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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/04/24 (Wed)11:30
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2016/01/29 (Fri)04:02





「ボルガクさん…やっぱり俺、魔法で戦おうかと思うんだ」
「ほう?」
「もともと魔術師だったってのもあるしさ。それにホラ、チート鍛冶で超性能化した武器でゴリ押すっていうのもなんていうかこう、美しくないじゃん?」
「まさかModのチート魔法なぞ追加したのではあるまいな?」
「そんなワケないジャン。俺は基本的にロアフレンドリィーにやってく予定だからネ」
「怪しいな…」

 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。…この語りもひさびさだなあ。
 ドラゴンボーンとなった俺はグレイビアードたちの命を受けウィンドコーラーの角笛なるものを探す旅に出ているのだが、そういうプチ壮大っぽいクエストはちょいと脇に追いやって、現在は盗賊ギルドの任務でソリチュードへと向かっていた。
 どうやら養蜂施設の相次ぐブラック・ブライア家への離反にはガラム・エイという男が関わっているらしい。そいつはギルドが以前東帝都社に密偵として送り込んだらしいが、現在は連絡が取れないようだ。以前俺も会ったことがある、やたらに愛想のないヤツだった。
 ブリニョルフが言うには、決して黒幕なんていう器じゃないとのことだが…







 ガラム・エイは以前俺が会ったときと同じ、ウィンキング・スキーヴァで今日も飲んだくれていた。
 近づいてきた俺を見るなり、嫌そうな態度を隠そうともせず言い放つ。
「またあんたか。いいかい、俺は相手が同郷だからって、肩を組んで酒を飲みたいなんて思わないんだよ。そういうことがしたいなら、ジャリー・ラでも相手にするんだな」
「やっこさん死んだよ。それと、今日は仕事の話に来た。苦労して用意したのか知らんが、ネタが割れてる偽名を使い回しちゃいかんぜ?ガジュル・レイ」
「…あんた、盗賊ギルドの者か?メルセルにはもう取り引きしないと伝えてある、話すことなんか何もない」
「そりゃあねーだろ。リフテンの盗賊ギルドを知ってるなら、ブラックブライア家の不利益になる行為がどういう結果をもたらすのかってことは理解できてるはずだよな?」
「何が言いたいのかわからないな」
「ゴールデングロウ農園。あんた、あそこを買収するための仲介役をやったろう。ありゃあまずいな。おっと言い逃れはするなよ?こっちは譲渡書だって押さえてあるんだ。見たいか?」
「いや、いい…そうか、あの件か。ギルドを敵に回すつもりはなかった、すまない。すべて教えてやりたいが、生憎俺はほとんど何も知らないんだ。慎重な…依頼主だったもんでね。それでもいいなら、出来る限り協力はするが」
「歯切れが悪いな。べつに命を取ろうってんじゃない、それに俺の仕事はあくまで黒幕の追及だ。こう考えてくれ、おまえさんが協力するのは盗賊ギルドに対してじゃあなく、俺個人に対してだと。俺の仕事が上手くいくよう取り計らってくれるなら、悪いようにはしない」
「そうか、うん、どうやらあんたは話がわかる人間のようだ。それなら…交換条件というわけじゃないが、最近ブルー・パレスに貴重なファイアブランド・ワインが届けられたらしい。そいつをケースごと取ってきてくれたら、俺が知っていることはすべて話す。もちろん別に報酬は払う、これでどうだ?」
「盗賊の仕事、ってわけだ。ま、いいだろ」
 どうにも相手に有利な形で話が進んでいるようだが、あまり力づくで話を進めるわけにはいかないので、とりあえずブルー・パレスに酒を盗みに行く。
 もっとも、ボルガクはガラム・エイのことが気に入らないようだが…
「ああいうやつは殴ればすぐ音を上げる。とっとと情報を吐かせたほうがよかったんじゃないのか?」
「物騒なことをお言いでないよボルガクさん。それにさ、ああいうヤツは何人か飼っておくと便利なのよ。ちょっとした仕事を頼むにはさ」
「あいつは金や暴力ですぐに裏切るぞ。信用できん」
「わかってる。だからさ、知られちゃマズイこととか、失敗するとマズイ仕事を任せなきゃいいのよ。それでも充分役には立つ。ネズミはネズミなりの使い方がある、とゆーことですよ」

 その後、ファイアブランド・ワインを盗んだ俺はブラックブライアと敵対している黒幕の存在について、ガラム・エイから手がかりを得る。
 どうやらガラム・エイは金を受け取って農園を買収するよう頼まれたらしく、黒幕の素性も、目的も、何も知らされていないらしい。ただ依頼人は女で、盗賊ギルドの長メルセル・フレイに対して怒りを覚えている、ということらしかった。
 それを聞いた俺は、ふむ、と顎を撫でる。
「慎重だねえ。やっぱり、今回の一件は一筋縄じゃあいかないようだ。ニード・トゥ・ノウの原則(知る必要のある事だけ知らせる)をキッチリ守ってるってことは、素性はともかく、プロだね、相手は」
 それと話を聞く限り、ガラム・エイは脅されたり、無理矢理仕事を押しつけられたわけではないらしい。農園の買収のために大量の金貨を持たされたはずだが、それを持ち逃げしたり、ちょろまかしたりはしない、そういう概念すらなかったように見えるあたり、仕事には実直のようだ。
 聞けるだけのことは聞いたが、念のため、俺は何日かガラム・エイの監視を続けることに決めた。もし後ろ暗いことがあったり、あるいは黒幕と密に関わっているようなら、すぐにでも行動を起こすはずだ。
 俺がカウンターでハチミツ酒を舐めているとき、ガラム・エイはなにやら深刻な面持ちでウィンキング・スキーヴァを出ると、街を出て港のほうへ向かった。しばらく経ってから俺も席を立ち、ガラム・エイを尾行すべく行動をはじめる。

 錬金材料となる道端の花を摘みながら、俺は尾行を続けた。
「これが本当の道草を喰う…なんてね」
「本当に喰ってる…」
「青い花は健康にいいのよぉー。体力治癒の効果があるからして」
 モシャモシャと花を喰らいながら港へ向かうと、ガラム・エイは東帝都社の倉庫へと足を踏み入れた。尾行がついてないか周囲を確認してから鍵をかける「カチャリ」という音がする。
 すこしだけ待ってから俺はその鍵を難なく解除し、ボルガクとともに倉庫へと潜入した。

「しかし、東帝都社…東帝都社か。う~ん、メイビンさんに、というか、ギルドに喧嘩売ってるのはこいつらなのか?まだそうと決まったわけじゃないけど、東帝都社とは個人的に進めてるビジネスもあるから、あまり敵対はしたくないんだけどな…」

「そう言いながら相棒、おまえ、ガンガン見張りを暗殺しながら進んでるじゃないか」
「最近殺し屋っぽいムーヴ(動き)が板についてきましたハイ」
 隠密100を舐めてもらっては困るのだぜ。
 弓で敵を殺すと周囲が警戒状態になるので、本当に隠密行動を通したければ、あまり適した暗殺手段ではない。やはりダガーを用いての背後からの必殺こそが常套手段であろう。
 ついでに倉庫から金目のものを盗み、備蓄されていたチーズをモリモリ食べながら先へ進むと、洞窟へ続く扉を発見。
 中に入ると、そこは山賊の隠れ家となっていた。
「エート…東帝都社と山賊ってグル?それともこれ両者の間に関連はないワケ?」
 どうもこの山賊連中はガラム・エイのボディガードらしい、一本道で悪党相手に隠密暗殺もないので、ここいらで一暴れすることに。

