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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/04/27 (Sat)13:46
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2016/04/30 (Sat)07:43






この四角頭をカッコ良く撮るのは至難の業だ







 どうも、グレアムです。今回は箇条書き的取り留めのない話を一つ。
 このところニューベガス小説の本編を再開すべく構想を練り続けているのですが、数ある問題の中でもっとも頭を悩ませているのが仇敵ベニーの扱いだったりします。
 オープニング・ムービーでの大物感溢れる立ち居振る舞いにプレイヤーを魅了し、そして実際に会ったプレイヤーをおおいに落胆させた(笑)あの男です。個人的には株を落とすことなく、どうにかクールガイの面子を保ったまま活躍させてやりたいのですが、それが実に難しいのですよね。

 なにが難しいかというと、それは彼がイエスマンルートに入っているという点。
 何かしら後ろ盾があるなら、あくまで工作員の一人としてそれなりのシチュエーションで活躍させてやればいいのですが、彼一人を野望達成のために動かさなければならないとなると、これはもう無理ゲーに近くなる。
 いちおうチェアメンという組織を率いてはいるのですが、正直なところ、チェアメンがNCRやリージョンを相手に妨害/破壊/諜報活動を展開できるような連中かというと、とてもじゃないけどそうは思えない。というか、トップスの外での活動は想定してないグループだと思います。
 チェアメンがベニーの野望達成のために動ける組織か、というと、それはかなり疑問なので、自然、ベニーは単独で何もかもこなさなければならなくなる。実際、単身一張羅でフォートに潜入してますし。

 そんなベニーがアテにしていたのがプラチナチップによるセキュリトロンのアップグレードなんですが、もしフォートでの工作が成功していたとしても、それでNCRとリージョンを抑えてニューベガスを支配できていたかというと、これもまた疑問が残ります。
 なんといってもイエスマンルートというのは「運び屋が無双した結果、セキュリトロンによる地域制圧が可能になった」というだけの話なので、果たして運び屋の無双を抜きにして、バージョンアップしたセキュリトロンのみで両勢力に対応できたのか、と考えると、これはあまり勝ち目のない賭けだと俺は思ってます。
 まあハウスに関してはセキュリトロンのコントロールを奪取した時点で無力化したも同然なので、その時点で下克上は成功しているんですが。
 実ゲームプレイはともかく、設定的にはMk.II_OSを搭載したセキュリトロンさえいれば大丈夫なのかもしれませんけど…個人的にはあんまり納得できないんだよな。NCRとリージョンが何も考えずに正面から戦ってくれるなら何とかなると思いますが。いや、第二次フーバーダム戦争がそれに当たるのか…うーn。

 ベニーが本懐を遂げるには単身で八面六臂の活躍をするしかないわけで、これは注文としてはかなり難しい。ギリギリまで交渉で粘ろうにも、セキュリトロンをアップグレードした時点で(事前にコネクションを作ってない場合)NCRには要注意人物としてマークされるだろうし、リージョンはフォートでの扱いを見る限り協力の望み薄だし、カーンズは敵に回しちゃうし、なによりハウスには弓を引いた後だし…なにこの八方ふさがりというか、徹底的に退路を絶っていくスタイル。
 そんなわけでベニーを活躍させるなら運び屋ばりに無双させるしかないわけで、そうなるともう運び屋(ポジションの主人公)が必要なくなるし、なによりベニー無双記が話として面白いかっていうと…いや徹底的にそういう方向性に振れば面白くなるかもしれませんが、さすがにそれは書きたくない(笑)

 現実的に考えて、ベニーが取るべきもっとも安牌な落としどころは「バージョンアップしたセキュリトロンを手土産にNCRの軍門に下り、NCR管理下のもとニューベガスの治安維持を担当する」というあたりに落ち着くと思うんですが、それだとベニーが野望達成したことにはならないんですよね。
 NCRとリージョンを排除し一勢力として自立する、というハウスの意向を引き継ぐのが最終的な着地点だと思うんですが、それが難しいんだよなー。
 運び屋と手を組む、というルートを作れば万事上手くいくんですけど、そうなると運び屋がベニーを許せるか、互いに信頼を構築できるのか、という点が唯一最大の障壁になるわけでして。
 そもそも運び屋がイエスマンルートに入らなければ(ハウス、NCR、リージョンすべてと敵対しなければ)ベニーの協力は得られないと思うんですが、俺はニューベガスのゲームプレイにおいて重要なファクターを担う「選択に伴う責任」を破棄してしまうイエスマンルートは嫌いなので、それはやりたくないんですよね。

 べつに…エンディングの「その後」があるならね。「さあ、あなたは今後のニューベガスの未来をどう動かしますか?」という、最大権力者となった運び屋の意思決定がインプットできるデザインならね、イエスマンルートもアリなんですけど。そうではないので。
 イエスマンルートはあくまで「詰み」の状況を作らないためのゲーム的な救済措置でしかないので、物語のエンディングとしては不適当なんですよ。言うなれば緋村剣心が幕府も維新派も倒して総理大臣になるようなもんなので、それはやっちゃいかんだろう、と。たとえどの勢力についても理想通りにならないとわかっていてもね。



 まあ、そんなことをグダグダと考えていたわけです。
 ただこうして実際に文章にすることで色々と方向性が見えてきた気がするので、無駄にはなってない。はず。まあチラ裏というか、ネット上で公開するようなもんじゃないんですけど。本来なら。













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2016/04/28 (Thu)13:36





 どうも、グレアムです。
 前回終了したFalout New Vegas: Honest Heartsの小説ですが、じつは没ネタが幾つかあったんですよ。本来ならそのまま記憶の闇の奥へ葬り去られる予定だったんですが、ちょっとだけ勿体無いと思ったので、サルベージして再利用することにしました。
 あくまで没ネタなのであまりちゃんと書いてないですが、ほんのちょっぴりでも楽しんでいただければ幸いです。
 それじゃあ、いってみよう。







【没ネタ1:アメリカ人ならM1911やろうが】






 物資調達を終えた俺とフォローズ・チョークは、かつてレンジャーが利用していた見張り塔の上で休息を取っていた。
 他愛もない雑談のあとで、俺はフォローズ・チョークがぶら下げている拳銃を見せてくれるように頼む。ジョシュアが作ったという銃のボディはずっしりと重く、同時にひどく懐かしい感覚がした。
「思い出すぜ…俺も初めてヴォールトを出たときは、この.45口径を持ち歩いてたんだよなあ」
「そうなんですか。ところで、ヴォールトってなんです?」
「核戦争前に建造された避難用のシェルターで…つっても、わかんねぇか。まあロクなもんじゃねーから、名前を聞いたり実際に見かけたとしても、回れ右して無視すんのが懸命だぜ」



 【解説】
 ただでさえフォローズ・チョーク関連のエピソードは盛り過ぎたうえ、ここでクレイブに過去話をさせるとややこし面倒臭いことになるので没。
 ちなみに「ジョシュアが作った」というのは設計者云々の話ではなく、デッドホース達が使っているM1911はジョシュアの手製なのでは、という推測をもとに。さすがに戦前のを整備して使い回してるってこたぁねーだろと思うので。







