ギルドのような存在らしいが…スカイリムのノルド人は、あれを傭兵として信頼できるのか?有り得んぞ」
 トレーズが思うに、金で仕事を請け負う戦士はその装備…というよりも見た目、見栄えにも気を遣って然るべきだと考えていた。良い装備というのは、戦士の社会的地位をダイレクトに反映するものだからだ。
 個人の能力が高ければそれで良い、というものではない(現代人的な感覚で言えば、セールスマンがフンドシ一丁で営業をしているようなものである)。
「やはり、こんなド田舎連中はさっさと滅ぼしたほうがいいな。うん」
 そうひとりごち、トレーズはホワイトランへと向かった。








 ホワイトラン首長バルグルーフとの謁見に臨んだトレーズは、ドラゴンに関する情報を集めるためブリークフォール墓地へと向かった。ちなみにソリチュードへの報告はバドバルが向かうことになっている。
 道中で待ち構える山賊を斬り伏せ、門をくぐり内部へと侵入する。


 殺した盗賊の所持していた、龍の爪をかたどった黄金のオブジェを使い最深部への扉を開く。
 墓地の奥は古代ノルドのアンデッド「ドラウグル」の巣窟となっていたが、トレーズの持つ「ナリル・モリの魔剣」はメリディアの加護を受けた対アンデッド用のエンチャントが付与されており、生ける屍どもを爆破焼却しながら先へと進んでいく。
 トレーズの先祖であるアイレイドの氏族リンダイは宿敵ネナラタの操るアンデッドの軍勢に苦戦させられた経緯があり、デイドラ・プリンスの一角メリディアへ祈ることによってオーロランの加勢を得ると同時に、対アンデッド用の宝剣をも賜っていた。それが、この剣である。
 もっとも…メリディアの加護をもってしてもネナラタと、アレッシアの攻勢を覆すことはできなかったのだが。なにより、あの悪名高い虐殺者ペリナル・ホワイトストレークに対してはリンダイの技術を総結集して造り上げた「ナリル・モリの装具」も無力に等しかった。
 ナリル・モリの装具…古代アイレイド語で「暗黒の終末」を意味する、剣、兜、鎧、篭手、具足の総称である。

 その後トレーズはホワイトランの宮廷魔術師ファレンガーの求めていた石版を入手し、帰還を果たす。








 しかし事態は急展開を迎えた。
 ホワイトランからそれほど離れていない監視塔がドラゴンの襲撃を受けたという。息せき切らせて報告に戻ってきた衛兵の言葉を聞き、バルグルーフは臣下のイリレスと多数の兵士の緊急派遣を決定する。
 トレーズもこれに同行することを決めた。ドラゴンがヘルゲンに出没したものと同じ個体か、そして自分の力がドラゴンに及ぶのかどうかを確かめるために。
「それに、ホワイトランは内戦の鍵を握る最重要都市だ。このままドラゴンに陥落されてはかなわん」