「活目するがいい、これが天才魔術師アーケイド様の必殺の魔法!コオオォォォォ…刻むぜッ!魔力疾走(マジカ・オーヴァドライヴ)のビートォ!!打ち砕いてやるぜェッ!!」
 ドギャアッ、冷気が迸る掌をかざすと、俺は三本の氷柱を同時に造り出し山賊たちに叩き込んでいく!
「これぞウィスプ・マザー直伝、その名も氷の谷(公式日本語名称)!威力の倍のスタミナダメージを与える必殺の氷柱、強力だよォーコイツは!」
 弱い、弱いと揶揄されがちな破壊呪文復権の秘策、それは強力な敵専用魔法をコンソールから取得することであった!ロアフレンドリーだし何も問題はない!しかしこの日本語訳、原語のIce VolleyをValleyと誤訳してますよね…?まあ本来プレイ中に出てこないはずの情報なので、別に問題はないんだけどさ。
 また敵専用だからか、発動が遅く出がかりにちょいとクセがある(キャンセルされやすい)が、それでもアノ魔法をこの手で使えるというのは非常に感慨深いものがある。
 なみいる山賊たちを排除し、俺は洞窟の奥地に引っ込んでいたガラム・エイと対峙した。

「頼む、最初からメルセルには全部話すつもりだったんだ!助けてくれ!」
 なにやら動転し懇願するガラム・エイ。
 ヤツに魔力をチャージした掌を突きつけながら、俺は脅し文句を口にした。

「どこまでもツラの鱗が厚いヤツだなオメー!ちゃきちゃき吐かんと目ん玉にガリガリ君突っ込むぞコンチクショウ!」
「やめてくれ!60円69Kcalで死ぬのはイヤだ!」
 互いにわけのわからないことを言いつつ…ガラム・エイの口から出たのは、カーリアという女の名前だった。
 彼女は先代ギルドマスターを殺し逃亡した元ギルドメンバーで、どうやら現ギルドマスターのメルセルを目の敵にしているらしい。もっともガラム・エイは相手がカーリアだから協力したわけではなく、実際に依頼主と会うまで正体を知らなかったらしい。
「ここに農園の権利書がある…彼女は大金かけて農園の買収を俺に命じたが、肝心の権利書については欲しがる素振りすら見せなかった。忘れていたなら笑い話で済むが、おそらくはブラックブライアへの妨害と、盗賊ギルドの権威失墜そのものが目的だったんだろう。これはあんたにやる、俺の手には余る代物だ」
「他に隠し事なんざねーだろうな?また騙そうとしたら今度こそメルセルに背中かっさばかれて肋骨ごとぶち抜かれちまうぞ」
「ウウ~…今後もできるだけあんたのために協力する、俺にはまだ生かしておく価値があるぜ」
「それを決めるのはオマエじゃない。まあいいや、おイタはほどほどにしておくんだぜ…それよりさ、今度の件に東帝都社は無関係なのか?」
「…関係ないが、それがどうかしたのか?」
「ナンデモナイヨー」
 俺無関係な人間殺しちゃったよ…
 それはともかく、敵のだいたいの素性はわかったわけだ。
 強力な背景を持つ組織に喧嘩を売るような相手には二つの種類がいる。一つは莫大な資金源を持ち商売敵を叩き潰そうとする新興勢力、もう一つは私怨から復讐のため攻撃してくるやつ。どうやら今回は後者のようだ。







 とりあえずガラム・エイから得られるだけの情報を入手した俺はリフテンに戻り、メルセルへ事の次第を報告した。

「カーリア…だと…!?いまさらその名を聞くことになるとはな…その女は、俺のかつての相棒とも呼ぶべき存在だった。だが俺の前任者、前ギルドマスターを惨殺し姿を消した。いまとなっては、あいつの仕事の手口を知っているのは俺だけだ。俺を消せば、生前のあいつを知る者はいなくなる」
 どうやら縁のある相手だったらしい、メルセルの口からカーリアの素性に関する情報が語られた。
 しかし…メルセルはカーリアが組織から完全に姿をくらますため自分を殺したがっているふうなことを言っているが、ガラム・エイは「カーリアはメルセルを恨んでいる」と言っていたような?
 もっともガラム・エイの言葉はいまいち信用ならないし、ここで突っ込むようなこともないか。
「下世話なことを聞くようだけどさ。カーリアと前ギルドマスターは、『イイ仲』だったのかい?」
「イイ仲?ああ、そうだったとも言えるな。もちろんお前の好きな、下世話な意味で、だぞ。ガルスはカーリアのことを、可愛いナイチンゲールと呼んで傍に置いていた」
「…ちょっと待って」
「なんだ?」
「いや。なんでもない」
 ナイチンゲールだって?
 なんかイヤな予感がするな…いや、取り越し苦労だといいんだけども。まさかな…
「ま、いいや。それで、これも余計なお世話なんだけど、これまでカーリアの始末を考えたことはないのかい?前ギルドマスターを殺した大罪人なんだろう?たとえば、闇の一党に依頼する、とかさ」
「闇の一党とは長年、提携関係にあるが、組織の不始末は自分たちの手で拭うことにしている。とはいえ、これまで失敗しているのだから、あまり胸を張ることはできんがな」
「なんてこった闇の一党とも繋がりがあったのか。たとえばさー、俺が闇の一党の一員だって聞いたらどう思う?」
「商人でドラゴンボーンで盗賊で暗殺者、か?多芸なこった」
「イヒッ」
「つまらん与太はいい。カーリアは『終わりが始まった場所にいる』、そうガラム・エイは言ったんだな?俺が思い当たる場所といえば、あいつがガルスを殺した雪帷の洞窟をおいて他にない。協力してくれるな?二人でカーリアを殺す」
「二人で?」
「なにか不満か?俺一人で行くか?」
「あーいやいや、逆よ、逆。大抵、スカイリムでのパターンだと俺一人行かされるような状況だったから。ギルドマスターと一緒に仕事できるとは光栄の至り」
 上から目線で命令するしか能のないヤツかと思ったら、意外と行動派なんだねこのヒト。
 ただし今回は別件でデルビンから頼まれたホワイトランでの仕事が入っているので、まずはそっちから片づけることになるだろう。







 リフテンからホワイトランへ向かう途中、カジートの盗賊に出会う。

「金目の物を出せ、命が惜しくなければな!」
「スイマセン俺貧乏人なんで。勘弁してくれないですか(説得)」
「む…仕方がないな。とっとと失せろ」
 いつかどこかで交わしたようなやり取りのあと、盗賊は走ってどこかへ去っていく。
 それにしても、いつぞやのアルゴニアンといい、スカイリムの盗賊ってのは碧水晶装備がデフォルトなんだろうか。いやに豪華な装備だなおい。



 キャンプ地で夜明けを迎える。
「キレイな朝日だぁー。これで、騙まし討ちを受けた直後でなければねぇ…もちっと素直に感動できるんだけども」
 じつはついさっき、山賊に襲われたテルラヴという男を助けたばかりなのだ。実際はテルラヴこそ山賊の仲間で、山賊たちが待ち伏せしているこ場所に連れてこられて袋叩きにされそうになったという話なのだが。まあ、殲滅したけども。



 ホワイトラン前へ到着すると、そこにはカジート・キャラバンが居座っていた。吹きさらしのなかで。
「アンタたちテントはどうしたの!?」
 土の上に座るリサード、なにもない空間で手持ち無沙汰にしている仲間たちを見た俺は仰天する。
 そういえばソリチュードやリフテンでもぬけの殻のキャンプ地を見かけたが、これ、なんか設定がおかしくなってるんじゃないだろうな。



 デルビンに指定された通り、ホワイトランで依頼者のオルフリッド・バトル・ボーンと接触する。バトル・ボーン家はホワイトラン有数の名家の一つで、頑固な帝国派であることから、ストームクローク派のグレイ・メーン家とは犬猿の仲である。
 俺はストームクローク派なので、正直言うとあまり協力したくはないのだが…そういや、グレイ・メーン家のバーサマから行方不明になった息子を探してくれって依頼をだいーぶ前に受けた気もする。もう死んでっかなあ。
 オルフリッドが言うには、親友のアーンだかイヤーンだかいう名前の男がソリチュードから指名手配を受けて処刑されかかっているらしい。現在はホワイトランに拘留中だそうで、そっちでは別件で捕まってるらしいが…素性が割れれば処刑待ったなしなので、俺に工作を頼みたいらしい。
 すでに新しい身分は用意してあるとのことなので、俺がやるべきことはドラゴンズリーチに潜入しソリチュードから送られたウフーンじゃなかったアーンの手配書の奪取と、入所者名簿の書き換えだ。
 ドラゴンズリーチへの潜入…というと、そこいらの凡凡人やしみったれた盗賊なら苦労するだろうが、ホワイトランを守ったドラゴンボーン様様である俺は基本的に顔パスなので、何の苦労もなく工作を終えることができた。話好きのバルグルーフ首長やファレンガーと世間話をするついでにチョチョイのチョイである。楽なもんだ。
 そんなわけで俺はソツなく任務を完了し、バトル・ボーン家の盗賊ギルドへの協力を取りつけることに成功した。なんだか、ようやく繁栄の道に返り咲く光明が見えはじめてきたってカンジ。