【没ネタ2:それは黙ってちゃ駄目だろ】






 ウェイキング・クラウドから夫の安否に関する疑念を聞いた俺は、真相を知るためにダニエルに話を聞くことにした。
「彼女の夫と三人の子供は、すでに別の地へ避難しているんだ。そのことは聞いているだろうが、ただ、夫のほうが…ホワイトレッグスの襲撃を受けたとき、子供たちを庇ってな…」
「ちょっと待て。黙ってた、じゃ済まされないぞ…あんた、彼女に『夫は生きてる』って言ったそうだな!?今回の戦いの行方がどう転ぶにせよ、いずればれる嘘をついてどうすんだよ!」
「これからザイオンを撤退するのに、彼女が戦意を失っては困るのだ!それは部族全体の存続に関わる!」
「戦えなくなったら困るだと…あんた、彼女のことなんかこれっぽっちも心配してねえんだな!?知らない間に夫を亡くした女の気持ちなんか、知ったこっちゃねえってわけか?彼女を戦いに利用するためだけに嘘をついたのか、なんて野郎だテメエ!」
「大声を…出さないでくれ」
「ああ。聞かれたら困るもんな?」
 俺はマスクの下で皮肉いっぱいの笑みを浮かべる。
 ダニエルはしばらく俺と目を合わせようとはせず、その表情は怒っているようにも、また疲れているようにも見えた。
 やがて彼は顔を上げると、努めて平静を保ち、一単語ごとにはっきり区切るような言いかたで言った。
「…すまなかった。率直に言って、私にはそこまで気が回らなかったんだ。多忙に紛れて…いや、こんな言い訳は無意味だな。だが誓って、私は彼女を傷つけるつもりはなかった」
「それを俺に言ってどうするよ」
「そうだな。本来ならば私の口から彼女に言うべきだろう。だが…情けない男と言ってくれて構わない。私には彼女に真実を告げる勇気がない」
 傷つくのが怖い…彼女が?それとも、自分が?
 寸でのところでそんな言葉が出かかったが、俺はどうにか自制し、かわりに大きく息を吐いた。
 これ以上ダニエルを責めたところで、どうなるものでもない。
 だから俺は、彼を徹底的にこき下ろすのはやめて、ウェイキング・クラウドに真実を伝える役目を請け負った。過ちを犯した者を見下して悦に入るようなのは、嘘をつく以上に最低な行為だ。

 俺の口から真実を伝え聞いたウェイキング・クラウドの怒気は凄まじいものだった。
 ダニエルは彼女の難しいお産を助けたことがあり、それ以来、ウェイキング・クラウドはダニエルのことを非常に信頼していた。だからこそ、裏切られた失望が大きかったのだろう。
 彼のもとへ向かおうとするウェイキング・クラウドを、俺はどうにか止めようとした。
「まあ、待て…彼はいま、難しい状況にあるザイオンのために、必死に活動しているんだ。今回は、それゆえの過ち…決して悪気があったり、君を裏切るためにやったことじゃない」
「貴方までそんなことを…!」
「裁くなら、すべてが終わったあとだ。それでも遅くはない、だろ?」
 彼女はどうにも納得できないという表情をしていたが、それでも、俺の真剣な眼差しを見て、渋々ながら引き下がった。



 【解説】
 何度か書いたように、フォローズ・チョークに続けてウェクラさんの出番まで作ると収拾がつかなくなるので没。
 あとダニエルが割と重要な役割を果たすようになったので、ここで株を下げておきたくなかった。







【没ネタ3:エンディングだから…】






 ホワイトレッグスとの戦いが終わったあと、ウェイキング・クラウドは疎開先から戻ってきた子供たちの口から夫の訃報を聞き、愕然とした。
 信頼していたダニエルが嘘をつき続けていたことに彼女は憤慨したが、それでも彼女はダニエルがジョシュアとザイオンの未来のため自ら命を絶ったことを思い、彼なりに思いやった上での行動だったのだろうと自分に言い聞かせようとした。
 大切な者を失った失意はそう簡単に忘れることはできなかったが、それでもウェイキング・クラウドは愛する子供たちに囲まれながら、長い時間をかけて心の傷を癒していった。



 【解説】
 これは事前に夫の死を知らされず、そのままダニエルが死んだ場合のエンディング。
 じつは最後まで入れようかどうか悩んだんですが、それまで出番がなかったのにエンディングで急に出張るのもなんかおかしいよなっていうのと、ウェクラさんは他のソローズ民と比べて特別に理解力があるようには思えなかったので(優しい人なんですけどね)、没。







【没ネタ4:感染ラッドギミックニューベガス・オネストハーツ】



 度重なるお使いクエストを経て、若干フラストレーションが溜まっていた俺はついにジョシュアに文句を言うことにした。
「金がないならないでいいんだけどさ…せめて弾代くらい負担してくんねーかな?」
「む、すまなかったな…侘びというわけではないが、君に銃と弾薬を供与しよう」
「マジ?らっきぃ」
 かくして俺は、ジョシュア謹製の武器弾薬を賜ることになったのだが…






「おいコラ包帯男!これはいったいなんなんだよオメー!」
「なに…?」
 俺はジョシュアから渡されたトミーガンをかまえ、めっちゃくちゃに怒りながら銃を振り回した。
「なんでコッキングピースが横についてんだよ!俺がトミーガンつったらM1928以前だっつーの!なんでベースがM1なんだよワケわかんねーよ!しかもオプション全部装備してもフォアグリップつかねーだと!?なめてんの?ねぇなめてんのダークマン?」
「貴様、せっかく私が用意した武器に文句があるのか?」
「ああ、あるとも!おおいにあるとも!つーかメインビジュアルでボルトボーイが持ってるトミーガンはちゃんとコッキングピース上についててフォアグリップも装備してんだろーが!なんでわざわざ変えてくるんだよオブシディアン!」






 あまりに勝手な俺の言い草に、ついにジョシュアがキレた!
「そこまで言われて黙っているわけにはいかん!小僧、麻雀で勝負だ!




テレレレッ、テーテーテレー
次に使うー、ヌカ・ドリンクを選ぶネー!




モルモン教への深刻な風評被害
こいつを喰らうと漏れなくクソゲーされる




テッテレッテレー



 【解説】
 俺は麻雀探偵物語よりもジャンファイターズのほうが好きです。さすがに世界観を壊し過ぎるネタなので自重しました。というかトミーガンに関してはコンシューマ版のレビューの時点でも散々言ったので今更感がすごい。







 こんな感じで、以上没ネタ四連発でした。
 うち三つは没るべくして没ったネタです。まああの、映画のDVDに特典でついてる、未公開シーン集みたいなノリですね。必要ないから削除されたんだな、というのが見るだにわかるという。
 最後のは…うーん…まあ。対戦ホットギミックは素晴らしいゲームですよ(何のフォローだ)。一時期ゲーセンに行っては、脱衣モードには目もくれずにジャンファイターズばっかやってた時期がありました。
 ネタ的にはいろいろ応用できるんですが(シルバーラッシュ爆破とか)、なにせ画像を作るのが面倒臭いので、たぶんもうやらないと思います。ジャンファイターズのキレッキレなポーズ(&顔芸)をNVで再現するのが難しいってのもありますし。



 そうそう、話数が貯まったのでHPにまとめページを作りました。

<< Fallout New Vegas : Twin Aces >>

 副題は「Twin Aces(双子のエース)」に決定。その言葉が意味するのはなにか。その意味が判明するまで俺は書き続けることができるのか(笑)でもまあ、極力サブクエストは無視する方向性で行くつもりなので、たぶん…最後まで…うーん。
 たぶんエースが二枚出て嬉しいゲームって存在しないですよね。二枚だけじゃあね。
 元はずっと前に考えてた、女運び屋が兄の形見の銃を追って旅をする「Four Aces(四人のエース)」っていう話の構想があって、それがポシャッたんで副題だけ流用したってのがあるんですけど。