 西の監視塔へ舞い降りた龍はヘルゲンを襲ったものとは違い、幾らか力も弱かったが、それでも脅威であることに変わりなかった。
 多くの衛兵が炎や牙の餌食となり、自らも負傷しつつ、トレーズは剣を構えて突撃する。
「寿命が縮むから、なるべくこの技は使いたくなかったが…!」
 鎧の発光部が輝きを増し、血のように赤い光が剣に一点集中する。
 敵対者の命を喰らい、装着者の養分へ変換すると同時に、装具そのものの力と成すナリル・モリのウェルキンド・コア。その力のすべてを剣に集め、トレーズは連続した斬撃を繰り出した!
「喰らえ、ダゴン・メルディ( Destruction Driven )!!」
 膨大な魔力を帯びた剣の一撃はドラゴンの首を刈り取り、撥ね飛ばす!
 回転しながら宙を舞うドラゴンの首はなおも生命力を失っておらず、なんとその口から人語が飛び出した。
『見事だ、定命の者よ…満足だ、久しく満足なる戦いだったぞ。しかし我らドラゴンは不死、肉体死すともその魂は死なず。いずれまた会う機会もあろう…』
 ドズンッ、巨大な首が床に転がり、地面が大きく揺れる。
 しばらくドラゴンは無言のままだったが、その肉体が炎に包まれ、全身から放たれるオーラのようなものがトレーズの鎧に集束していく過程で突如、驚いたような声を上げはじめた。
『なに…これは、まさか…馬鹿な!貴様はドヴァキンではないはず、その…その装備はなんだ!?我の魂が吸われる、こんなことが…有り得ん!!』
 悲鳴とともにドラゴンの魂がナリル・モリの装具に吸収され、あとには巨大な骨だけが残された。
「フム、さすがは我が祖先の遺した装備だ。ドラゴンの命でさえ喰らうとみえる、おかげで力が湧いてきたぞ」
 普段から他者の生命を奪い生きているトレーズにとって、その対象が人間であろうと、ドラゴンであろうと、さほどに感想が変わるわけではない。
 しかしトレーズを取り巻く者たち、生き残りの衛兵やイリレスにとっては、そうではなかった。
「まさか、おまえは…ドラゴンボーンなのか!?」
「は?かめはめ波なぞ使えんぞ」
「そっちじゃない。おまえはドラゴンの魂を吸収しただろう、本来ならばドラゴンは不死の存在。肉体を滅ぼしてたところで何度でも蘇る…ドラゴンを滅ぼせるのは、その魂を喰らい不死性を奪うドラゴンボーンのみだ。おまえが、そうだというのか?」
「たぶん違うと思うぞ」
「いや、しかしだな…そうだ、ドラゴンボーンならばシャウトを使えるはずだ!力を声に変えて吐き出す能力だ、試してみてくれないか?」


 気が進まないながらも、兜を脱いだトレーズは周囲の視線が集まる中で雄叫びをあげる。
「…わうっ!」
「え?」
「え?」
 まるで子犬の遠吠えのような声に、衛兵一同はぽかんと口を開けてトレーズを凝視した。
「…真面目にやれ」
「やっとるわ!ドラゴンの魂を吸ったのは、我が氏族に代々伝わるこの鎧のおかげだ。言っただろう、私はドラゴンボーンではないと」
「うーん…」
「それにだ、その、ドラゴンボーンというのは龍の血脈を継ぎし者に与えられる資質なのであろう?あの薄汚い侵略者アレッシア、くそったれのレマン王家に抜け作セプティムの一族、そんな連中の血がこの私に混じっているはずがないだろうが!くだらん」
「おい貴様、いまの暴言を取り消せ!サルモールだろうと許さんぞ!?」
 そんなわけで…ドラゴン退治には成功したものの、グレイビアードの声も聞こえないこの状況で、世界はいったいどのように変化していくのか、それはまだ、誰にもわからない。