 さて…ひさしぶりにホワイトランへ立ち寄ったついでに戦乙女の炉で買い物を済ませて店を出た直後、俺は妙なヤツと遭遇した。

「おまえが噂のドラゴンボーンか。ようやく会えた…俺の冒険の最後を飾るに相応しい相手に」
「うん?あんた、ナニモン?」
 全身を黒檀装備に包んだ巨漢を目の当たりにし、俺はいささかたじろぐ。
「受けるべき依頼、倒すべき悪党、挑戦すべき試練…そのすべてを過去にして、俺に残れたのはただ一つ!強者との戦いのみ!もし決闘を受けて立つ気があるなら、俺は最後の見張り場所にて待つ。いつまでもな。出口に辿り着かないといつまでも笑ってるシド・デイビスのようにな」
「イヤなやつだなおまえ!」
「むだな努力をするのでス。フッフッフ」
 どうやら、待つことには抵抗がないらしい。たぶん俺がイヤガラセで延々待ちぼうけを喰わせてやっても、気にも留めないに違いない。タフな漢だ。
 悩む俺に、ボルガクが声をかけてくる。
「どうするんだ相棒?決闘と言うからには、一対一で戦うのがスジだと思うが」
「orz いやさオークの戦士らしい意見をどうも。もちろん、戦ってやるさ。今の俺が、どれだけ強いかも…試してみたいしな。小細工なしのサシの戦い、いいじゃないか。乗ってやるよ」
 こうして、俺は一世一代の大勝負に赴いた。



→To Be Continue?








 どうも、グレアムです。ひさしぶりにアーケイドの話をマトモに進めた。
 本文中に書いた通り、コンソールからウィスプ・マザーのアノ魔法を習得しました。もともと今回のプレイで破壊魔法の使い手を選んだのは、ウィスプ・マザーとのファースト・コンタクトでコテンパンにやられたのが原因だったりして、「俺もいつかあの魔法を使うんだ!」という憧れのもと活動していたわけですが、途中で鍛冶に熱中しはじめたのは氷の谷が敵専用魔法だと知って絶望したからだったりします。
 じゃあコンソールで覚えればいいじゃん、とならなかったのは、たんに、今までその発想がなかっただけだったり。んで今回いちおうプレイヤーが実用することも可能だと実証できたので、今後はコイツをメインに戦闘していきたいと思ってます。
 ちなみに魔力疾走のくだりは某ASBからの引用で、原作にはない台詞なんですが(なので、あえてオーバードライブとは書かなかったり)、個人的に気に入ってるのでよしとしてくれい。

 黒檀の戦士の登場からわかるように、現在レベルが80を越えています。といってもほとんど鍛冶しまくってレジェンダリー化して無駄に上げたものなので、決して戦闘が強くなったわけではなかったり…たぶん勝てないんじゃないかなあ。












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2016/01/25 (Mon)21:34






 第4紀174年、ハンマーフェル北部の都市スカベンの陥落に成功したトレーズは、死傷者を運びだしたあとの要塞にて開かれた祝宴に参加していた。
 アリクル砂漠の踏破と、帝国軍との戦闘でハンマーフェル方面軍はかなり消耗していたが、状況が厳しいのは帝国軍も同じであり、またこれまでの進撃が順調だったことから、あまり悲観視はしていなかった。
 緊張した状態が続いたあとのアルコールの効果はすごいもので、張り詰めた空気から解放された同僚たちにトレーズも笑顔を向ける。
「情報部によれば、デシアヌス将軍はシロディールに呼び戻されたらしい。あっちでも同胞は随分と活躍しているらしいな、すでに帝都まで迫っているようだ」
「ハンマーフェルに残されたのは、行軍に耐えられない負傷者ばかりだそうだ。所詮は人間の力などこの程度のもの、こっちの戦線もいただきだ!シロディールへ向かった連中にばかり良い顔はさせないさ」
 そう言って、トレーズは仲間と手を打ち合わせた。
 これまで数々の戦いを生き抜いてきたアルドメリ軍の精鋭に、苦難などない。トレーズはそう思っていた。
 しかし情報部は間違っていた。いや、デシアヌス将軍はたしかにシロディールへ「負傷者を現地に残していく」と通達しており、情報部はそのときに用いられた書状を見たうえで報告したため、厳密には過ちではないのだが、しかし、現実は違った。
 いままさに帝都が陥落せんという状況で、使える兵をハンマーフェルに残してきたなどと知れたら、自身の立場が危うくなる。
 そういう理由で、デシアヌス将軍はスカベン奪回のために準備していた精鋭軍を「負傷兵」と偽って報告し、作戦実行に不備がないよう入念に計画を練っていたのだ。
 スパイへの対策も兼ねてのことだったのか、それはわからない。
 しかし情報部の報告から判断を誤ったアルドメリ軍は、しばらく帝国軍からの攻撃はないものと断定してしまった。それが致命的なミスだった。

「敵襲だーーーッ!!」
 トレーズが仲間の動揺しきった叫び声を聞いたのは、星明りが燦々と輝く真夜中だった。
 敵襲、だって?こんな時間に?
 …こんなに早く?
 少数の雑兵が紛れ込んだところで、なにほどのこともあらん…そう考えるには、あまりに仲間の混乱がひどく、血の匂いが要塞内部に濃厚に漂っていた。
 やがてトレーズが眠っていた部屋の扉が開かれ、黒い影が一つ、飛び込んでくる。


 窓から射す月明かりを反射し、曲刀がきらめく。
 砂漠の民、アリクルの戦士のシルエットが、半裸のまま飛び上がったトレーズの網膜に焼きついた。
 …私の鎧は?剣は!?
 動揺したトレーズが自らの装備を探ろうとしたとき、目前の男が躊躇なく、刃を振り下ろし…
「うわあああぁぁぁぁあああああっっっ!!!!」








 自分の悲鳴で目を醒ましたトレーズは、汗がじっとりと滲む額に手をあて、深呼吸をしてどうにか気持ちを落ち着かせようとする。
「いまのは…夢……?」
 いやに生々しく、現実感、真実味のある夢。
 物の感触すら容易に思い出すことができる。あの戦勝ムード、友人の笑顔、酒の味。暗闇、悲鳴、血の匂い、寝る前まで他愛のない話をした戦友の首が転がって、私は…
 これは、ただの夢じゃない。わかっている。
 あのときの記憶だ。いま自分がこうして生きているということは、あのまま殺されずに済んだということだが、自分がどうやってあの危機を脱したのか…いや、魔法だ。魔法を使ったんだ。
 自分は生きている。生きて、ここにいる。
 戦争はもう終わった。別に執着するつもりもない。他にもっと危険な目に遭ったこともあるし、あのとき自分の命を狙った兵士よりもっと憎いヤツだって、幾らでもいる。
 なのに、なんで忘れられないんだろう。あんな日のことを。








 宿屋シルバーブラッドで最悪の寝覚めを経験したトレーズは、マルカルスの首長イグマンドと謁見し、ちかごろ北方で強力なアンデッドの出没が目撃されていることを知らされる。
 向かうはヴォルスキーグ、スカイリム各地に点在する古代ノルドの墓の一つ。
 現在のトレーズの使命は周辺地域の治安維持、市民生活を脅かす者であれば山賊だろうが死人であろうが、等しく彼女の剣にかかることになる。
 邪魔者をことごとく斬り伏せ、周到に張り巡らされた罠、施設に元から存在していた仕掛けを解き、到着した玉座の間にてトレーズを待ち構えていたのは、死人の王…ドラウグル・デス・オーバーロードだった。