2016/04/26 (Tue)18:04





Fallout: New Vegas / Twin Ases
Honest Hearts - Epilogue -




 スリーメアリーズの戦いでホワイトレッグスは壊滅した。部族間の協力によって勝利を手にしたデッドホースとソローズはザイオンの地を離れることなく、その後も豊かな自然に囲まれたこの地で営みを続けた。
 戦いのあと、ジョシュア・グラハムは積み上げられたホワイトレッグスの戦士たちの屍を八つ裂きにし、火を放った。かつてリージョンに所属していた頃、そうした残虐な行動で敵味方の双方を畏怖させ、従わせることは彼の常套手段であった。
 しかし今回は様子が違っていた。屍を解体するジョシュアの表情に嬉々とした様子は見られず、火を放ったあとも、彼は悲しそうな目でそれを見つめていた。なぜなら今回のこの行為は見せしめなどではなく、友への弔いと、残虐な行為への決別を意味していたからだ。










 ダニエルが自ら命を絶ったことはジョシュアに大きな衝撃を与え、決して癒えぬ傷を心に残した。ダニエルが誰よりも神の教えに忠実であったことは他ならぬジョシュアが最もよく理解しており、そのダニエルが自ら命を絶ってまで(自殺という神の意思に背く行為を選んでまで)ジョシュアとザイオンの部族の将来を憂いていたことに気がつけなかったことを、ジョシュアは悔い続けた。
 ホワイトレッグスへのジョシュアの怒りは、家族も同然であった部族の民を殺され続けたことに端を発していたが、ダニエルもまたジョシュアにとって大切な家族であり、自らの行いによって家族を死に追いやってしまったことに対し、ジョシュアは死ぬまで自分を責め続けたという。










 戦いの勝利によってデッドホースとソローズは闘争こそ将来を切り開く手段であると確信し、勇猛になったことと引き換えに、血の気が多く争いを好むようになった。
 かつては協力してザイオンの危機を乗り越えた両部族間にやがて緊張状態が生まれ、諍いが絶えないようになった。大抵はつまらない理由に端を発する喧嘩ばかりであったが、やがて殺し合いが起きると、ジョシュアは自ら積極的に出向いて両部族間の仲裁に当たった。
 厳しい態度で両者を諌めるジョシュアに両部族は反感を覚えることもあったが、それでも彼への敬意を失うことは決してなく、一時は危機的であったザイオンの状況もやがて平穏の時を迎えた。
 命を賭して慈悲を訴えたダニエルの犠牲によりジョシュアの身を焦がし続けていた炎は消え、それに伴いバーンドマンの伝説も風化していったが、それと同時に、ときおりザイオンを訪れるキャラバンや旅人の口から、厳しくも慈愛に満ちた「ザイオンの父」の寓話がひっそりと語られるようになったという。










 宣教師ダニエルは死を厭う以上に、ホワイトレッグスとの戦いによってジョシュアがかつての残忍さを取り戻し、ザイオンの部族を第二のリージョンに変貌させてしまうことを恐れていた。言葉では決してジョシュアを説得できないことを理解していた彼は、ザイオンの平和を願う一枚の手紙にすべてを託し、自らに引き金をひいた。
 ダニエルの遺体はジョシュアの手によって丁重に葬られ、彼の墓は静謐なる場所として厳重に管理された。自ら命を絶ったダニエルが天国へ行けたかどうかは誰にもわからなかったが、少なくとも…現世で、彼が自らの行いを悔い、憂うことはもうなくなった。
 デッドホースとソローズの両部族に神の教えを説くとき、特に神の慈愛について説くときに、ジョシュアは必ずダニエルの名を口にするようになった。しかし両部族は神の教えに忠実であるがゆえ、自殺という手段を不名誉で背教的な行為としか捉えることができず、なぜジョシュアがこれほどまでにダニエルの存在を神聖視するのか、それは彼の死後もついに理解されることがなかった。










 部族間の諍いが表面化する前、フォローズ・チョークはジョシュアと自分の将来について話し合ったあと、一族の反対を押し切ってザイオンの地を旅立った。
 見慣れぬ文明とモハビの荒涼たる砂漠は度々彼を驚かせたが、フォローズ・チョークは決して自分を見失うことなく、現在はモハビ各地を巡回するキャラバンの護衛として見聞を広めることに努めている。
 しかし彼が多大な恩義を感じている相手…ザイオンを巡る戦いで活躍した、かの傭兵と再会することは二度となかった。










 傭兵…クレイブ・マクギヴァンはモハビに帰還したあと、真っ先にハッピートレイル・キャラバンとコンタクトを取った。
 ザイオンに派遣した部隊からの連絡が途絶えたとき、すでにニュー・カナーン方面の通商ルートを諦めていたキャラバンは急遽調査隊を派遣し、脅威となっていたホワイトレッグスが壊滅したこと、勝者となったデッドホースとソローズが取引の再開にあたって通商ルートの警備にあたると提言してきたことを知り、大いに驚嘆した。
 それは部隊壊滅後にクレイブが困難な任務をたった一人で成し遂げたことを意味していた。キャラバンは彼に多額の報奨金を支払い、それを補って余りある富を約束された会社は飛躍的発展を遂げた。

 クレイブがザイオンでの出来事を思い返すことは滅多になかった。
 彼にとって今回の出来事は数多くある仕事の一つでしかなく、なにより、すでに彼は新しい仕事に向けて着々と準備を進めていたのである。
 ある組織から極めて重要且つ機密性の高い任務を請け負ったクレイブは、一人の女性を伴い、前人未到の地へと旅立った。






 旧世界のブルースが響く、ビッグ・エンプティへと……





< Wait For Next Deal... >








 どうも、グレアムです。傭兵クレイブが紡いだ、ゲーム本編とはやや趣の異なるFallout: New Vegas、Honest Heartsのエンディング。如何だったでしょうか。
 本編の設定とは違う部分が多々(あえて変えた部分、無理解ゆえに間違えた部分含め)あるので、本編を理解するうえでのソースとしては不適当ですし、考察を手助けするようなものでもありませんが、まあ二次創作なので、そのへんは大目に見て頂きたいと思う所存でございます。
 洞窟の父とウェクラさん(ウェイキング・クラウド)関連のエピソードはごっそり削りました。物語展開の補佐役は一人いれば充分なので、そのへんはフォローズ・チョークに一任してもらったってのと、今回はあくまでジョシュアとダニエルのストーリーにフォーカスしたかったので、サバイバリストの話はオミット。まあ、あのエピソードはね…けっこうあちこちで持ち上げられてるので。いまさら俺が触れる必要もないかな、と。以前に書いたような理由もありますし。

 この後クレイブはビッグ・エンプティに向かうことになりますが、次に話を書くとすればOld World BluesではなくDead Moneyになると思います。OWBでの展開はブレンダが主人公であるNV小説の本編と大きく関わることになるので、そっちのほうで語るつもりです。
 最後の画像でクレイブの隣にいる女性は…フフ、誰でしょうね。オリキャラじゃないですよ?やり込んだプレイヤーであれば、装備から素性が推察できるかと思われます。つまり、時系列的には…ということです。
 本編のほうもそろそろ再開しないとな。OS再インストール前に使ってたデータっていうのが、けっこうデタラメに改造したModを使用してて、そのModのバックアップを取ってないので、たぶん現環境だと読めない気がするんですよね。もっともプリムまでしか進んでないので、やり直してもそんなに時間は取られないはずですが。














2016/04/24 (Sun)18:00





 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 護衛の依頼を受けていたキャラバンが壊滅し、ザイオンの部族闘争に巻き込まれた俺は戦前の物資回収と撤退路の脅威排除を終え、ソローズの集落に戻ろうとしていた。
 いかなる形であれ、戦いはいずれ終わる。そう、どんな結末であろうと…