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。
 三回目以降は普通のプレイ日記に終始すると書きましたが、どうにも癖というのは抜けないもので、なんとなく物語っぽい語り口になってしまうのは性分なのかもしれません。
 以下、作中の補足。
 トレーズの使う剣には実際にドーンブレイカーの特殊効果を付与してあります(爆発効果のみ、ベースは炎ダメージではなく体力吸収がエンチャントされています)。まだ画面写真で登場はしていませんが、発動効果を100%に設定してあるので、そのうちドラウグル相手に爆破祭りを敢行できると思います。ちなみにこの能力、内部的には「メリディアの怒り」という名前がついてます。おっかねぇ。いちおうアンデッドにのみ発動するフラグを外せばすべての敵を爆破できるようになるんですが、さすがにビジュアル的にうるさすぎるのと、赤い生命吸収のエフェクトが目立たなくなるので没にしました。
 古代アイレイドの祖先に執着を見せるトレーズですが、当人はまだ5~60年そこそこしか生きていないピチピチのエルフなので、祖先の怨恨を実感としているわけではありません。あくまで後づけの歴史認識で、そこにかなりの偏見も混じっているので、アレッシアの血筋や、かつてアイレイドと敵対した者たち(と、その末裔)については過剰に口汚くなる傾向にあります。
 もっともペリナル・ホワイトストレークだけは別枠で、あの人だけ名を口にするのも憚れる恐るべき存在として認識しているようです。名前聞くだけで小便漏らすレベル。というかペリナルのキチガイバーサーカーぶりはTES登場人物の中でもぶっちぎりでヤバイですよね。ニューベガスのジョシュア・グラハムに匹敵するくらい。というか別世界における同一存在だろこいつら。
 最後にトレーズがセプティム一族のことを「抜け作」と呼んでいますが、これは一族にまつわる数多くの醜聞や、ユリエル七世がジャガル・サルンに10年近くオブリビオンの時空に幽閉されていたこと、一族郎党暗殺者に滅ぼされたことなどを指しているようです。好意的でない(当事者ですらない)第三者であれば、それを「間抜け」と解釈をする可能性もあるのかな…ということで一つ。
 基本的にトレーズは耳の丸い人間族を見下しているのですが、その裏にはアイレイド滅亡以後4000年以上もの間人間族の支配が続いていたことに対するコンプレックスもあるようです。あと、エイドラが割と人間族びいきなところも気に入らないらしいです。彼女自身はデイドラを崇拝しているのですが(敬虔なメリディア信者です)。












2016/01/05 (Tue)22:16




 帝国軍によるストームクロークの処刑が行われていたとき、突如現れたドラゴンによってヘルゲンは灰燼に帰した。混乱のさなか、黒騎士と帝国軍兵士ハドバルは道中に立ち塞がるストームクロークの兵士や巨大蜘蛛、野生の熊といった障害を排除し、砦の地下から外界へと繋がる洞窟を抜けてヘルゲンの脱出に成功した。
 安堵する間もなく、二人の上空を漆黒のドラゴンが飛び去っていく…


「…どうやら行っちまったようだな。俺たちの存在には気づかなかったようだ」
 岩陰から様子を窺っていたハドバルは胸を撫で下ろし、事態の収束をみて納刀する黒騎士に向かって謝辞を述べた。
「助かったよ。俺一人では、あの場を脱することはできなかっただろう」
「ノルド人の礼なぞいらん。それより、これからどうするつもりだ」
「ソリチュードに戻ってトゥリウス将軍にこのことを報告せねばなるまい。しかし距離が遠いうえ、このあたりはストームクロークの縄張りでもある。ヘルゲンの異変を聞きつけて部隊が派遣される可能性もある、いまの状態で旅を続けるのは危険だ。ほとぼりが冷めるまで、しばらく身を隠す必要がある」
「心当たりでもあるのか?」
「そう遠くない場所に、リバーウッドという村がある。俺の生まれ故郷だ。叔父が鍛冶師でな、そこで匿ってもらおう」
 それまでは束の間の休息も許されない…二人は呼吸を整え、背中に追っ手がついていないことを確認すると、街道を外れて山沿いに移動をはじめる。




 注意を怠らなかったせいか、これといった問題もないまま二人はリバーウッドに辿り着いた。
 型で抜いたような牧歌的農村、戦乱などとは無縁の平和な場所…こんなところを争いに巻き込んではならない、と思っただろう。ここがノルドの土地でさえなければ。
 侵略者が他人から奪った土地でのうのうと、故郷だと?
 黒騎士はハドバルの「故郷」という言葉の意味を考えた。自分が生まれた土地。自身のルーツ。心に平穏をもたらず場所。故郷、故郷…か。
 流された血、屍の上に築かれた目前のボロ小屋が、ハドバルにとっての故郷であるという。自身の、ノルドの土地であるという。
 侵略者はいつもそうだ。自らが破壊し奪ったものを省みず、まるで何もかも最初からすべてが自分たちの所有物であったかのように振る舞う。それが、黒騎士には我慢ならなかった。
 この平和な光景が、我慢ならなかった。
 もっともそれを態度に出すことはなく、鍛冶師であるという叔父の家へ向かうハドバルの後を、黒騎士は黙ってついていく。