『フス…ロ、ダーーーッ!!』
 アンデッドの口から吐き出された暴風の如き声がトレーズを襲い、吹っ飛ばされた彼女は床の上をゴロゴロと転がされる。
 剣を突き立てて動きを止め、慌てて立ち上がりながら、トレーズは苦々しい表情でつぶやいた。
「シャウト、キナレスがノルドどもに与えた竜の言語か。下品な力使いやがって…!」
 エイドラ信仰そのものはアレッシアが八大神信仰という形に纏めるよりも先にアイレイドに浸透しており、基本的にトレーズもエイドラ信仰には寛容だったが、それでもアイレイド滅亡と人間による大陸の支配、その文明の繁栄に手を貸したアカトシュとキナレスに対してはやや複雑な感情を抱いていた。
 そもそもタムリエルに移住したアルトマーは、サマーセット島で禁止されていたデイドラの信仰を目的に分裂した異端の勢力ではあったのだが、それでもエイドラ信仰を捨てたわけではなかった。
 我々では、いけなかったのか。
 あまつさえペリナル・ホワイトストレークなどという怪物を遣わしてまでアイレイドを滅ぼそうとしたキナレスの成果の一つを前に、トレーズは怒りの感情を噛み締めながらドラウグル・デス・オーバーロードに立ち向かった。
「屍と化した貴様にはわからんだろうがな…その力は、不愉快だぞ…!!」
 ふたたびシャウトを放とうとドラウグル・デス・オーバーロードが開けた口に剣を突っ込み、そのまま、力任せに刃を引き下ろし、喉と胴を裂き斬る。


 メリディアの加護を受けしナリル・モリの魔剣が死人の気配を感知し、ドラウグル・デス・オーバーロードをアンデッド殺しの炎に包み込んだ。
 ドガッ、バアァァーーーンッッ!!
 爆発音とともに灰と化したドラウグル・デス・オーバーロードが吹っ飛び、亡者の着ていた鎧だけがその場に残される。
「まったく…死人は大人しく眠っておればよいのだ」
 剣を背の鞘に収め、トレーズはあたり一面に散らばった灰に向かって憎まれ口を叩く。
 なるほどたしかに強力な敵だった、こんなものを野放しにしていては街道の通行もままならんだろう。
 「すでに目標は達した」と思い込んでいるトレーズはそうひとりごちると、来た道とは別の、玉座に繋がる(恐らくは隠された)通路を抜け、外へ出る。
 空はすでに暗く、雪が降っていた。

 まだ終わっていないと知るのは、そう後のことでもなかった。
 シャウトを記した言葉の壁を見つめるトレーズの背後で、棺の重い蓋を開けて何者かが飛び出す。
「…… …… …ッ!?」
 ただならぬ気配を察知したトレーズは振り向きざまに剣を振るったが、その一撃は魔法によって鋼鉄よりも固くなった怪物の外殻によって阻まれてしまった。


「こいつ、は…何者だ!?」
 氷撃魔法の直撃を受け吹っ飛ぶトレーズは、ドラウグルともまた違う異様な姿の怪物に目を見開く。
 それが、かつて竜の加護のもと人々を支配していた賢者たち…ドラゴン・プリーストとの邂逅だった。
 トレーズの鎧は幾らかの魔法を吸収する力を持つが、それでも強力な魔力を内包するドラゴン・プリーストが放つ魔法の数々を受け、あまつさえこちらの剣が通じないとあって、楽観視はできない…どころか、生命の危機に瀕していた。
 死ににくいからといって、それは死に行く者への慰めにはならない。
 もしや、あの夢は自らの死の予兆だったのでは…そんな悪寒を抱き、トレーズは恐れを振り払おうと剣を握りなおす。
 彼女の最終的な目標はタムリエルにおけるすべての人間の排除、ふたたびエルフが支配する世界を築き、滅亡したアイレイドの氏族リンダイを復興させること。
 それを…
「我に漆黒の弓を授けよ、我に野望の矢を授けよ。雲を切り裂く長槍と、闇に包まれし馬を授けよ」
 ふらりと立ち上がり、何事かを唱えるトレーズを、ドラゴン・プリーストは奇異なものを見るかのような様子で見つめる。
「我が魂は不屈なり、我が手の剣は休むまじ。いざアルドメリをうち建てん、緑華やかなりしタムリエルに…」
 カチャリ、トレーズの握る剣に真紅の光が集束し、やがて刃全体が光の塊となってまばゆい輝きを放つ。
「こんな…こんな場所でなあ…貴様なんぞに、手を、煩わされてたまるものか…ッ!」
 やがてその危険性に気づいたドラゴン・プリーストは持てるすべての魔力を自らの身体に集束させ、あらゆる攻撃をも防ぐ防護シールドを構築する。これには、たとえ竜の牙の一撃であっても傷をつけることはできないだろう。
 事実、一撃、二撃、三撃…トレーズの魂を込めた斬撃のことごとくが防がれ、ドラゴン・プリーストはトレーズが力を失うのを待ってからトドメを刺せば良いだけの話、そのはずだった。
 しかしトレーズの鎧から、彼女が今まで殺し奪い取ってきた生命のエネルギーと、竜の魂が剣に集まると、ドラゴン・プリーストは予想外のその力に慄いた。
 新たな対処や反撃の隙を与えず、トレーズが剣を振り下ろす。
「無垢なる熱情、真理への道。止めさせはしない…デイゴン・メルディ( Destruction Driven )!!」


 バギンッ!!
 強烈な一撃にドラゴン・プリーストの魔力装甲が打ち砕かれ、青白い炎が周囲の空間ごと干乾びた肉体を包んで燃え盛る。


 それはこの世に存在してはならない、死せる者のみを焼き払う浄化の炎。
『馬鹿な、竜の司祭であるこの私が…こんな…形で、完全、に…消滅……』
 悔恨の言葉がかき消え、あとに残されたのは灰の山と、醜い素顔を隠していた仮面のみ。
 立て続けに強敵と戦ったトレーズは困憊し、その場に座りこんだ。
「ハァ…とんだ苦難だ。だが、土は踏むほど固くなる。決意も、困難が大きいほどに…我が栄光の礎となるがいい、古の司祭、亡者の王よ」
 トレーズはしばらくその場で休んだあと、マルカルスに戻るべく腰を上げた。







「なんだ、この箱は」
 道中、たまたま発見した宝箱の鍵をこじ開け、中身を確かめるトレーズ。
「宝石…ではないか。石っころ?しかし、どこか手の込んだようなカットだな」
 宝箱の中に入っていたのは、石膏のような素材でできた白くて丸い石だった。軽くもなく重くもなく、冷たいようで温かい。しかし宝飾品としての価値はないように思えた。


 ゴミを後生大事に持ち歩く趣味はないゆえ、それを箱に戻そうとしたとき、トレーズの脳裏に何者かの声が響いた。
『定命の者よ、我が言葉をしかと聞き届けるがよい。そなたには果たさねばならぬ使命がある』
「…この声は……?」
『我が名は、メリディア』
「…メリディア…様!?」
『いま、あなたが手にしている我が灯火をキルクリース山まで持ち帰りなさい。そこであなたの信心を確かめるとともに、詳しい内容を伝えましょう』
 声はそこで終わってしまった。どうやら女性のようだったが…
 それよりも、メリディアという名前にトレーズは聞き覚えがあった。16あるデイドラ・ロードの一人、生命を司るもの。トレーズの祖先であるリンダイの氏族とも深い関わりのある神だ。
 そもそも戦いで幾度となく命を助けられたこの剣こそ、かつてメリディアが不死なる者を滅ぼすためリンダイの騎士に授けたものなのだから。
 奇妙な予感に胸を昂ぶらせながら、トレーズの足はマルカルスではなくキルクリース山へと向かっていた。



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。じつは先日、いままでのセーブを破棄して最初からやり直してました。
 いや装備の性能とかレベリング設定がややチートすぎて、プレイしていてまったく緊張感がなくなってしまったので。プレイに緊張感がないとリプレイ(と言っていいのか…)も気の抜けたものになりそうで、感情移入ができなくなりそうだったので、つい。
 現在は装備の性能を大幅に落とし、符呪と鍛冶禁止、レベリングもスキル習得速度を少し上げた以外はバニラのままで進めることに。チート鍛冶禁止でおそらくアーケイドよりも厳しい戦いになるはずですが、まあこれはこれで。




