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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/03/28 (Thu)22:45
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2016/01/19 (Tue)21:16




キミら肉食じゃなかったっけ…



 どうも、グレアムです。今回は癒し系スライム牧場運営ゲーム「 Slime Rancher 」を紹介しますよ。Steamで今年の1月15日に発売されたばかりのアーリーアクセス・タイトル、Trailerを見た瞬間に「俺はこれを買わなければならない運命にある」と直感しました。




Slime Rancher - Reveal Trailer
まずは黙ってこいつを見てほしい



 なんたって不思議生物を眺めてニヤニヤするためだけにE.Y.Eを起動していた俺のこと、そもそも不思議生物との触れあいを目的に作られたゲームを買わない手があろうか。いや、ない!
 そんなわけで、早期アクセスゲームを定価で買うなどという、普段の俺なら「凶行」と呼ぶに相応しい行為に走ったというわけだ。実際にコンビニまで走ったしな。ウォレット追加のために。



現在の牧場の様子




その可愛さ、犯罪的



 そんなわけで、まずは基本的なゲームシステムを軽く紹介しよう。
 プレイヤーはスライム牧場の農夫となり、バキュームガンを手にスライムやアイテムを収集しながら、各種施設を購入/拡張して牧場を繁栄させるのが目的となる。
 スライムにはそれぞれ必要となるエサの種類(野菜/果物/肉)が分かれており、さらに一種類だけ好物が設定されている。エサを食べたスライムはPlort(通称:う○こ)を産み出し、それを売却して資金を増やしていくほか、スライムに異なる種族のPlortを食べさせることで二種類の特性を持った変種に変化させることができる。
 このLargoと呼ばれる変種はエサを食べると二種類のPlortを産み出すほか、元となる二種類のスライムの特性を両方受け継ぐため、飼育が楽になる…たとえばPhosphor Slime(果物を食べる/Cuberryが好物/日光に弱い)とTabby Slime(肉を食べる/Stony Henが好物)をかけあわせると、果物と肉を食べ、CuberryとStony Henが好物なPhosphor Tabby Largoが誕生する。
 一見いいところ尽くしのように思えるが、このLargo種はサイズが大きくスペースをとるうえ、ベースとなる二種類とは異なる種のPlortを食べさせると、あらゆるスライムを喰らい積極的にプレイヤーを襲う恐ろしい漆黒のスライムThe Terrに変化してしまう。
 このThe Terrはおそらく牧場の外で野生のスライムが増えすぎるリスク(高負荷)に対する予防措置として導入されたシステムだろうと思われるのだが、最初に愛らしいスライムを次々と喰らうこいつを見たとき、俺はVフォー・ヴェンデッタ(原作)で人形のコレクションを燃やされたプロセロ元所長のような悲鳴を上げてしまいましたよ。




無害なスライムを喰らうThe Terr




それを見たときの俺の反応




ショックのあまり放心状態に陥る俺



 だって、俺は…俺はなあ…
 最初は、牧場の狭いスペースにスライムを閉じ込めておくのすら可哀相で心苦しかったんだよッ!!そんな俺にこの仕打ちはあんまりだろッ!?
 もとより血生臭いゲームばかりプレイしていた自分の悪趣味さに嫌気が差して、ピースフルなスライム・ワールドにレッツゴーしたらこのサツバツ空間だよ。神は死んだ。

 まあ、もう慣れたけどな。さすがに不要なスライムを処分するための焼却施設は未だに作る気にならんが。Skyrimで山賊の首は刈れても、あるいはHatredで民間人を虐殺するのに躊躇がなくても、ぷりちーなスライムを犠牲にするのは我慢ならんのだ。人間なんてそれでいいんだよ。

 ええと…どこまで話したっけ。
 そうそう飼育の際はこのThe Terrを生み出さないよう注意しつつ、変種を作るなら計画的にってことで。
 牧場はスライムの飼育施設のほかにも畑や養鶏所、アイテム倉庫やプールなどの施設を建設可能で、施設の設置数は限られているので、計画的な運用が必要になります。