 鍛冶師は、名をアルヴォアといった。
「ハドバル!おまえ、どうしてここに…それに、隣にいるやつは何者だ?」
「頼む叔父さん、声を抑えてくれ…中で話そう。込み入った事情があるんだ」
 リバーウッド出身のストームクローク兵士も多いという、これまで表立って争いが起きたことはないというが、ウルフリックが捕えられ、内戦勃発が真実味を帯びた現在の状況では、何が発端で争いに発展するかわからない。
 ただならぬ事態であることは納得したらしいアルヴォアが、黒騎士の姿を一瞥して言う。
「珍しい装備だな。黒檀か?これだけのもの、俺にも作れるかどうか。それに、その光ってるのは…」
「流星硝子だ。この鎧と剣は我が一族に代々受け継がれた由緒正しきもの、我が氏族の技術の結晶だ。ノルドの鍛冶師風情が真似できるものではない」
 黒騎士の無遠慮な言葉に、アルヴォアが顔をしかめる。
 おそらく鍛冶師としての誇りがあるのだろう、文句を言いかけたアルヴォアを、ハドバルが慌てて止めに入る。
「待ってくれ、彼女は俺の命の恩人なんだ。彼女がいなければ、きっと俺は生きてここに立ってはいなかっただろう。本当に…色々と、複雑な事情があるんだよ。まず、話を聞いてほしい」
「うむ…」
 ハドバルの言葉に一応は納得したのか、アルヴォアは厳しい表情で黒騎士を睨みつけたあと、家の扉を開く。
 アルヴォアの家へ入るまえ、ハドバルが小声で黒騎士に耳打ちした。
「交渉は俺に任せてくれ。あんたがノルドを嫌いなのはわかってるが、頼むから口を閉じていてくれよ。これ以上事態をこじらせたくない」

 火の入った暖炉の前で、ハドバルはアルヴォアにヘルゲンで起きた一部始終を説明する。
 帝国軍がストームクロークの部隊と、指導者のウルフリックを捕えたこと。
 ヘルゲンで彼らを処刑したこと、そしてドラゴンの出現によって、処刑は最後まで完遂されなかったこと。逃げ延びた者のなかに、ウルフリックも含まれていること。
 ドラゴンの出現は脅威だが、それをストームクロークの活動と結びつけて考えるべきかどうか判断できないこと。
「なるほど、厄介なことになっているな。このあたりはストームクロークのシンパも少なくない、少し…ほとぼりが冷めるのを待ったほうがいいだろう。この家にあるものは自由に使っていい、ハドバル。装備も新調してやろう」
 叔父だからか、それとも帝国軍に装備を卸しているからか、アルヴォアは援助を請うハドバルに嫌な顔一つすることなく協力を申し出た。
 だが、件の黒騎士に対しては…ハドバルから「命の恩人」と聞かされていても、その正体に疑念を拭えないようだ。
「ハドバル、彼女は…」
「こいつは信用できるのか?」
 アルヴォアが言い終えるまえに、黒騎士が言葉をかぶせる。
 困惑の表情を浮かべながら、ハドバルは手のかかる生徒をあやす教師のような口調で言った。
「勘違いしてほしくはないんだが、多くのスカイリムの民が帝国や、ストームクロークのどちらかに加担して互いを憎しみ合っているわけじゃない。ただ、早く争いが終わるよう願っているだけだ。平和を願っているだけなんだよ」
「フン、奴隷根性の染みついたヒューマンらしい考えだ。反吐が出る」
 そうつぶやき、黒騎士はアルヴォアをねめつける。
 悪態をつく黒騎士に、アルヴォアも「どうやらこいつは面倒な性格らしい」と察したのか、すぐにつっかかることはなかったが、腕を組んで大きく息を吐くと、はっきりと大きな声で言った。
「…家の中では兜くらい脱いだらどうだ?」
 これに驚いたのは黒騎士ではなく、ハドバルだった。
 黒騎士の正体を…表向きのみ、ではあったが…知っている彼は、兜に手をかける黒騎士をいったん制止し、ことさら声のトーンを落としてアルヴォアに語りかけた。
「アルヴォア叔父さん、聞いてくれ。最後まで、いいかい。大きな声を出さないでくれよ…彼女の顔を見ても、決して驚いたり、追い出したりしないでやってくれ。彼女は…アルトマーなんだ」
「なに、アルトマー?まさか…サルモールか!?」
「静かに、頼むから…!彼女はアルドメリ自治領から、スカイリムに展開する帝国軍を支援するため派遣された交換将校なんだ。大使館とは独立して行動している。あくまで軍事行動の支援が目的で、タロス信仰者を見境なく連行するような絶滅主義者とは違う」
 ここで、黒騎士が会話に割って入る。
「別に違わんぞ。仕事が忙しくてノルド絶滅に割ける時間がないだけだ」
「あんたも煽らないでくれ!」
 とんでもない発言をする黒騎士に、ハドバルがひときわ大きな声で叫んだ。