 ついでにトレーズの絵も描いてみました。といってもこれほとんど元のMod装備そのままなんですが。俺女の子が描きたかっただけのはずなのになあ…
 ややヘルメットが大きかったり等身が低めなのはわざとやってます。ガッツリ鎧着込んでいるうえインナーが鎖帷子なので、全部脱ぐとフォルムが細くなって等身が上がるはずなので。無駄なリアリティの追求。
 スカイリム用のキャラじゃなければ銃とか持たせたいデザインなんですけどね。スパスとか。メシアンとかガイアーズとかそんな感じで。メガテン的終末世界といえば、装備の元ネタのロンドン地獄門が丁度そんな感じだったりするんですけど。
 西洋鎧&銃火器といえばE.Y.Eもあるんですが、あれも宗教同士の対立がメガテンのメシア教とガイア教の争いみたいですよね。まあE.Y.Eの場合は内部組織同士の内ゲバなんですけども。
 こんな話をはじめたのは、じつは最近GBA版のメガテン2をはじめたからだったりするんですが…どうやってキャラ育成したもんだろう。あとカジノで取った高級装備の数々を与えたヒロインが早々にパーティ抜けて泣いた。違う女の子が加入したけど、またカジノで稼がにゃいかんのか…とドンヨリしたところで止まってます。













2016/01/21 (Thu)20:24






「マンモスいんざすかい!」
 巨象が宙を舞うスペクタクルな光景には、さすがのトレーズも驚いた。
 ちなみにマンモスはその後無事に着地した。象の足の固さは伊達じゃないようだ。

 スカイリムで活動する反乱軍を討伐するためアルドメリ軍より派遣されたトレーズは現在、山賊などの不穏分子を排除するため各地を放浪していた。
 お世辞にも現在のスカイリムの治安は安定しているとは言い難く、反乱軍との戦いを控えるいまの状況で、周辺の治安維持のために兵力を割かなければならない帝国の現状は好ましいものではなかった。
 現地で活動を続けているサルモール諜報部は内戦の長期化による両勢力の弱体化を目論んでいるようだが、トレーズが所属する軍部はタロス信仰が根強く残るスカイリムが周辺諸国に与える影響と、万が一にでも反乱軍が帝国を打倒しスカイリムが独立を果たしてしまうことを憂慮しており、反乱軍の早期壊滅を目標としていた。




「これは、キャラバンが襲撃を受けたあと…ハッ、ネコしゃん!?」
 リーチ地方へと続く道を歩いていたトレーズは、何者かの襲撃を受け壊滅したカジート・キャラバンを発見した。すでに金目のものは奪われたあとで、おまけに周囲にはトラバサミなどの罠まで念入りに仕掛けられている。
 いったい、誰がこんな酷いことを…トレーズが推察するよりも早く、そう遠くない場所から複数の人間が争う音が聞こえてきた。


「スカイリムはノルドのものだ!」
「ぐあっ!?」
 ドスッ、ストームクローク兵の矢を受け、帝国軍兵士が仰向けに倒れる。
 どうやら帝国兵とストームクローク兵が交戦しているらしい、どちらも人数が少なく軽装であることから、双方ともパトロール中に偶然接触してしまったのだろう。
 すくなくとも、この状況でトレーズがどちらに加担するのかは明白だ。
「ネコしゃんを襲ったのは貴様らか!タロス信仰者に死を!」
「ネコ…?えっ?」
 矢を射かける帝国兵の背後から飛び出してきたトレーズ(それも、わけのわからない言いがかりをつけながら)の姿を見て、その場にいた全員が硬直する。
 装備の重量をものともせず、闇を駆ける盗賊のような素早い身のこなしで剣を振るうトレーズは、面食らったまま矢の標的を選びあぐねるストームクローク兵たちを一瞬のうちに斬り伏せていった。
 戦闘が終わり、帝国軍兵士たちは見慣れぬ黒騎士の姿に警戒を解くことなく質問を投げかけてくる。
「お前、何者だ。傭兵か…?」
「我が名はトレーズ、アルドメリ軍の百卒長だ。現在は特務にてスカイリムの反乱軍討伐にあたっている」
「あのエルフどものお仲間か。まあいい、この先へ行くなら注意したほうがいいぞ。山賊、反乱軍だけでなく、フォースウォーンも徘徊しているからな」
「フォースウォーン?」
「リーチ地方の先住民族だ。かつて大戦の混乱に乗じてマルカルスを制圧したあと、あのウルフリック率いる部隊に叩き出されて僻地に散っていった連中だよ。そのときの恨みがあるのか、やつら、同族以外の人間を見境なく襲ってくる傾向にある」
「つまり殺してもいいんだな?」
「構わないが、返り討ちに遭うなよ。連中の奇妙な文化には謎が多い。蛮族のような見た目に騙されるな、死ぬぞ」
「忠告には感謝しよう。だが、帝国人に心配されるほどヤワではない」
「…勝手にすればいいさ」
 そのままフォースウォーンに殺されればいいのに、といったことをブツブツとつぶやきながら反乱軍兵士の死体の処分にかかる帝国軍兵士たちを無視し、トレーズはふたたび旅路を辿りはじめた。








 帝国軍兵士の忠告通り、リーチ地方は少なくない数のフォースウォーンがコミュニティを形成しており、旅人やキャラバンを襲撃し略奪を繰り返しているようだ。
 トレーズはサンガード砦にてフォースウォーンとはじめて交戦し、その戦闘能力の高さに驚かされることになる。
 まず第一に数が多く、連携が取れており、ノルドの戦士をも上回る獰猛さで攻撃を繰り出してくるフォースウォーンの戦士に気圧されたトレーズは砦の地下へ逃げ込み、体勢を立て直すことにした。




 やがてロストバレー要塞の頂上にまで登りつめたトレーズは、奇怪な容姿の魔女…ハグレイヴンが強力な兵士を製造するための儀式を執り行っている現場に出くわす。
 フォースウィーン・ブライアハート。
 生きたまま心臓をえぐり出され、ブライアハートを移植されたフォースウォーン最強の兵士。その者はすでに人間ではなく、圧倒的な力をもってフォースウォーンを導く不死なる存在として、あらゆる外敵を打ち滅ぼす。
『いざ死より蘇らん、我らが血を与えられし…新たな生命よ!』
 ハグレイヴンたちの呼びかけに応じるように、儀式台の上で眠っていた男がゆっくりと身を起こす。さっきまで、たしかに呼吸一つしていなかったはずなのに…!
「うおおおぉぉぉぉぉぉッッ!!」
 軍人として、このようにおぞましいものとは無縁だったトレーズは悲鳴に近い叫び声をあげながらハグレイヴンに斬りかかった。その首を落とし、立て続けにフォースウォーン・ブライアハートと対峙する。


 苦戦を強いられたのち、トレーズは男の胸に宿るブライアハートを破壊して地に叩き伏せる。
「はぁっ、はぁっ…なんなんだこの連中、山賊なんかより余程脅威ではないか!こんな連中の話、アルドメリからも帝国軍からも聞いていなかったぞ…」
 サルモール大使館はこの連中についてどう思っているのだろう?