 Unity製ながらパフォーマンスは安定しており、操作のレスポンスも良く、スライムペディアなるヘルプも充実。さらに実績要素もあり(非Steam実績。そのうち対応するのかな?)、現状では規模は小さいながらも基礎はすでに完成しています。
 まだ未実装エリア(オブジェクトが配置されていない)も多く、ゲームとして長時間遊べるものを期待するのは時期尚早ですが、俺みたいに「とにかくスライムが可愛ければイインダ!」という人はマストバイです。とにかく挙動や仕草がかわいすぎます。Trailerを見てビビッときたら購入してくれ。後悔はしない。もし万が一後悔したら、それは貴様の心が汚れているのだッ!!
 なおスライムは空腹度によって機嫌が変化するようで、べつに不機嫌な状態によるデメリットはいまのところ確認していないのだが、しかめっ面されるよりは笑顔でいてくれるほうが嬉しいので、まめにエサは与えたほうがいいです。
 ひととおりエリア探索を終えた今となってはエサあげる瞬間が一番楽しいです。いちおう自動給餌機能もあるんですが、やっぱり自分の手であげたほうが愛着も沸きますし。
 以下、ギャラリーでシメ。このゲーム、オススメですよ。



一番のお気に入り、猫型のTabby Slime




巨大なスライムがあちこち徘徊する様子は圧巻




エサ不要、水さえあれば満足なPuddle Slime
Plortも高値で売れるが、確保がやや難しい




バキュームガンで吸うと驚くスライム。反応や仕草がいちいち可愛い




放置しておくとスライム達が好き勝手に動き回るタイトル画面
これを見るためだけに買う価値はあると断言する












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2016/01/07 (Thu)02:42





 ゲーム開始直後に交通事故に巻き込まれて手榴弾喰らってスタンガン喰らった挙句国粋主義者に拉致られて犯罪シンジケートとの戦いを強要された主人公を見たとき、俺は「あ、これ許せるクソゲーかもしれない」という淡い確信を抱いた。

シンジケートのボスは始末した。次は?
この直前のカーチェイスは作中でも屈指の難易度を誇る



 どうも、グレアムです。
 今回はHotline Miamiのフォロワーとして注目を浴びながら、その完成度の低さに大ブーイングを浴びたイロモノゲー「Bloodbath Kavkaz」をレビューしたいと思います。発売からだいぶ経ってるし詳細なレビュー待ちだったんですが、いつまで経ってもプレイレポの一つも見当たらないのでホリデーセールで購入してしまいました。
 はじめに書いておきますが、本ページではHotline Miamiと比べてどちらが面白いか優劣をつけるような真似はしません。そんなのは不毛だし無意味なので。マイアミと比べて面白いかどうか、などという視点からプレイするとまず間違いなく無価値なクソゲーでしかないので、上質なゲームを欲するおハイソなゲーマーはカフカスの存在は忘れてください。

 であらば本作はいったいどんなユーザーに向けた作品なのかというと、アングラ文化に多少なりと興味なり理解を持つ、わりとどうしようもないスカトロゲーマー向けです(俺は別にクソゲーが好きなわけではないので、こういう文章で「クソゲー愛好家」などという言葉は使いたくない)。
 エロ&グロ&ナンセンス。
 思えばマイアミもアングラなゲームではありましたが、そのストーリーテリングや演出などから見ても、どちらかというと「文化」あるいは「作品」たることを意識した上品さを持っていたように思います。一見悪趣味なグロゲーでしかないにも関わらず、あれだけの一般的評価を得られたのは、多くの人間が目を背けずにプレイを続けることができる絶妙な匙加減があったからなのでしょう。
 逆に言えば、アングラゲームとして見た場合にマイアミに足りないのは「突き抜けた下劣さ」でした。グロはともかくエロやナンセンスな要素はほぼ皆無というストイックさが芸術作品らしい風格を纏わせていたのです。

 そこへきて本作カフカスは文化や芸術とは無縁な馬鹿馬鹿しさに満ち溢れており、それは一切隠す気のない露悪趣味的な描写、ユーザーの体調を一切考慮しない過虐なまでのエフェクトの数々にも現れています。
 マイアミが「地下世界を外から見つめる人間が描いた作品」とするなら、カフカスは「地下世界の住人が描いた作品」と言えるでしょう。上品さというフィルターの存在しないカフカスはまさしく血とドラッグと精液が入り混じった悪徳の世界、そこに芸術性を内包するテーマが入り込む余地などないのです。