 けっきょく…
 黒騎士はノルドを心底憎んではいるが、危害を加えるつもりはない…いまのところは、だが…ということ、あくまで目的は帝国軍の支援で、仕事に私情を挟む気はないということ、民間人に不利益になるようなことはしない、ということをアルヴォアに理解してもらい、ハドバルとともに匿ってもらえるよう約束を取りつける。
 しばらく言い争いが続いたあと、黒騎士は改めて兜を脱いだ。


 黒騎士の素顔を見たアルヴォアは、口を開いたまま呆然と彼女を見つめる。
 あるいはその造型が、一般的なエルフ族とはかけ離れたものであったからかもしれない。


「しばらく世話になるぞ、鍛冶師。いずれ貴様らも滅ぼしてやるが、それまでは首の皮を繋いでおいてやろう」
 ふっくらとした丸みのある頬、少女のようなあどけない顔つき、吸血鬼を彷彿とさせる真紅の瞳。


 彼女のことをある程度知っていた…逆に言えば、彼女がアルドメリから派遣されたアルトマーの将校であることしか知らなかったハドバルも、初めて見るその素顔に呆気に取られていた。
 さっきまでの重苦しい空気とはまた異なる沈黙に、黒騎士は怪訝な表情を浮かべる。
「…どうした?」

 彼女の存在は…ここスカイリムでは、あまりに異質なものだった。








トレーズ・ミドウィッチ
種族:アルトマー 年齢:不詳

 アルドメリ自治領より、スカイリムの内戦問題を解決するためソリチュードに派遣された交換将校。現地に駐在しているサルモール大使館とは独立して行動しており、ストームクローク壊滅を目的とした帝国軍の活動に携わっている。
 テュリウス将軍率いる帝国軍とともに国境付近でストームクロークを襲撃し、ウルフリック捕縛に一役買った功労者でもある。ヘルゲンでウルフリックの死を見届けアルドメリへ報告に戻る予定だったが、「世界を喰らいし龍」アルドゥインの出現によって予定が大きく狂うことになった。
 なお人前ではあまり素顔を晒さないが、そのことに大きな理由はないらしい。

 トレーズはかつてシロディールを支配していたアイレイドの血を引いており、第一紀の独立戦争時アレッシアに加担したネナラタによって滅ぼされた氏族リンダイの末裔である。
 その出自ゆえアイレイドを滅亡に追いやったアレッシアに起源を持つ帝国と、戦乱の口火を切り反乱軍を積極的に支援したスカイリムのノルドに対する憎悪はすさまじく、弱体化した帝国軍とアルドメリ軍が衝突した先の大戦では積極的に前線で戦い軍功を挙げた。
 現在はタロス信仰排除を最優先目標として掲げる軍内部の過激な一派に身を置いており、ストームクロークの対処に手間取る帝国に業を煮やした幹部の命令でスカイリムに派遣された。
 このことから、トレーズに課せられた任務は帝国軍を疲弊させるためスカイリムでの内戦を長引かせようと画策する大多数のサルモールの思惑に反する行動であり、彼らも一枚岩ではないことが察せられる。