 ナローズの近くまで来たあたりから、誰かが言い争う声が聞こえてきていた。
 ザイオンから撤退するか、あるいはホワイトレッグスと徹底抗戦の構えを取るか。いずれにせよ、決断のときは迫っている。意見の対立が起きてもおかしくはないタイミングだ。
 味方へは歓迎を、敵には警告を意味するナローズの看板を通り過ぎたあたりで、顔色を変えたフォローズ・チョークが駆け寄ってきた。
「丁度良いタイミングで戻ってくれました、もう僕にはどうすればいいのか…」
「何があったんだ?」
「ジョシュアとダニエルが喧嘩してるんです。今後どうするか、逃げるか、戦うか。あの二人があんなに感情をぶつけ合うところは初めて見ます…みんな動揺していますよ」
「わかった。行こう」



 



 これまでザイオンの部族を教育し、導いてきた両雄の議論はたったいま、熾烈を極めていた。
「君は間違っている、ジョシュア。いかなる理由があろうと戦ってはならない!」
「今なら勝てる!あの傭兵がホワイトレッグスの斥候を片付けた今なら!連中が浮き足立ってる今しかタイミングがない、勝てるんだ、ザイオンを見捨てることなく!」
「勝てる、勝てないの問題じゃない!ザイオンの部族を…デッドホースを、ソローズを、血に染めてはいけない!殺しこそもっとも最良の問題解決法であるなどと、そんなことを彼らに教えてはならないんだ、わからないのか!?」
「たとえどんな屈辱を受けてもか、ダニエル!?私にとって彼らは家族なんだ!家族を虫けらのように殺されて、それでもなお黙ってこの地を捨て去れというのか!?」
「理由があれば殺していいというのなら…それは、彼らと変わらない!君が忌み嫌っているホワイトレッグスたちと!勇気を持ってくれジョシュア、『それでも戦わないことを選ぶ勇気』もあるということを、ソローズのため、君にこそ証明してほしいんだ!」
「そんな勇気など必要ない、ダニエル、君には帰れる場所があるから、そんなことが言えるんだ!」
「なんだと…っ!?」
「君には帰れる場所がある。帰れる家族がある。私にはない、ダニエル、ザイオンこそが私の故郷だ!ザイオンの民こそ私の家族なんだ!それを失うわけにはいかない!」
 なるほど…俺は遠目で二人の言い争いを観察する。
 あれは意見交換なんてものじゃない。今にも掴み合い、殴り合いに発展しかねない。激昂し、怒りに肩を震わせながら怒鳴りあう光景は、たしかに部族の皆を怯えさせるだろう。
 しかし家族とはな…包帯の下に隠れた顔を憤怒に歪めるジョシュアを見つめながら、彼がどうしてホワイトレッグスの殲滅に固執するのか、その理由がわかったような気がした。そして、ダニエルとの立場(スタンス)の違いも。
 おそらくダニエルにとって、ザイオンの部族は家族と呼べるほどの存在ではあるまい。そうした態度は、彼と話をしていて、言葉の端々から感じ取ることができた。彼にとってソローズはあくまで教育すべき迷える子羊に過ぎず、宣教師として以上の関わりを持っていないのだろう。
 だが、ジョシュアはそうではない。俺は、自分がやるべきことがわかったような気がした。
 やがて俺の帰還に気がついた二人は、恥ずかしいところを見られてしまったというかのような気まずい態度を見せたあと、尋ねてきた。
「さっきまでの…私たちの話で、だいたいの問題は飲み込めていると思う。君はどう思う?いま、我々が成すべきことについて」
 おそらく…俺の一言が、均衡を崩す。偵察するだけで良かったはずの俺が、ホワイトレッグスに手を出してしまったように。もし俺が大人しく任務を完了していれば、ジョシュアもこれほど強く前には出なかっただろう。
 俺は大きくため息をつき、静かに、一言。はっきりと、言った。
「To arms. (武器を取れ)」
 ジョシュアの目が輝き、一方でダニエルは、信じられない、という表情を見せる。
 親友に背を向けてジョシュアは俺に近づくと、肩を叩き、そして言った。
「その言葉を望んでいた。『たとえ暗闇の中であろうと主は私を見つめ、夜も光が私を照らす。主にとって闇は闇たりえず、夜であろうとも昼と変わらぬ光を放ち、闇も光も変わるところがない』奴らが組織的に動けるようになるより早く、迅速に叩く必要がある。すでにデッドホースの戦士とソローズのハンターが準備を終えている、さあ、行こう!」






 ジョシュアが銃を抜き、俺とフォローズ・チョークもその後に続いた。
 その背中に向かって、ダニエルが叫ぶ。
「おい傭兵、もし戦争に加担する気なら、モハビへの帰路を記した地図は手に入らないものと思え!」
「なに…!?」
 しかしその言葉に俺が何かを言い返すよりも早く、ジョシュアが反応した。
「ダニエル、それは私が許さない!彼はすでに充分過ぎるほど我々に報いている、もう一度言おう。それは私が許さない」
「そうか、それがお前たちの選択か…血と戦いが、虐殺が望みなのか!」
「わかってくれダニエル、これしか方法がないのだ」
「…いや、そうじゃない。君は自分自身に嘘をついている、私が気づいてないとでも思っているのか?君はかつての、リージョンの司令官だった過去の冷酷な君に戻りつつある!もし屍を礎に王国を築くというのなら、まずは私を最初の一人にするがいい!」
 そう言って、ダニエルはジョシュアの前に立ち塞がる。
 その行動には俺も、フォローズ・チョークも驚いた。しかし誰よりも驚いているのは、他でもないジョシュアだった。
「馬鹿なことを言うな、ダニエル」
「ここを通りたければ、闘争でしか未来を切り拓けないというのなら、私を殺せ!私を殺し、その屍を踏み越えて行くがいい、ジョシュア!」
「それはできない。私はもう、昔の自分ではない」
「…本当だな?その言葉を…信じてもいいんだな?ジョシュア」
「神の名に誓って、宣教師として。敬虔な神の従徒として。誓おう、ダニエル」
 ジョシュアはダニエルの脇を通り過ぎ、ふたたび歩きはじめた。しかし、その背中に信念というよりも、幾ばくかの後ろめたさを感じたのは気のせいだろうか。
 戦いに赴く俺たちと、部族の戦士たちを見つめながら、ダニエルの悲痛な叫びが響いた。
「ジョシュアーーーーーッ!!」







「本当に、これで良かったのか?」
「他にどうすれば良いというのか。少なくとも、敵に背を向けてこの地を去るなど、有り得ない」






 デッドホースとソローズが結集して戦いに乗り出したことを知ったホワイトレッグスたちは慌てて反撃に乗り出したが、その動きはまばらで、統率が取れていない。
 おそらく各地に散らばっている戦闘員への通達が滞り、部隊を纏めることができないのだろう。
 俺が斥候隊を潰して回り、連絡を遮断した影響が大きいのだ。
 まずは俺とジョシュアが先行し、デッドホースとソローズの部隊が後方の安全確保をしつつ緩やかに前進するというのが今回の筋書きだった。
 それにしてもこの、ジョシュアという男…その戦闘力、並外れた、なんてものじゃない。
 おそらくは特注品だろうが、短銃身の.45口径で100ヤード以上離れたホワイトレッグスの頭を的確に撃ち抜き、格闘戦に持ち込まれてもあっという間に無力化するなど、その戦いぶりはまさしく悪魔的所業と言うほかない。
 リージョンを造り上げる以前から宣教師であったというが、いったい、どこでこんな戦闘技術を学んだというのか。
「フォローズ・チョークはよく教育されているようだな」
 いつぞやの驚かされた射撃を思い出しながら、俺も小銃でホワイトレッグスたちを排除していく。