 若干小難しいことを書いたところで、ゲームシステムに軽く触れておきます。
 まず悪名高い言語設定に関してですが、現在これは起動後に選択できるようになっており、簡単に英語表示にできます。ゲームプレイ中の会話も翻訳されており、英語圏のレビュワーによると機械翻訳レベルらしいですが、言語体系的に英→日ほど頓珍漢な内容にはならないので、ストーリーの理解に支障はないと思われます。
 もっともゲームプレイ中にメニューからタイトル画面に戻るとインターフェースがすべてロシア語に戻るうえ、オプションから再度Englishを選択しても元に戻らないという不具合があります(会話ダイアログは英語のまま)。次回起動時には元に戻っています。
 操作はほぼマイアミを踏襲していますがなんとロックオンがないうえ、敵は全員銃火器で武装しているのでラフなプレイを強行しなければならないシーケンスが多いです。もっと敵はマイアミのような見敵必殺の凄腕スナイパーではなく反応が鈍いうえ、遠距離からあまり発砲してこない&射線を通す障害物であっても間にオブジェクトが挟まるとあまり撃ってこない点などを利用してうまく立ち回る必要があります。また主人公も体力自体は多くないものの自動回復するので、数初喰らう覚悟での突撃がそれなりに有効だったりします。
 中ボス戦や一部シーケンスの難易度はかなり高いですが、繰り返しリトライすればクリアできる程度だと思います。俺もクリアできたし大丈夫大丈夫。なおラスボスのプーチ…えーとMysterious Strangerは三連戦になりますが安地があるので一番ラクだと思います。
 残念ながらキーコンフィグは存在せず、左Ctrlでのスローモーションがかなりやりづらいです。というか、俺はまったく使いませんでした。せめてトグル式ならまだしも押しっぱなしはつらい…
 他はドアを破壊できる、インタラクト可能なオブジェクトにカーソルを合わせると名前が表示される等、一部マイアミより優れている部分もあります。




二大ヒロイン対決。あなたはどっちを助ける?

 カフカスの特徴であるロシアン・カルチャーのパロネタについでですが、残念ながら俺にはほとんどわかりませんでした(当たり前ですが)。強いて言えば作中で登場する回復アイテム(?)のシャウルマ(別名カフカス・ケバブ。以前コンコレ小説のウクライナ編を書いたときに調べたので名前を見たときちょっと驚いてしまった)と、作中で捕らわれのヒロイン…なのかなぁ…を演じるNyashuについて、くらいでしょうか。
 カフカスでヒロインを救出したあとはファミコン版ゴルゴ13ばりの選択肢が登場したあと、ファックシーンに突入します。よくSteamがこれ通したな。ファック中はエロフラッシュばりにスペースバーを連打するんですが、これが少しでも手を緩めるとあっという間にゲージが戻ってしまうため、Extremeのソリダスかってくらい過酷な連打を強いられます。
 マイアミでのジャケットとフッカーの関係は(少なくとも表面上は)プラトニックなものでしたが、カフカスは展開が早いです。まあ、フツーはヤるよな。このへんが両者の違いを如実に表しているのかもしれない。

あまりに露骨な誰得エロシーン(事後)。まぁ、その…俺得でした

 こんなもん誰が喜ぶんだって感じですが、スイマセン、あの、俺…けっこう喜びました。
 だって公開されてるアートのどこにもこんなJapanese Anime Styleなカワイコちゃんの姿は見当たらなかったし、アングラゲーったってSteam販売でこうもあからさまにズコバコ祭りするとは思ってなかったし、なにより全裸じゃなくてタイツのみってのが俺の嗜好に適合しすぎて、とんだサプライズだったぜこの…い、いいセンスしてやがる…!!

 ちなみにヒロインの出番はこれだけです。助けてヤり捨てて忘却の彼方です。さすがだ。
 さてこんな俺得金髪美女についてですが、おそらく元ネタはクリミア検察官のナタリア・ポクロンスカヤだと思われます。数年前にその美貌が話題になったおり日本で萌え系イラストが多数描かれ、それが本人に知られてちょっとした物議を醸したことがあるんですが、たぶんそのへんの関係でしょう。
 どうやら「あの有名人をゲームの中でファックしたい!」というような、キモチ悪いオタク的思考は国境を越えるようです。人間やることはどこも変わんねーなおい。まあインプやカコデーモンを萌え美少女化してファックしまくる宇宙海兵隊とかよりは健全だと思いますが。たぶん…
 なお俺は二次元にしか興味がないので、実在人物が元ネタだとわかった途端、ちょっと萎えました。