 トレーズが身に纏う鎧と剣はリンダイの技術を総結集させたもので、もとは美しい白銀だったが長い歳月を経て傷や汚れが目立つようになり、現在は艶のある黒色塗装が施されている。
 赤く発光する結晶体はウェルキンド石の原料となる流星硝子を加工したもので、膨大な魔力を内包するそれらは装着者の身体能力を向上させ、魔法による攻撃を幾らか吸収するほか、他者の生命力を奪う力すら持つ。
 しかし装着者はリンダイの血を継ぎし者に限定され、資格なき者が身につけると全生命力を鎧に吸い取られ一瞬にして朽ちた屍となってしまう。
 なおシロディールに現存するアイレイドの遺跡に残された装備品はいずれも儀礼用で、戦闘用に加工されたものはほとんどが破棄ないし破壊されている。

 トレーズの最終的な目標はヒューマン(標準的な人型種族の総称)の殲滅、アルドメリの復権とエルフによるタムリエルの再支配であり、そのうえでリンダイを復興することである。
 いまのところ彼女が同胞と認めているのは血の近しいアルトマーのみで、ボズマーやダンマーにはそれほど友好的な感情を抱いておらず、また耳の丸い人間族は例外なく嫌っている。カジートは先の大戦で協力関係にあったことから「かわいいネコちゃん」と半ば愛玩動物に抱くのと似た感情を持っているが、アルゴニアンのことは「思考が読めない異質な生命体」と認識しているらしい。








 どうも、グレアムです。今回で設定を出したところで、前にも書いたように次回以降はゆるいプレイ日記になる予定です。基本的な設定さえ抑えておけばモチベーションが上がるというね。
 毎度のことですが本ブログにて書かれた諸設定は私見や独自設定がかなり盛られたもので、原作を理解するためのソースに用いるには不適当です。
 それと作中にて述べられる見解はあくまで「アイレイドの血を引くアルドメリ軍人であるトレーズの主観」として描かれているので、差別的表現や誇張に関しては俺自身の意見ではなく、創作表現の一部であることをご理解いただけると助かります。

 とまあ堅苦しいことを言ったところで、ゲームプレイに際して改造した部分なんぞを今回もチラリと書いていきますよチラ裏的に。チラッとだぞ。
 トレーズの種族はYgNordを改造したものですが、基本的にModで追加する独自種族は会話のヴァリエーションが汎用的なものに限られてしまいます(種族別の個性的な対応がなくなる)。
 そこでRaceCompatibility - Dialog ChangesというModを導入すると種族別の応対が発生するようになるんですが、YgNordはノルドベースであるがゆえ、NPCからノルドとして扱われてしまいます。トレーズはノルド嫌いの(=ノルドからも嫌われている)アルトマーという設定なので、これでは困るわけですね。
 そこでTES5Editを使って設定をササッと変えちゃいましょう。
 変更を加えるのはRaceCompatibility - Dialog Changesのesp…ではなく、種族Modのほうのespです。俺はECE(Enhanced Character Edit)に標準で付属してるYgNordを使っているので、この場合はECEのespを編集することになりますね。

 今回は作業の前に言っておきますが、データの改造はくれぐれも自己責任で、バックアップは怠らないようにしましょう。といってもTES5Editはデータ改変時にバックアップとってくれるので、あまり神経質になる必要はないと思いますが。

 まずは種族データが一通り入っているRaceツリーを開きましょう。ECEの場合そこには変更が加えられているバニラ種族のほかに、YgNordのデータが入っていると思われます。