 やがてホワイトレッグスたちの集落が存在するスリーメアリーズに近づいたとき、フォローズ・チョークが駆け寄ってきた。
「ここよりザイオン以北は完全に我々の制圧下にあります。まさか、これほど上手くいくなんて…数人が怪我をしましたが、死傷者はほぼ皆無です。安心して前進を続けてください」
「ダニエルはどうしてる?」
 俺の質問に、フォローズ・チョークはためらいがちな笑みを浮かべながら言った。
「積極的に前に出ていますよ。あれほど戦いを嫌っていたのが嘘のようです、それに、あんなに強かったなんて思いませんでした」
 その言葉を聞いて、ジョシュアが戒めるようにつぶやく。
「彼は自分の成すべきことをきちんと心得ている男だ。ひとたび戦いが避けられないとわかれば、義務を放棄して傍観しているなど有り得ない」
 フォローズ・チョークは応援に来たのではなく、あくまで伝令に寄越されただけなので、ふたたび後方の情報確認へ戻っていった。
 ここからは俺とジョシュアのたった二人の戦いとなるが、敵の本拠へ乗り込むにも関わらず、不思議と恐怖心や迷いはなかった。
 かつてリージョンの指揮官だったジョシュアの戦闘能力は伝説的かもしれないが、こちとらも東海岸のエンクレイブをぶっ潰した伝説のアイツだ。まあ、やってやろうじゃないか。










 視界に捉えた標的をあっという間に撃ち抜いていく俺とジョシュアの苛烈な戦いぶりは、未だ拠点防衛の準備が整っていなかったホワイトレッグスたちを恐怖のどん底に陥れた。
 切り立った崖がそびえる立地で、高所に配置されているかもしれない狙撃兵の存在を警戒しながら、俺はジョシュアに尋ねる。
「ここいらは戦前のゴミだらけだな。使えるというより、目に入ったものを片っ端から取ってきたような有様だ。まるでジャンクヤードだぜ」
「彼らはデッドホースやソローズと違い、戦前の文明が残された場所に畏怖を抱いていない。しかし、それを扱う知恵を持ち合わせているわけでもない。結果として、このような無残なゴミの山が出来上がっている。彼らにザイオンを渡せば、美しい自然がすべてこうした無遠慮な瓦礫のばら撒きによって汚されることになるだろう」
 静かな語調ではあったが、そう語るジョシュアの目は怒りに満ちていた。
 彼にとっては、ホワイトレッグスのすべてが許せないのだろう。家族を殺し、ゴミを撒き散らし、傲慢で、救いがない。
「主よ、あなたに逆らう者どもの欲望の成就を許すことなかれ。姦計を遂げさせず、誇ることを許したもうことなかれ」



 やがてスリーメアリーズに残るすべてのホワイトレッグスを排除した俺たちは、敵の首魁であるソルト・アポン・ウーンズを追い詰めた。






「命だけは助けてくれ、頼む、誰か…こいつらを何とかしてくれ!」
 地べたに這いつくばり、必死に懇願する男を、俺とジョシュアは冷めた目で見下ろしながら銃口を向ける。
 奴はすでに戦闘の意思を完全に喪失していた。
 しかし、覇気が失せたからなんだというのか。そんなものは免罪符にはならない。
 もっとつまらない理由で死ぬ人間もいる。もっとつまらない理由で人を殺したことがある。なぜソルト・アポン・ウーンズだけが例外でいられると?俺は、いままで自分が殺してきた者たちを裏切るつもりはなかった。
 なぜあいつだけは助けたのか、などと、俺に殺された者たちに言わせるつもりはなかった。
 いずれ地獄に落ちるまで、俺の進む道は血で穢れ続ける。その運命を変えることはできない。
「許しを請うなら」
「貴様が殺した者たちにあの世で詫びてくるがいい!」

 そして、二発の銃声が響いた。







「これでもう、ザイオンを脅かす者は存在しなくなった。夜明けが近い、ザイオンの…夜明けだ…」
 ソルト・アポン・ウーンズを処刑し、ホワイトレッグスを抹殺したジョシュアは、穏やかな声で言った。
 スリーメアリーズを出てソローズのキャンプに戻ろうとしていた俺たちは、その後、しばらく無言のまま歩き続ける。
 一見、穏やかで丁寧な物腰に見えるが…俺はジョシュアの様子を観察しながら、ホワイトレッグス絶滅を完遂したいま、彼がいままでとは「変わってしまった」ことに気がついていた。
 具体的にどうとは説明できない、あくまでも直感で感じただけだが、彼の目は、物事を終え安定を取り戻した者の目には見えない。むしろ、次の戦いに備えるような…油断のない、鋭い眼光に、俺は嫌な予感を覚える。
 そのとき、一発の銃声が谷に響き渡った。
「あれは…」
「.45口径だ。私が作った銃弾の音だ。おそらく、ホワイトレッグスの残党か何かが我々の仲間に始末されたのだろう」
「口径だけじゃなくて、弾の種類も音でわかるのか?」
「ああ。同じ口径の弾でも、使用する火器や薬量の配分によって音は変わる。私は、自分の作った弾の音を聞き違えることはない」
 口径を除外したのはホワイトレッグスも.45口径の銃を使うことがあるからだが、それにしても、ジョシュアの稀有な能力には驚かされる。
 そんなやりとりをしていたとき、遠方からフォローズ・チョークが血相を変えて走ってきた。
 ただならぬ形相に俺とジョシュアは顔を見合わせ、息を切らせて膝に手をつくフォローズ・チョークに質問した。
「いったい、なにがあった?」
「大変です!ダニエルが…ダニエルが……!!」
「なんだと…?」
 彼の身に、異常事があった。
 その報せはジョシュアの心を動揺させた。しかも、その内容は最悪の事態を伝えるものだった。






「おおお、ダニエル。なぜだ…!」
 急いでナローズに戻った俺たちは、いまだ銃口から硝煙のたちのぼる短機関銃を抱え、無残に横たわるダニエルの亡骸を発見した。
 どう見ても他殺ではない。彼は自ら命を絶ったのだ。なぜ死を選んだのか、そして、なぜこのタイミングなのか?誰にもわからなかった。
 震える声で答えの返らぬ問いを続けるジョシュアに、フォローズ・チョークが一枚の紙片を差し出す。
「彼が死ぬ直前、これをジョシュアに渡してくれと言われました。僕は内容を読んでいません、いったいなんだろうと注意を逸らしたとき、ダニエルは…なぜ、こんなことに?」
「それを…渡してくれ」
 フォローズ・チョークから紙片を受け取り、ジョシュアは丁寧に折り畳まれたそれをゆっくりと開く。
 それはダニエルがジョシュアに宛てた手紙だった。
『自ら命を断つという罪深い行為によって、私は神に背き、永遠に地獄の炎で焼かれることになるだろう。だが、それでもなお私は君に伝えなければならなかった。ジョシュア、言葉で説得できないことはわかっていた。だから、命を賭して君に頼みたいことがある』
『かつてリージョンの指揮官だった頃の、残虐な姿に戻らないでくれ。デッドホースとソローズを、血で汚れた部族にしないでくれ。ザイオンを、争いと屍が溢れる土地にしないでくれ。宣教師としてではなく、友人として。君に頼む、ジョシュア』
「なんということだ、ダニエル…なぜ、なぜだ!君が死ぬことはなかった…!」
 手紙を読み終え、掠れた声でジョシュアがつぶやく。
 だが、俺には気になることがあった。失礼を承知でジョシュアに尋ねる。
「この手紙は、ホワイトレッグスとの戦いが終わったあとに書いたのかな?」
「違う、そうではない。インクの乾き具合を見ればわかる、彼は何日も前にこの手紙を書いたのだ。彼には、こうなることがわかっていたのだ!」
 ジョシュアの言葉の最後のほうは、もはや叫び声になっていた。
 俺にも信じられなかったが、ダニエルは、ジョシュアが潜在的に抱えていた精神的な危うさを見抜いていたのだ。あれほどまでに戦いを避けようとしていたのは、たんに平和主義だとか、そういう単純な問題ではなかったのだ。
 手紙を握り締め、ジョシュアが膝をつき、地面を拳で叩く。
 その姿に、俺も、フォローズ・チョークも驚きを隠せなかった。
 あのジョシュア・グラハムが。
 涙を…流していた。