 その後もフォースウォーン討伐を続けたトレーズ、彼女をもっとも驚かせたのは、彼らがブレトンであったことだ。
「ちょっと待て…こいつらも我が祖先たるアイレイディーンの血を継いでいるというのか?ダガーフォールのブレトンはまだわかる、文化的だからな…だがこいつらはなんだ、蛮族そのものではないか!?」
 あるいは…かつてアイレイドは奴隷であるネディック人を使って数々の実験を行っていたと聞く、そういった風習とリーチ地方由来のシャーマニズム的な文化が融合してこのような形に落ち着いたのでは?などと思ったが、ハグレイヴンの影響やノルド人との確執など、これまでフォースウォーンの存在すら知らなかったトレーズには理解できない部分が多すぎた。
 頭痛を覚えながら、トレーズは誰ともなくつぶやく。
「ご先祖様…あなたがたを悪く言うつもりはないのです。ただ、ブレトンなどという種の創造と存続を許したのは明らかに失敗でした!私はその歴史の過ちを修正したいと考えています。彼らは必要ありません。アイレイドの血筋とアルトマーの誇りにかけて、フォースウォーンは絶滅させます」
 エルフが支配するタムリエルに、こんな連中は必要ない。美しくないし。
 そのことを強く実感したトレーズは、動物の頭部や人間のパーツといった悪趣味なオブジェで彩られた野営地を背に、誓いを新たにマルカルスへと向かった。








 翌朝、石の都マルカルスへと到着したトレーズは、その堅固な要塞を前に口を開いた。
「ここが、すべての始まりの地か…」
 マルカルス事件。
 フォースウォーンの撃退と引き換えにタロス信仰の容認を求めたウルフリック、白金協定に抵触するその裏取引を帝国は秘密裏に認め、大戦時にマルカルスを制圧したフォースウォーンをウルフリック率いる私兵隊が排除した。
 しかし裏取引の存在を察知したサルモール政府は帝国にウルフリック捕縛を命じ、彼らはその後数年間を牢獄で過ごすことになる。
 サルモールと帝国への敵愾心を胸の内に秘めながら釈放されたウルフリックはウィンドヘルムの首長に選ばれ、その後、スカイリムを統治する最高位の権力者たる上級王トリグを殺害。その場から逃走し、帝国からのスカイリム独立を標榜する反乱軍「ストームクローク」を指揮するに至る。
「あのウルフリックを一時でも野放しにするなど…我が同盟もまだ甘いな」
 サルモールの目から見て、フォースウォーンに支配されていたマルカルスをどう対処するのが最良であったかは判断が難しい。
 ただ一つわかっているのは、タロス崇拝を求めた危険な反乱分子たるウルフリックを予防策なしに野に解き放ったのは失策だった、ということだ。あるいは、自分には思いもよらない理由があったのだろうか?
 諸々の思いを抱え、トレーズはマルカルスの街へ続く扉を開いた。




 …開いたら、片手にダガーを持った男が女を背後から刺そうとしていた。
「フォースウォーンのために!!」
「ちょっと待て」
 基本的に人間同士が殺し合おうと構わない、どうでもいいというのが信条のトレーズではあったが、それよりも軍人としての身のこなしが、「民間人を傷つけようとする犯罪者」の動きを見過ごそうとしなかった。
 ドガッ、トレーズが男の心臓を背から一突きにすると同時に、市場が悲鳴で包まれる。


「マルカルス市警隊だ!事態の制圧のため、誰もその場を動くんじゃあない!怪しい動きをした者は斬る!」
 すぐに衛兵が集結し、男の死体と、トレーズを取り囲む。
 男に狙われた、マルグレットという女性は怯えた様子を隠せぬまま、震える唇を動かした。
「いきなり襲われたんです、この、フォースウォーンの男に!もしこの…黒い鎧のかたに助けられなかったら、どうなっていたことか…」
「まさか、私を咎めはすまいな?」
 被害者の証言を得て、トレーズは威嚇的なフォルムのダガーを鞘に収めつつ衛兵に同意を求める。
 いくらトレーズの動きが素早いとはいえ、人混みのなか咄嗟に大剣を振るうのは困難を伴う。
 トレーズの持つ短剣は戦闘用ではなく、動物の皮を剥いだり、屋外での活動に用いるためのものだったが、それでも殺傷能力は申し分ない。さすがに剣や斧の一撃を受け止めるには適さないが。
 衛兵はしばらくトレーズの装備を観察したのち、身分を示すマークがどこにもないことを把握すると、やや戸惑いがちに質問を投げかけてきた。
「見慣れない格好だな。傭兵か?」
「どこかで聞いたような台詞だな…いや、私は傭兵ではない。帝国軍の支援のためアルドメリ軍より派遣された、トレーズという。マルカルスに駐在しているサルモール司法高官への謁見を望んで来た」
 サルモール、と聞いて、束の間市場がざわめく。
 しかし衛兵隊は慣れているのか、特に動揺することなく街の奥地に鎮座する石造りの砦を指差すと、トレーズに言った。
「王宮、アンダーストーン砦はあそこだ。もし首長へ挨拶をするなら、くれぐれも粗相のないようにな」
「案内ご苦労。私はこれで失礼する」
 トレーズが立ち去ると同時に、混乱したまま立ち尽くす市民を衛兵隊が追い払った。
「みんな下がれ、事態は市警隊の手によってすでに沈静化した。ここにはもうフォースウォーンはいない、日常の業務に戻れ!」
 フォースウォーン、フォースウォーンか…
 そういえば、とトレーズはひとりごちる。
 もしあの男がフォースウォーンなら、連中はあの狭いコミュニティに引っ込んでいるだけではなく、市民生活に紛れて復讐の機会を窺っているということか。となると、状況はトレーズが考えているよりも厄介なものである可能性がある。
 隠れタロス崇拝者は表立ってサルモールと敵対するものではないが、あの連中は…白昼堂々刃物を振り回すとは。それもあの手口から見て、逃走は考えていないだろう。自己犠牲を厭わぬ献身、もっとも警戒すべき、性質の悪いゲリラ戦法だ。
「懸案事項が増えたな。まったく、面倒な連中め…」








 マルカルスの王宮たるアンダーストーン砦に入ったトレーズは、リーチ地方におけるサルモールの活動を統括する高官のオンドルマールと対面した。
 アルドメリ軍から派遣されたというトレーズを見つめ、オンドルマールが口を開く。
「軍がスカイリムの反乱戦力を制圧するため、帝国に兵を送るとは…先例のない話だな」
「馬鹿共のタロス信仰を野放しにしておくわけにはいかんのでな」
「まさか内戦における宗教的側面を本気で憂慮している連中がいるとは思わなかったな。悪く取らないでほしいが、現地で活動する諜報員にとってタロス信仰廃絶はあくまでも口実に過ぎない。軽視しているわけではないが、それより今後の対帝国政策における優位性の確保が大事なのだ」
「そんなことだから、ストームクロークのような連中をのさばらせる結果を招いているのではないか?」
「その点について否定はすまい。あの連中にはまだ利用価値がある」
 それからしばらくの間、二人は異なる立場の人間として意見交換をする。
 身分の高さで言えばオンドルマールのほうが上であり、特務を帯びているとはいえ一端の下級将校に過ぎないトレーズは本来なら対等な口をきけるはずはないのだが、そこはオンドルマールの気さくな性格と、トレーズの物怖じしない態度でどうにか会話が成立していた。
 なによりエルフによる大陸の支配と、劣等民族の殲滅という理念が一致していたことから、両者の間に同胞としての信頼と共感が芽生えていたことが理由として大きい。
 一通り話を終えてから、トレーズは安堵のため息をついた。
「話の通じる相手で助かった」
「どういうことだ?」
「いや、その、な…スカイリムに展開しているサルモールだが、ちと、血の気が多すぎるのではないか?大抵話が通じないどころか、この間なぞ白昼の往来で襲いかかられたぞ。同胞相手にさえ見境を無くすのはどうかと思うぞ」
「なに、本当か?それは良くないな…今度大使館に戻ったときに通達しておこう。災難だったな」
「気にかけてもらえるだけで有り難い。あなたと話ができて良かった」
 トレーズは柄にもない笑顔を見せ、兜をかぶりなおすと、街で宿をとるために石段を降りはじめた。
 ここスカイリムで気を許せる相手は多くない。
 同胞として話の通じる相手との会話を楽しんだことを思い返し、トレーズはふと、首をかしげた。
「そういえば、あいつの名前なんだっけ?…オンドゥルマール?」



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。ただあちこちフラフラするのもアレなんで、今回はリーチ地方まで足を伸ばしてみました。別にサムおじさんと酒飲み勝負したわけじゃないよ。本当だよ。
 次回からスカイリム全土をぐるりと回って帝国ルートに突入する予定なんですが、トレーズの場合はあまり寄り道したり頼み事を聞くのも不自然なので、極力クエストを受けないようにします。受けたとしても日記には反映しない。
 オンドゥルマール(ナズェマチガエルンディス!?)さんは話のわかるサルモールとして有名ですが、彼の場合はたんに最低限の聞く耳を持っているだけで、思想は典型的なサルモールなので、べつに善人ではないんですよね(人間にとっては)。それでも一定の支持を集めるのはやはりイケボの成せる業か。
 もっともサルモール側でRPしていると彼以上に魅力的なNPCってそういないので(他の名無しサルモール司法高官は敵対行動取ってなくても平気で襲ってくるし)、いずれにせよ貴重な存在に変わりはないです。イケボだし。