 画像が無駄にデカイのは勘弁してけろ。ちなみに日本語表記が文字化けしてないのはUTF-8をサポートしている中国語版の実行ファイルを使っているため。調べれば簡単に出てくるけど、動作は保障されてないらしいのでこれも自己責任の世界ダナ。
 さてRaceデータの中に「KWDA - Keyword」という項目があり、これがNPCにどの種族と認識されるかの設定となっています(ひょっとしたら他にも役目があるかもしれんけど、正直、突っ込んで調べたわけじゃないのでよくワカラン)。
 YgNordはこのカテゴリの二行目が「ActorProxyNord」に設定されているため、ここを「ActorProxyHighElf」に変更します。これでNPCとの会話でアルトマー固有の台詞が聞けるようになります。
 ちなみに吸血化したときのYgNordRaceVampireというデータも入ってますが、こっちは吸血鬼化したときのダイアログが適用される設定になっているので、触らなくていいです。というか、吸血鬼になったときって違う種族に変わる処理になってたんだなぁ…
 あといま画像見て気づいたんですが、冷気耐性アップだのバトルクライだのといった種族固有の能力も「Actor Effects」の項目から変更できるので、気になった人はここも変えておきましょう。
 上に書かれたことを応用すれば、独自種族のダイアログを好みのものに設定することができるはずです。ただし上の場合、言うまでもないですがYgNordで作られたキャラはすべてアルトマーとして認識されます。

 ちなみに上に書かれたことがわからない、うまくいかない、反映されないという場合はおそらくTES5Editの基本的な使い方やデータの内部構造を理解できていないと思われるので(ましてロードオーダーのせいで変更箇所が反映されてないなんてのは論外です)、そういう人はこんなクソページを見てないでもっと丁寧に解説している初心者指南のページで勉強しましょう。











2016/01/03 (Sun)09:09





 スカイリム南部、帝国軍の砦を擁する村ヘルゲンへと続く街道を行く馬車には重苦しい空気が漂っていた。
 御者は作物を乗せた農民や交易品を抱えた商人ではなく帝国軍兵士で、荷車に乗せられているのは、いずれも手を拘束され動きを封じられた囚人たち。
 皮鎧に瑠璃色の布を巻いた兵士…スカイリム独立のため集結し、帝国やアルドメリと戦うため組織された反乱軍ストームクローク。その名の由来であるウィンドヘルム首長、決闘によって上級王トリグを殺害した反乱軍の指導者ウルフリック・ストームクロークもまた、厳重な拘束のもと荷台に押し込められていた。
 そのほかにも馬泥棒、密入国者などの犯罪者が捕えられている。




 ヘルゲンには多数の帝国軍兵士とともに、血塗れの斧を持った大柄な処刑人と、罪人の魂の救済のため祈りを捧げる神官が馬車の到着を待ち侘びていた。
 一人、また一人と馬車を降りていく囚人たちが呼び出され、処刑台へと向かっていく。
 必死な命乞いも虚しく首を落とされ、また逃走を図り背中を射抜かれる犯罪者たちとは違い、ストームクロークの兵士たちは死の寸前まで気丈な態度を崩すことはなかった。
 最後まで臆すことなく自らの正義を信じた彼らの姿は尊く…そしてそれが、それゆえに、「私にとって大変気に入らない、我慢ならないもの」だった。

 くだらない、なにをチンタラやっているのだ。さっさと皆殺しにすればいいものを、仕様のない格式にこだわって丁寧に一人づつ処刑するなどと…
 私が兜の下で不快な気分を噛み締めたとき、天空から獣の嘶きのような声が聞こえた。
 まさかそれが、これから起きる災厄の種になるなどとは、このときの私にはわかりようのないはずのことだった。そしてそれを理解する瞬間は、わずか数刻後に訪れた。




 漆黒の鱗に覆われた巨大な飛龍が砦の上に舞い降り、炎を吐いて村ごと人間を焼き払っていく。
 果たしてこれは偶然か、あるいは何者かが仕組んだことなのか。
 突然の来訪者に対抗する術を持たぬまま、私は帝国軍の兵士とともに砦の内部へと逃げ延びた。