「…ダニエル……すまない…… ……!!」
 彼の悲痛な叫びが、ザイオンの夜の闇に消えた。





< Wait For Next Deal... >








 どうも、グレアムです。Honest Hearts、クライマックスです。次回エンディングです。
 当初の予定ではゲームと同様の展開で最後まで行く予定でしたが、途中で別の展開を思いついたので変更しました。
 果たしてダニエルが死んだ程度でジョシュアがこれほどまでに動揺するのか?という点に関しては次回補足を入れます。というか、ゲームプレイ中はこの二人の関係がどういったものなのか、いまいちよくわからないんですよね。
 ただホワイトレッグス殲滅エンドだとジョシュアが過去の残虐司令官に逆戻りし、ザイオンの部族が第二のリージョン化した際、ダニエルはジョシュアの主義とは真っ向から反対する行動を取り続ける点が少し引っかかるんですよ。
 本来なら、ジョシュアは真っ先にダニエルを処刑してもおかしくないはずなんですよ。実影響力はなくとも士気や規律を乱しかねない行動をジョシュアは見逃さないはずで、彼の流儀からするとたとえ友人であろうとも、いや、友人だからこそ、部族を統率する恐怖の象徴であり続けるために見せしめに処刑しなければならないはずなんです。
 でもそれをせず、ことダニエルに関しては当人がやりたいようにやらせていた、放置していた、というのは無関心というより、冷酷無情な指揮官としての流儀を曲げてでも彼を殺したくなかった、それだけジョシュアにとってダニエルは大切な存在だったことを示唆してるような気がするんです。
 かつて協力してホワイトレッグスを追い出した盟友にも関わらず、ソローズとデッドホースの両部族はそのうち諍いを起こすようになりますが、そんな彼らもダニエルに対しては危害を加えた描写がないんですよね。仲間内で暴力沙汰起こすような連中が、口うるさい説教師に手出しをしないのって、逆におかしいと思いませんか。
 これ、実際はジョシュアが「ダニエルには手を出すな」って釘を刺してたんじゃないかと俺は思ってます。さすがにジョシュアの言うことに逆らうような命知らずはいないと思うので。

 まあ上のは全部推測で、実際はジョシュアがダニエルを取るに足らないこわっぱ扱いで放置してたとか、文中で明示されてないだけで実際はソローズもデッドホースもダニエルをボコボコにしてた可能性はあるとか、まあ考えたらキリないですけど。
 そもそもザイオン撤退エンドだとジョシュアの顛末が語られないってのが手落ちすぎるし、なんかもう色々と説明が足りない気がしますこのDLC。












2016/04/22 (Fri)11:38





 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 ザイオンでの部族闘争に巻き込まれた俺はホワイトレッグス族の迫害を受けるデッドホース族とソローズ族を支援するため、各地に残された戦前の物資を請け負うことになった。
 デッドホース族の若き斥候フォローズ・チョークとともにサバイバルキットや医療品を回収した俺はソローズ族の集落ナローズへと到着。ウェイキング・クラウドに案内され、俺は宣教師ダニエルのもとへ向かった…










 短機関銃を背に担ぎ、宣教師というよりはカウボーイといったほうがしっくりくる服装で焚き火にあたるダニエルは俺の姿を確認すると、開口一番に謝罪の言葉を口にした。
「面倒に巻き込んでしまったようで、申し訳ない。失礼でなければ、亡くなった君の友人たちのために冥福を祈らせて頂きたいのだが」
「キャラバンの連中とは仕事上の短い付き合いだ。気にしないでくれ」
 そう言いながら彼の所作を眺め、俺はジョシュア・グラハムの盟友たる宣教師の第一印象をなんとなく掴みかねていた。
 かつてダニエルはザイオン周辺の地図の作成をしていたことがあり、モハビへの知られざるルートを熟知しているとジョシュアからは聞かされている。
 もし俺がダニエルを脅すか、地図を取り上げるかしてさっさとザイオンから逃げる気でいたらどうするのか…そう問うたときの、ジョシュアの返答は非常に印象に残るものだった。
「宣教師だから戦闘は不得手だ、などと思っているのなら、そんな考えは捨てることだ。私をもう一人敵に回そうなどという気がないのであれば…そして、次は間違いなく私自身が相手をすることになる」
 つまりジョシュアは、このダニエルが自分と同等の戦闘能力があると見做している…あるいは、そうと知っている。
 またデッドホース族が俺の身に起きたことをいち早く知ったのと同様に、もし俺がソローズ族に牙を剥くようなことがあれば、俺が背中を向けてザイオンを去るよりも早く、俺に追いついて内臓を引きずり出すという宣告でもある。
 面倒に巻き込まれた…まったくだよ、と俺はひとりごちる。
 もっとも現状でザイオンを脱出する近道は彼らに協力することであり、そのことに今さら疑問を差し挟む余地はない。
 俺から戦前の物資を受け取ったダニエルはその内訳を確認しながら、いたく感動したような口ぶりで言った。
「これぞ神より賜りし御慈悲というわけだな。誇張ではなく、我々は日々の戦いに希望を失いかけていたところだった。感謝している」
「それじゃあ、帰っていいかな?」
「帰りを急ぐ理由があるなら聞いておきたい」
 こいつめ…俺は内心で舌打ちする。
 まだ帰す気はないということか。
「ワケもなくザイオンをブラブラする気はないってだけだ。仕事があるなら引き受けるが、追加報酬の交渉の余地はあるのかな?」
「申し訳ないが、我々の窮状を鑑みて君に余分の報酬を支払う余裕はないのだ」
「言っておくが俺は金で雇われる傭兵だ。善意で人助けしてるなんて思われたら困るぞ」
「それでは我々も、善意で君を助けるわけにはいかなくなる。たしかジョシュアが公正な取引だと事前に了解を取ったと聞いているが?」
 こちらに譲歩する気はないらしいダニエルの口調に、俺は軽い頭痛を覚える。
 どうやらこいつはジョシュアとはまた別の意味で油断ならない相手のようだ。彼らの行動理念が善意だろうが、信念だろうが、エゴだろうが、そんなのは俺にとってどうでもいいんだが…
「わかったよ。最後まで付き合ってやる…せめて、事態がどう進展するのかだけは教えてもらいたいんだが」
「ソローズにとって、ザイオンはあまりにも危険な場所になってしまった。私は彼らを連れて別の土地へ脱出したいと考えている。すでに手順も整っている。だが、実行に移すには障害が多すぎるのだ」
「それで?」
「君にはホワイトレッグスのキャンプの偵察、彼らが仕掛けた罠の解体、そして撤退コース上に存在するヤオ・グアイの巣の排除を頼みたい。ウェイキング・クラウドがガイドとして同行する」
「ずいぶんと盛ってきたな。だがまあ、いいだろう。ただしガイドは必要ない」
「なに?」
「ここに来るまでの間でザイオンの地理はだいたい把握した。それに、女連れでは歩けない」
「ウェイキング・クラウドはソローズの優れたハンターだ。女だと侮っているのなら、認識を改めたほうがいい。君はソローズを甘く見ているようだ」
「あのな…俺がフォローズ・チョークを連れ歩いたのは、今回の仕事があくまで物資の回収だったからだ。だから極力戦闘も避けてきた。だが今度のはそうはいかないんだろ?俺は気心の知れないやつを鉄火場に連れ歩く趣味はない」
「仕事を頼んだ手前、こう言うのも気が引けるが…一人で行くのは自殺行為だぞ」
「モチはモチ屋、だよ。仕事は引き受けると言ってるんだぜ?もし俺のやり方に不満があるなら、それなら俺はもうこのゲームから降りる。好きにしてくれ」
「…ハァ。わかった。君を信頼して任せよう。ただ、無茶だけはしないでくれ」
「無理はしない。確認を怠らない。準備は徹底的に。傭兵三か条だ」
 それだけ言うと、俺はダニエルと別れた。
 どうも、ああいう手合いは苦手だ…
 なにも俺がウェイキング・クラウドの同行を断ったのは、女だからとか、文化的に退行した部族民だから、なんていう理由じゃない。
 戦いには常に死の危険がつき纏う。もし彼女の力が必要な場合は、そのときは、躊躇なく助力を請うだろう。だが、今はまだそのときではない。
 もしダニエルが言うようにソローズが窮地に立たされているのであれば、必要のないときに貴重な戦力を危険に晒すことこそ無駄なリスクに他ならない。焦らずとも、おそらくザイオン撤退時には大いに戦ってもらうことになるだろう。