 そんなわけで、なんかものすごくどうでもいい部分に力を入れてしまいましたが、ハッキリ言って他人にオススメできる類のゲームでは間違ってもないので、Doomのキワモノ&ゲテモノ系Wadを好んでプレイするようなスカトロゲーマーでもなければスルーしたほうがいいでしょう。俺はけっこう好きというか、わりと楽しめましたが。
 ゲームシステム自体不親切な部分やハマりも多いので、多少の不具合は「ロシアゲーだから」で受け容れられる人のみ購入を考慮してください。
 ちなみにDLCのHovan Revengeについてですが、内容は物凄く短いうえ現状では英語字幕が存在せずダイアログがすべて透明のまま進行するので、買う必要はないです。買ったけどな俺は!!それも別につまらなくはなかったからSteamで親指上向きの評価押したけどな!!
 発売当初からアナウンスされていたマルチプレイやフリーローミングはまだ実装されてませんし、おそらく実装は期待しないほうがいいと思います。たぶん来ないんじゃねぇかなこれ…あ、レベルエディタは実装されてます。まだ触ってないですが。
 ついでにサントラも買いました。後悔はしてない。俺はけっこう好きだぜこれ。

 こんなクソゲーを持ち上げた手前いちおう補足で書いておくと、俺がレビューでこき下ろすのはゲームプレイ中に本気で不快を覚えたときだけです。それがBio ShockだったりFarcry3だったりMOH2010だったりArmA2だったりTerrariaだったりするんで、まあ、要するに俺が書くものなんてアテにはならないんですが。











2015/11/20 (Fri)20:43

ゲームプレイ中と静止画像ではけっこう印象が異なる絵作りだと思う







 Hatred、通称聖戦士シミュレータ、あるいはテロリスト・シミュレータ2015。
 自らを「Not Important」と称する故ピーター・スティール似のサイコパスを操り、(どちらかといえば悪い意味で)ファミコン時代を彷彿とさせるプリミティヴな殺人体験を提供する本作は、いまの時代ならインディーメーカーがピクセルベースで製作するような内容をUnreal Engine 4を用いてリッチに表現した、特異なコンセプトを持つバリューゲーです。
 一作目Postalの精神的後継作として話題になった本作はユーモアや、反社会的な内容に含まれた社会的なテーマといった、おハイソな文化人気取りのための言い訳の一切を切り捨て、「でも、心の中ではこういうことをやってみたいと思ってただろ?」という、マーク・ミラー的、露悪趣味的な問いかけで人間の持つ根源的な破壊欲求にのみフォーカスを置いています。
 コミックス版キックアスに多くのアメコミファンが難色を示したように、本作もまた、どちらかといえば大衆にアピールするような内容ではありません。それについて開発側は確信犯的で、「本作のコンセプトを理解してくれる人だけ楽しんでくれればいい」という、さながらインディーズ的な姿勢は、映像的にはそれほど過激な描写はないにも関わらずAOレーティング判定を受けたうえで、それを覆そうとしなかったことからも窺えます。GTAやManhuntシリーズですら越えようとしなかったAOレーティングのボーダーは伊達ではないのです。
 WEB上では「なんの正当性もなく幼稚な思考で社会不安をもたらす主人公に感情移入できない」という意見が多く、この「モニタの中でさえ理由を用意してもらえなければ人を殺すことすらできない」プレイヤーが多かったということは、むしろ海外のグロゲーを好んでプレイするようなゲーマーの中にあっても良識的な人間が多いことを証明するエピソードして好意的に語ることができる、というのはいささかこじつけが過ぎるかもしれませんが。

 余計な脚色の一切を廃し、混じりっ気なしのピュアな殺戮シミュレータとして生を受けた本作。もしこの記事を見て興味が沸いた人がいたら、記事中に一言も「面白い」と書かれていないことを留意したうえで購入を判断してください。
 このHatredというゲーム、俺はけっこう好きです。







「 I Don't Wanna Be Me 」
Peter Steel率いるGothic Metalバンド、Type O Negativeの名曲。

 「俺は今のままの自分でいたくない」と歌ったPeter Steelはのちのインタビューで、「世の中に不満があるやつは一度、その文句を鏡の中の自分に向かって言ってみろ」と語りました。
 かつてMonolithが放ったFPS「 Blood 」のイメージソング「 Love You To Death 」を歌った折、「俺はビデオゲームは好きじゃない」と語った彼は、2010年に心不全でこの世を去りました。享年48歳。合掌。