「いったい…あれは、なんだ!?」
 重い鎧を着たまま村中を奔走した私は息せき切らせながら、隣の男…帝国軍兵士のハドバルに尋ねた。
 砦には帝国軍だけではなく、混乱のさなか拘束を解き難を逃れたストームクロークの兵士たちも避難している。ハドバルは剣を手に油断なく周囲を見回しながら、口を開いた。
「あれは…ドラゴンだ」
「ドラゴンだと!?スカイリムにはドラゴンがいるのか!?」
「いるというか…伝承には残っているが、この数百年、もしかすると数千年、誰もその姿を見た者はいなかった。俺でさえ未だに自分の目が信じられないほどだ」
「くそう…なんという失態!あの忌々しいウルフリックを逃がすとは!しかし、まさかとは思うが…あのドラゴンは、ウルフリックを助けるために来たのではあるまいな!?」
「いまのところは何とも言えないな。ただ、反乱軍がドラゴンを利用しているというのなら、一刻も早くテュリウス将軍にこのことを伝えなければなるまい。協力してはくれないだろうか?」
 その言葉とともに差し伸べられた手を、私は乱暴に叩く。
「勘違いするなよ貴様、私はあくまで本部からの命令で帝国に協力しているに過ぎん!それですら、我々に滅ぼされる寸前だった貴様らが泣きながら詫び命乞いをし和平なんぞというものを結んだゆえに首の皮を繋いでやっているのだ!そうでなければ、誰が耳の丸い連中なぞ…!」
「わかった、わかった。あんたがノルドを嫌いなのはよくわかった。ただ、いまは双方の利害のためにも助け合ったほうがいいと思わないか」
 私の苛烈な罵倒に面食らいながらも、ハドバルは努めて冷静に諭そうとしてくる。
 忌々しいことに、いまここでハドバルと争っていても事態は決して良くならないし、なにより私は本部から「できるだけ帝国を手助けしろ」という命令を受けている。
「ノルドめ…忌々しいノルドどもめ……!!」
 私の怨嗟の声を聞き流すハドバルとともに、安全な出口へと通ずる砦の地下へと向かう。




「死ね、帝国の手先め!」
「邪魔者は殺す!」
 途中で合流した帝国の尋問官とともに、私は行く手を阻むストームクロークの兵士たちを屠っていく。
「スカイリムはノルドのものだ!」
「ほう…」
 ザンッ!
 雄々しい叫び声を上げながら襲いかかってくるストームクロークの兵士を一刀のもとに斬り伏せ、私は血溜まりに転がる死体を見下ろして言った。
「ならば、タムリエルはエルフのものだ!」








The Elder Scrolls V : SKYRIM
スカイリム外典『アイレイドの逆襲:The Ayleid Strikes Back』



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。あけましておめでとうございます。
 新年早々にSkyrimをニューゲームで始めてました。今回はいちおうストーリー仕立てで書いてますが、次回で基本設定を紹介したあとはゆるいプレイ日記に終始すると思います。SS書くつもりはないというか、いい加減一度はクリアしとかないとっていうコンセプトで作ったキャラなので。
 以前プレイしていたアルゴニアンのアーケイドもデータは残っているんですが、環境を再構築した手前、ちょっとモチベーションが下がってるんですよね…ただ今回は帝国ルートで進める予定なので、いずれストームクロークのルートで再開するだろうとは思います。

 キャラの基本情報は次回に譲るとして(今回名前も出さなかったのは意図的にやってます)、今回は装備について触れておきたいと思います。
 この装備のベースはLuxlucis armorというModで、Hellgate Londonに登場した装備を再現したものです。元は銀のボディに青い光を放つというものでしたが、これを画面写真のように黒いボディに赤い光へとリテクスチャ。さらに今回はMeshもいじってます。
 まずEmissive Color(発光部分の色)が青く設定されているので、これを赤に再指定。数値は適当に入力しました。【R: 0.95, G: 0.05, B: 0.05】くらいだったかな?またEmissive Multiple(発光の強さ)が2に設定されているのですが、個人的にこれはちょっと弱すぎる、もっとギンギラギンに眩しいくらいがハッタリきいてて好きなので10にしました。おかげでめっちゃ光ってます。
 さらに鎧本体もリッチに光ってほしいので、Specular Strengthを0.6から2へ変更。いい感じのグロス仕上げになりました。テッカテカです。
 ちょっとした改造ですが個人的にめっちゃ気に入ってます。モチベーション上がるぜえぇ。














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