 ナローズ内の幾つかのキャンプを巡るうち、俺は見覚えのある顔を発見した。






「ジョシュア…先に来ていたのか」
「バビロンの流れのほとりに座り、ザイオンを思い我らは涙した。竪琴を柳の木々に掛け…我らを捕らえし者どもが、歌ってみせよと命ぜるゆえに。我らを苦しめ、嘲笑うために、ザイオンの歌を唱えよと命ぜるゆえに。どうして歌うことができようか、主の歌を異教の地で!」
「我らが受けし苦痛を仕返す者、かの幼子を捕らえ岩に叩きつける者は是幸いなり…か。ソローズがザイオンから撤退するのが気に喰わないのか?」
 聖書の詩篇を引用するジョシュアに、俺は話を合わせる。
 親父が敬虔なクリスチャンだったせいか聖書の内容はだいたい覚えてるが、俺自身はさほど信心深いほうではない。無神論者というほどでもなかったが。
 しかし、ザイオンとはな…神殿の丘と同名とは、なんて偶然だ。
 今のジョシュアにとって、このザイオンはまさしく約束の地エルサレムそのものだろう。デッドホースやソローズにとっては、ジョシュアこそイスラエルを再建するメシアに見えるに違いない。
「ダニエルはソローズをザイオンから逃がすことで平和的解決になると信じているようだが」
「デッドホースとソローズにとって最良の未来を築くという一点において私とダニエルの意見は一致している。しかし、その方法について必ずしも双方の同意があるわけではない。ソローズも、退くべきか戦うべきかで決心が固まっていない状態だ」
「あんたはホワイトレッグスを滅ぼしたいんだな」
「ザイオンにおわす主を誉め歌い、諸国の民に御業を告げよ、主は流されし血に報いるものなり。貧しき者の声をお見捨てになることはない…彼らが平和を望むなら、私も銃を手に取りはしない。だが、彼らは一方的に我々の仲間を虐殺した。シーザーのために。私への報復のために。喜んでその尖兵となったのだ。パンを喰らうが如く、民草を喰らいし者ども。神に逆らう者、神を忘れし者、異邦の民は尽く冥府へと退けられる。彼らを生かしておく理由がない」
 ジョシュアは聖書をパタリと閉じ、立ち上がって俺を正面に見据えた。
 神は従う人々の群れの中にいる…ふと、そんな言葉が脳裏をよぎる。ジョシュア自身に自覚があるかは知らないが、彼は神を求める自分の声に、自分自身で応えようとしているのだ。
 無言のまま見つめ返す俺に、ジョシュアは静かに尋ねた。
「過ぎた行いだと思うか?」
「人間ごときが神の御心を推し量ろうなんて考え自体が分を越えてるんだ。だから主の御心に報いるべく、俺たちは自分の信仰を信じて生きるしかない」
「君とは気が合いそうだ」
 そう言って、ジョシュアは立ち去ろうとした。
 だが俺のほうはまだ話が終わっていなかった。もっとも、こっちの用事はもっと軽い話し合いだったが。
「ちょっと待ってくれ。そういえば、フォローズ・チョークのことで話があるんだが」
「彼がどうかしたか?」
「彼はザイオンを出て外の世界に行きたがっている。いずれ彼自身から話があると思うが、その前にあんたの意見を聞いておきたくてね」
 俺の言葉を聞いて、ジョシュアは「ふむ」と顎に手をあてた。
「いずれ彼がその考えに至るだろうということはわかっていた。私自身は外の世界に良い思い出がない、だが私の外の世界での経験など限定的なものでしかない。人一人の人生を束縛するほどのものではない」
「というと…」
「そういう話を言って聞かせるなら、君のほうが適任だろう。彼がどう決断を下そうと、私はそれを咎めるつもりはない」
 おそらく本心とは真逆のことを言ってから、ジョシュアは俺に背を向けた。
 そう、おそらくは…彼は、ザイオンに残って欲しいに違いない。というより、外の世界に触れてほしくないはずだ。ジョシュアにとって文明世界は悪徳の都であり、このザイオンこそが理想郷なのだから。
 しかし自分こそが唯一絶対の真理であると考えるほどジョシュアは傲慢ではなかった。私見はあくまで私見でしかない。
 ただ…ジョシュアの人格には危うさがある。具体的にどう、と指摘することはできないが。もし彼が実際に行動に移ったとき、手綱を握れる者がいなければ…何が起きるのか、予測がつかない。







 自分はもう役目を終えたから一族の住処に戻る、と言うフォローズ・チョークを引き止め、俺はせめて今晩くらいナローズで休んでいけと説得した。それに、積もる話もある。






 焚き火のそばでゲッコーケバブにかじりつくフォローズ・チョークの隣で銃器を整備しながら、俺は口を開いた。
「ジョシュアと話をしたよ。彼自身は、お前がどう決断をしようとそれを受け入れるそうだ」
「本当ですか!?」
 意外だったのか、喜びというよりは驚きに満ちた顔でフォローズ・チョークが大声を出す。
 しばらく色々な考えが浮かんでは消えたのだろう、めまぐるしく表情を変え、やがて俺に尋ねた。
「あなたは…どう思いますか?」
「さてね。ただ一つ言えることは、お前はどっちを選んでも後悔するだろうってことさ」
「え……」
「外の世界に出たら出たで、過酷な環境に音をあげるか、悪いヤツに騙されるか、あるいはたんにホームシックにかかるか、いずれにせよ故郷に残っていれば良かったと思うだろう。故郷に残れば残ったで、外の世界への憧れをグズグズと抱いたまま一生を過ごすことになる。俺が何を言いたいか、わかるか?」
「…いいえ」
「要するに、正しい選択なんか存在しないってことさ。二者択一ってのは、正しい選択と、間違った選択が存在するって意味じゃない。どっちを選んだって後悔はするだろう。だから、どっちが正しいか、なんて考えで人生を選ぶんじゃない」
「それじゃあ、どっちを選べばいいんです」
「自分が生きたいと思う人生を、さ。誰かにとやかく言われようと、後ろ指さされようと、そんなのは他人が勝手にやってることだ。どっちがより正しいか、他人に認められるか、なんて、そんなもの、それこそ他人はこれっぽっちも気にしちゃいないんだから。実際のところ」
 話をしながら、俺は拳銃の遊底を引いて薬室から銃身を覗き込み、銃口内の汚れを点検した。遊底をガチャガチャと動かし、フレームとのガタつきと、スプリングのヘタリ具合を確認する。
 煙草の灰を落とし、弾倉のバネを押し込みながら、俺は話を続けた。
「個人的な意見を言えば…お前は外の世界でも充分にやっていけるよ。斥候としての身のこなしはもちろん、銃の腕も立つし、見た目も悪くないしな。外の世界が悪徳に満ちてると言ったって、ハナからそういう世界で生まれついてヒイヒイ喘ぎながら生きてる人間だってゴマンといるんだ。銃が撃てないやつ、力の弱いやつ、読み書きができないやつなんか珍しくもない。文明から途絶された部族の出身だなんて、アドバンテージになりゃしないよ。そういう意味じゃ、お前は自分に自信を持っていい」
 べつに外の世界に出るよう焚きつけたいわけじゃないが、どうせ未知の舞台に立つなら、ビクビク怯えながら彷徨うより、胸を張って堂々と歩いてほしい。
 しばらく互いに無言のまま、火がはぜる「パチ、パチ」という音だけが闇のなかで響く。
 やがて、じっと俯いていたフォローズ・チョークが顔を上げないまま、ぽつりとつぶやいた。
「…ありがとうございます……!」
 その声は震えていた。
 たぶん、一族の中で過ごしていた間、俺がさっき言ったように誉められたことなどなかったのだろう。同行していたときから彼がときおり漏らしていた不満を聞いて、その程度のことはすぐに理解できた。
 もっとも俺は俺で、自分のしたことに若干の嫌悪を抱いていた。善意で他人のために何かをするなんて、ろくなもんじゃないってことはわかっているはずなんだが…
 彼が行動するならホワイトレッグスとの対決に決着がついてからになるはずだが、最終的に行くか退くか、その決断はもう彼自身の問題だ。
 いつになく自分らしくない行動を取ったことで、俺は気恥ずかしさを誤魔化すように、新しい煙草に火をつけた。