2016/01/17 (Sun)06:44






「こんなところにタロスの祠が…忌々しいな。ぶっ壊してやろうか」
 ギャロウズ・ロック砦南西。
 山賊退治を兼ねたパトロールの最中にトレーズが見つけたのは、人里離れた閑静な地でひっそりと供物が奉げられたタロスの神像だった。
 もとよりスカイリムでのタロス信仰を完全に排除するためアルドメリ軍より派遣されたトレーズとしては、こんなものを黙って放置しておくわけにはいかなかったが、しばらく考えたのち、この場所には手をつけず放っておくことに決めた。
 トレーズより先にスカイリムへ入り込んでいるサルモールの実行部隊が、タロス像の位置を把握していないとは考え難い。おそらくは、タロス信者を待ち伏せて狩るためにあえて残してあるのだ。
 短時間であるとはいえ入隊初期に諜報部に所属していたトレーズは直感的にそう考え至り、タロス像に背を向けた。
「でもまあ、万が一ということもある…このことは覚えておいて、あとで大使館にでも行ったときに報告しておこう」







 現在のトレーズは、ホワイトランを拠点に活動している。
 ときおり山賊退治の際に得た戦利品を換金するため、商店に立ち寄ることもあるのだが…


「なんでも売るぞ友よ!なんでもだ!あいにく身内は全員売っちまったあとだけどな!」
「…なんで、こんなやつがこの時代まで残ってるんだろう」
 トレーズが苦言を呈したのは、なにも雑貨店の主人ベレソアの下品な態度に対してではない。
 ベレソアはブレトンだ。魔法にその才能を強く発揮するハイロック出身の人間族だが、トレーズはブレトンがアイレイドとネディック人の交配種であることについて、どうしても納得がいかなかった。
 いわば支配種と奴隷の間に授かった子の末裔であり、トレーズの美的感覚から言えば、主人と奴隷の交わりなど獣姦も同然のおぞましい行為だ。
 いっときの過ちであるというのなら、まだ理解できる。
 しかしこのブレトンという種はハイロック地方一帯を支配する一大勢力を持つまでになり、その数は決して少なくない。
 なぜそこまで繁栄できたのか?どうやってそこまで数を増やしたのか?その繁殖の実態は?こいつらはネズミか何かか?アイレイドも、ネディック人も、なぜこんな異様な混血種を絶やさず生かしておいたのか?
 まさか主人と奴隷の愛などというものがあったとは思えないが…亡き先祖の成果を目前に、トレーズは思わずこめかみを揉んだ。
 このブレトンという種の動向については、不透明な部分が多い。すくなくともアイレイド滅亡に先駆けてアレッシアやネディック人に加担した記録はないし、ある意味では遠縁と言って差し支えないので、トレーズが剣の切っ先を向ける相手でないことは確かだ。
「しかし…」
 ベレソアの野卑な笑みを見つめ、この男にも自分と同じアイレイドーン(アイレイド人)の血が流れていることを考え、トレーズは大きなため息をついた。








「…らぁッ!!」
 ドシュッ!
 断崖の上に橋渡しされた巨木の上で、弓を射かける山賊の懐へ飛び込み首を斬り落とす。
 足場から転がり落ちた山賊の死体はかなり長い間自由落下したのち、急流に呑まれていった。
「フーッ…」
 戦利品はフイになったが、こんな場所では身の安全を最優先すべきなのは言うまでもない。
 幼少より狩人として躾けられたトレーズにとって、悪路での活動はそれほど難しいものではない。娘を厳しく教育しながらも、しかし自身に流れる祖先の血については執着がなかった両親のことを考え、トレーズは束の間ノスタルジアに浸った。


 天候が不安定で変わりやすいスカイリムの地。
 雪が吹きすさぶなか、山の中でキャンプを張ったトレーズは、サラーシュ(ヴァレンウッドに逃げ延びたアイレイドゥーン)の末裔たる両親について考えた。
 祖先のために何かをすることこそなかったが、それでも、両親はアイレイドの血が流れていることをまったく意識していなかったわけではない、というのをトレーズは知っている。
 かつて偉大な文明を築きあげたリンダイの王家を護る騎士の家系にあることを、両親はたしかに誇りに思っていたはずだ。それはヴァレンウッドにおいて、弓ではなく剣を使って狩りをしていたことからもわかる。
 祖先の代より伝わる、リンダイ騎士流剣術。
 たんに祖先へ尽くす機会がなかっただけなのだろう、とトレーズは思う。ある意味では、自分は運が良かったのかもしれない、とも。
 アリノールによるヴァレンウッド侵攻、ドミニオン(アルドメリ同盟)の復活と、帝国の弱体化。
 アルトマーによるタムリエル再支配がにわかに真実味を帯びた矢先に、かつての祖先の装備を身につけアルドメリ軍の徴兵施設へ向かうトレーズを、両親は何も言わず、黙って見送った。
 そのときの両親の表情を、トレーズはどうしても思い出すことができない。







 スカイリムでの活動中に出くわす難敵は、山賊だけではない。


「厄介な敵だな…ウィスプマザー!」
 マシンガンのように発射される氷柱の連弾を剣で叩き落とし、トレーズは目前に迫る異形の物体を睨みつけた。
 布を纏った女性のような外観であるウィスプマザーは、その正体が謎に包まれている。
 ウィスプを伴って行動することから、ウィスプの親玉的存在と一般的には認知されているが、そもそもウィスプと種族的な繋がりはあるのか、たまたま一緒にいるところを目撃されているに過ぎないのかは誰にも証明できなかった。
 よく見ると、非常に人間的なフォルムをしているのだが…


「バケモノの正体なぞどうでもいいが、えらく不機嫌そうなキレ顔だな!」

えらく不機嫌そうなキレ顔

 その後、苦労しながらもトレーズはウィスプマザーを撃破。
「寒冷地にのみ出没すると思っていたが、こんな日照時の山の中で出てくるとはな…幽霊の類ではないのか?」
 もっともタムリエルの霊体は夜にのみ出没するとは限らない。







 その後、日没間際に立ち寄ったイヴァルステッドの村にて一夜を凌ぐ。


「アルトワインをお願い。ハチミツ酒なんて下品なもの飲ませないでよね」
 鎧を脱ぐとただの小娘と変わらない容姿となるトレーズの不遜な注文に、宿の主人ウィルヘルムは当然良い顔をしなかった。
 しかし部屋を貸す契約を交わし、次に部屋を出てくるまでの鎧姿を見ており、且つノルドに敵対的なアルトマーという点からトレーズをサルモールの一員だと判断した彼は、文句を飲みこみ黙ってアルトワインの瓶を差し出した。
 サルモールを恐れるわけではないが、ここで無用のトラブルを起こす必要はない。
 一方のトレーズはといえば、下品と言いながらハチミツ酒そのものを嫌っているわけではなかった。
 ただハチミツ酒というのは、一般的に「ノルドの飲み物」という印象が非常に強い。
 その一点が、トレーズにとっては許し難いものであり、味が嫌いなわけではない(むしろ好みに近い)にも関わらず、「口にすることすら憚られるもの」として認識されていた。

 翌日…
「貴様、自らがドラゴンボーンだと吹聴して回っているらしいな」
 ヴァイルマイヤーの宿を出たトレーズの前に、奇妙な服装の二人組が立ちはだかった。
 自分が認識している事実といささか異なることを口走る男たちに、トレーズは若干呆れながら言った。
「衛兵の口伝でも真に受けたか?西の監視塔での話だな…たしかにドラゴンを倒したのは私だが、ドラゴンボーンなぞという得体の知れんものではない。不愉快だぞ貴様ら」
 まったく、すこしでも目立ったことをすると、こういう面倒な輩が群がってくる。
 付き合ってられん、と手を振って立ち去ろうとするトレーズを、男たちは逃がそうとしなかった。
「貴様がドラゴンボーンを騙り庶民を煽動していることはわかっている!この詐欺師め、真のドラゴンボーン復活を前にその心臓をえぐり出してくれる!」
 そう叫ぶと、男たちは魔法のシールドを張り、デイドラを従えたうえで、短剣を抜いて襲いかかってきた。
 その行動はトレーズをキレさせるには充分だった。