 翌朝になってから俺は一人で行動を開始した。
 まずは東部のパインクリークに巣食うヤオ・グアイの退治だ。事前にダニエルから巣穴を爆破するための爆薬一式を預かっているので、ヤオ・グアイにケツを齧られないよう背中に注意しながらヤツらの住む洞窟に潜入し、爆薬を設置する必要がある。






 洞窟の支点となる三箇所にプラスチック爆弾を仕掛け、遠隔装置で爆破!
「ザイオンブレイク工業!」
 ドガッ!!
 爆発と同時に洞窟の入り口から炎が噴き出し、近くにあった木が衝撃波で薙ぎ倒される。
 あっという間に岩盤が崩落を起こし、洞窟は完全に塞がれてしまった。
「こんだけ派手にやりゃあ中にいるクマさんたちも無事では済むまいよ。お次はホワイトレッグスの対処か…厄介だな」
 派手な爆発を起こしたので、そのうちクリッターやホワイトレッグスの斥候が様子を見に来るはずだ。俺は担いでいた銃を両手に構え、素早くその場を離れた。










 その後、俺はソローズ撤退行動時の退路となるオールドロックビル・ブリッジ周辺にトラップを仕掛けているホワイトレッグスの工作員を排除。橋に仕掛けられた罠の解除にかかる。
「罠っていうから爆薬でも仕掛けてんのかと思ったら、トラバサミかい…まあ、危険には違いないけどさ」
 セミオート式のショットガンで両脚を砕かれ絶命したホワイトレッグス工作員の死体を視界の端に捉えながら、俺はワシントンでも極めてメジャーだった単純な構造のトラップを無力化していく。

 仕上げはザイオン各地に点在するホワイトレッグス斥候隊のキャンプの襲撃と、彼らが崇拝するトーテムの破壊だ。もとは偵察だけの予定だったが、キャンプの位置がそれぞれ離れているのと、斥候隊一つあたりの規模が小さかったのもあって、急遽予定変更。殲滅することに決めた。
 俺は先に壊滅させたホワイトレッグス工作員の持ち物である25mm口径のセミオート式グレネードランチャーを抱え、キャンプを見下ろせる丘の上へ登る。
 装弾を確認し、照準器を覗きこむと、俺は立て続けに榴弾を発砲した。






 ドン、ドガッ、ドガガッッ!!
 爆発の連続で不意を突かれたホワイトレッグスの斥候たちはバラバラに吹っ飛び、粉微塵になった肉の破片が周囲一帯に降り注ぐ。
「初手でいきなり爆破祭り敢行してくれた礼だぜ」
 護衛対象だったキャラバン隊があっという間に壊滅したときの光景を思い浮かべながら、俺は相手に聞こえるはずのない憎まれ口を叩いた。






 丘から降りた俺は焼夷手榴弾を使ってキャンプを破壊し、ホワイトレッグスの象徴である戦いのトーテムを焼き払う。
「この土地柄じゃ延焼はせんだろ」
 山火事になったら洒落にならんな、と思いながら、俺はナローズへと向かう道を急いだ。
 ひとまずザイオン各地に点在するホワイトレッグス斥候隊のキャンプは始末したが、斥候隊からの連絡が途絶えたことが知れればすぐに応援が送られてくるはずだ。
 それまでの間に行動を起こせれば…戦うにしろ、逃げるにしろ。
 まずはその決断をして貰えなければ話にならない。さすがに部族の未来を決める意思決定は部外者の俺が口出しする範疇ではない。
 いずれにせよ、戦いの終わりは近づいている。さて、どんな結末を迎えるやら…





< Wait For Next Deal... >








 どうも、グレアムです。Fallout: New Vegas、Honest Hearts三話目です。
 フォローズ・チョークと違ってウェイキング・クラウドさんの出番がめっちゃ少ないですが、あんまり彼女はうまく活用できる気がしなかったのでナローズでお留守番です。いちおう亡くなった旦那さんの真実を伝えるかどうかでダニエルと意見交換するシーケンスなんかは考えてあったんですが。あとウェクラさん、連れ回してるとすぐ死ぬし。
 洞窟の父もなー、どうしようかな…今回の時点ではマップホロテープ捜索の話自体を出してないんですが、そもそもなんで洞窟にそんなモノが残されてるか(なぜそれを知ってるのか)って説明がダニエルから一切なかったので(ウェクラさんが知ってるのか?)…
 それにクレイブというキャラ自身、サバイバリストのエピソードに感化されてどうこうっていうヤツではないので。彼はワシントンでの経験以後、他人に感情移入する能力が欠如してしまった、ある種の欠陥人間(まるでレプリカントだな。フォークト・カンプフ・テストで引っかかるぞ)なんですよ。今回フォローズ・チョークに情を示したのが例外中の例外というか。

 余談ですが本文中の聖書の引用である詩篇に登場するザイオンという名前、一般的にはシオン(シオニズムの由来です)と訳されるのが通例です。今回はゲーム中の訳文と統一すべくザイオンと表記しました。まあ綴りはZionで、英語発音はザイオンだったりするんですけども。






 おまけ、ゲーム未登場NPCである過去シーザーとジョシュアさんを呼び出してみました。おそらくはオープニング・スライドの写真撮影用に作成されたキャラで、戦闘になると無抵抗のまま逃げ惑う、ちょっと見たくない光景が繰り広げられます。
 ちなみに上の画像でとっている、オープニング・スライドにて垣間見れるイオナ姉様の軍神のような神々しいシーザーのポーズは本DLCにて新規追加された専用のIdle Animationだったりします。EditorIDはNVDLC02CeasarPoint。改めて用意しなくても、なんか他に代用できるポーズはあったような気がするが…






 若き日のジョシュア、といってもバーンドしたのがたかだか四年前なので、この時点で既にそんな若くないけど…激シブいオジサマです。かっこいいよなー。こんなのがナタで武装したローマコスプレ軍団に混じって拳銃無双してたってんだからもう違和感しかねぇ。











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