「ぶち殺されたいか貴様ら!!」
 朝っぱらから妙な言いがかりつけられて襲われたら誰だってキレる。
 繰り出される魔法をものともせず男たちを両断したトレーズは、死体から奇妙なマスクを外し、その正体を誰何した。
「ダンマーとノルドのコンビか。種族的な因縁ではなさそうだな…」
 死体を探り、手紙を探りあてたトレーズは、彼らがミラークなる者の手によってソルスセイムから派遣された刺客であることを知る。標的たるトレーズを名指しで指定した手紙を握り潰し、トレーズは不愉快そうにつぶやいた。
「闇の一党といい、ミラークといい、余計な連中ばかり絡んでくるな。ソルスセイム島…レッドマウンテンの噴火で流出した難民の収容所だな。鉱山資源が枯渇して価値を失ったと思っていたが、こんな妙な連中がはびこっていたとは…もっとも、いまはそんな僻地に様子を見に行く暇なぞないが」
 トレーズはヴァレンウッドとの繋がりが薄く、ソルスセイムにまつわる事情をほとんど知らない。
 その知識の多くは本で得た内容のうろ覚えか、大戦中に同僚の伝聞で知ったものばかりで、いずれも信憑性は薄かった。
「火の粉は払う、が、いまはそれ以上に手の打ちようがないな」
 もし刺客たちが本当にソルスセイムからやって来たのであれば、情報が伝わるのが早すぎるし、なにより、トレーズをドラゴンボーンと断定して襲撃を仕掛けてきたことも気にかかる。
 ひょっとしたらストームクロークの姦計か、などと考えながら、トレーズは死体の始末を衛兵に頼み、イヴァルステッドを発った。







 その日の夜、護衛を引き連れ街道を行くサルモールの審問官を発見したトレーズは接触を図る。
「公務の邪魔だ、とっとと失せろ!」
 近づいた瞬間に護衛に追い払われかけ、トレーズは兜を脱いで顔を見せた。


「同胞にはもうすこし愛想を良くしてもバチは当たらんと思うぞ」
「何者だ?貴様…」
「トレーズ・ミドウィッチ、センチュリオンだ。帝国軍を支援しストームクロークを排除するための特使として派遣された」
「貴様のことは大使館から聞いていないぞ」
「挨拶が遅れたものでな」
「まあいい、貴様が何者であろうと…センチュリオンだと?戦場(いくさば)でどれだけ軍功を挙げたか知らんが、スカイリムでの活動は我々諜報部の領分だ。軍属が余計な口出しをするな」
「互いに協力し合えると思ったんだが?」
「無用。よく考えることだな、貴様の行動は我々の作戦に悪影響を与えるぞ。帝国に協力だと?なんの冗談だ、それは…そうか、ドラゴンを倒したアルトマーの騎士とは貴様のことか?いったい、なんのつもりだ」
「仮にストームクロークが帝国軍を排除しスカイリムが独立したとして、我々がふたたび帝国と剣を交えたとき、ノルドの連中が不介入を貫くなど有り得ない…次は自分の番とわかっているからな。むしろ帝国の兵を北方に分散させ、兵力を集中させないほうが今後は有利になる。それに現状では帝国傘下のほうがおまえたちも活動しやすいのではないか?いまのうちに工作網を展開し、スカイリムが独立できぬまま政情不安を抱えた状態で戦争に持ち込めれば、補給線の襲撃や諜報活動も容易いのではないかね。万が一にでもストームクロークによるスカイリム独立を許せば、連中は草の根分けても我々を狩り出しにかかるぞ」
「だからといって内戦の早期終結を望む言い訳にはならん。貴様らはタロス信仰が気に喰わぬだけであろうが…!それに、誰も貴様の政治的意見など聞いてはおらん」
「しかしだな…」
「話はもう終わった」
 それだけ言うと、審問官はトレーズが最初からそこにいなかったように振る舞い、彼女の存在を無視して立ち去ってしまった。
 彼らの縄張りに勝手に入った手前、諸手で歓迎されることはないと思っていたトレーズだったが、ここまで敵意を剥き出しにされるとは思っていなかったので、すこし動揺していた。
 アルドメリ軍へ入隊してから大戦が勃発するまでの僅かの間、トレーズは諜報部と協力して「ある特殊作戦」に参加していたことがある。しかし彼らとの関わりはそれっきりで、そもそも軍部とはあまり折り合いが良くなかったという話を聞いたことはあったが、いまそれを実感として理解したことになる。
「…まあ、いいか」
 上官からは前もって、現地で活動する諜報部の存在を知らされてはいたが、彼らと連携しろとは言われていない。
 あっちがああいう態度を取るなら、こっちも好きなようにやらせてもらうか。
 そう考え、トレーズは審問官たちが行ったのとは別の道を歩きはじめた。



>>to be continued...








 どうも、グレアムです。
 日記と銘打ちながらもうほとんど創作ですよ。タイトル誤ったなこれ。最初はこういう予定ではなかったんですけどね…
 あと最近、Steamで発売されたアーリーアクセス・タイトル「Slime Rancher」をはじめました。スライムかわいい。ちょおかわいい。めっちゃ癒される。もう血生臭い世界とオサラバしてずっとスライムと戯れていたいと思ったんですが、気づくとSkyrimを起動して山賊の首狩ってるんだよなあ。
 これが別腹というヤツなんだろうか。












2016/01/15 (Fri)00:03





混迷極めるスカイリム、混迷極めるソリチュード。
リストラ、不況、内戦、重税、弱腰外交。怒れる市民の声!声!声!



振り子の残像落ち着いていく
落ち込んでいく、落っこちていく




よなよな夜中の三時
まだまだ全然行けそうな感じ




朝までぶっ通しで瀕死
夜明けに一人、ふらふらり




あ゛あ゛ぁぁぁ…キルムーヴ!キルムーヴがしたい!
ぎぅぅ…キルムーヴがしたい!我慢できにゃあい!
キルムーヴがしたい!




ピント外したぼやけたカメラ、ぼんやり浮かんだ風呂敷広げる
逃げるスタイルでもスマイル




どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、闇の中へ
どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、どんぶらこっこ




きょとんとしてる、きょっとんとしてる
どこなんだろう誰なんだろう
共有しないカッコいっしょ、共有しないカッコいっしょ




そこのカップル ペアルックはやめい やめい
そこのカップル ペアルックはやめい やめい!!








「…なんだったんだ、今回の更新は」
「いちおうこっちのデータも死んでないっていう意思表示らしいよ」
 怪訝な表情で尋ねるボルガクに、俺は半ば投げやりに答えた。

 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 どっかの虐殺主義者のアルトマーに出番を奪われそうになったが、どうやら俺にもまだまだ出番があるらしい。



→To Be Continue?








 どうも、グレアムです。
 エート今回の更新は…完全に一発ネタです。中途半端な再現で申し訳ねぇ。
 元ネタはいわずと知れた(?)group_inouの楽曲「ORIENTATION」です。AC部製作の異様なアニメーションとともに、癖というか中毒になる曲調は必聴。某所で書かれた「夜中の三時感がすごい」というコメントはまさにこの曲の本質を上手く表現していると思う。

 今後のSkyrim進行についてですが、アルトマーのトレーズとアルゴニアンのアーケイドはシナリオの方向性が真逆なので、それぞれ独立して進行していく予定です。ぶっちゃけると、気が向いた方を気が向いたときにプレイする。
 ちなみに最後の画像は、ダンジョンを出た瞬間にマンモスの死体が入り口目掛けて降ってきたところ。すげービビッた。少し離れた場所に巨人の野営地があるんだけど、目視できるほど近い距離でもないんだけどな…













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