2015/10/07 (Wed)08:27

カール・フェアバーン、どこまでも渋い男よ…







 どうも、グレアムです。前回のSniper Elite V2に引き続き、続編のSniper Elite 3についてレビューをしたいと思います。本作のPC版に日本語データはないため、有志による日本語字幕Modを使用してのプレイです。有り難いことです。
 今回のストーリーは時系列が前作以前の話となり、1942年の北アフリカ戦線を舞台にドイツ軍の将校ヴァーレンが進める秘匿計画「疫病(Seushe)」の謎を追うというもの。前作よりも1ステージのマップが広くなり、システムも細部に調整が入った。

 先に総評を書くと、個人的には前作V2のほうが好きでした。というか一般的には3のほうが評価が高く、期待値を上げてプレイしたせいもあるんですが、3で変更された部分というのが個人的にかなり面白くない方向性に舵取りされてしまったため、プレイ中にかなり残念な気分を味わうことになりました。

 まずマップはそこそこ広いのですが、基本的に移動ルートは限定されており、おまけに敵がマップの隅々まで配置されているため裏取りができず、ゲームプレイの質がほとんど前作と大差ありません。相変わらず一発撃てば近隣の敵全員が血相変えて猛追してきますし、こちらが狙撃銃を使わなければ当たらない距離でもサブマシンガンや拳銃でポコスカ当ててくるマークスマンぶりも健在です。
 敵の追撃を避けるため移動を繰り返しながら狙撃する、というのが本作より新たに追加されたフィーチャーですが、これはあくまでSplinter Cell的な潜入型のステルス・アクションのギミックをそのままぶち込んだもので、所謂スナイパーが敵に居場所を察知される前に移動し敵を撹乱するのとは根本的に行動思想が違っているんですよね。
 全体的にステルス行動を推奨するデザインではあるんですが、本来ならば敵からの察知と追撃を避けるための狙撃という行動と、敵の背後を忍ぶ隠密接敵というステルス・アクションを組み合わせた結果、どういうわけか近距離でスコープつきライフルをぶっ放し、敵に見つかったら移動を繰り返すという珍妙なデザインになってしまったのです。
 交戦距離が短いだけなら前作と大差ないのですが、この「ステルス・アクション」と「広大なマップ」を組み合わせたうえで浮かび上がる最大の欠点が、「ひとたび銃撃戦を展開すると敵に囲まれやすくなった」ということ。そのため前方からしか敵が攻めてこなかった前作より(時として異様なまでの察知能力を発揮する敵AIによって)理不尽な死が多くなっています。それを回避するためには隠密状態を維持し続けなければならず、慎重なステルスプレイを余儀なくされるのです。
 上記のように、とにかく攻略が面倒で無闇に時間がかかる、疲れるゲームとして完成してしまったのが本作なんですよね。

 あいかわらず銃撃戦(互いに敵を視認して撃ち合いに発展する状況)を回避できず、入り組んだ場所で接近戦を余儀なくされるマップデザインは、どちらかというと狙撃よりもステルス・アクション向けに調整されており、ステルス偏重な設計思想がじつに本末転倒になってしまっている。100m以下の距離での交戦も珍しくなく、素直にアイアンサイトを使えと言いたくなる。
 まあ…何が言いたいのか、要点はなにかっていうと、本作の一番の問題点は、マップの広さの「質」ということ。本作のマップは、エリアをロードで区切っても問題ないような「小さなステージの集合体」に過ぎず、敵の裏をかく戦術的な立ち回りや、いわんや超長距離狙撃を実現するような、そういう新しい可能性を開拓するものでは断じてなかったということだ。だから、プレイしていてただ長く感じる、だるいゲームになってしまっている。
 そもそも狙撃とステルスの括り方を間違えてしまったことが、本作最大の不幸のような気もするが…Rebellionは今一度、ステルスよりも狙撃という概念そのものについて考え直す必要があるだろう。
(敵に囲まれる、というのと、こちらが裏取りできない、という記述に疑問を覚えたかもしれない。しかしこれは矛盾でもなんでもなく、「ステルスを意識するあまり道中の敵を倒し損ねていると、先に進んだ場所で敵に見つかった場合背後から刺される」というだけの話でしかなく、またプレイヤーが定点に到着することでポップする敵も多いため、しばしばクリアリングが無駄な作業に終わる。なまじマップが広いだけに、本作のステージ攻略ではこれらの懸念がステージクリアの直前の瞬間まで付きまとう)

 収集要素もパワーアップしているが相変わらず面白味のある代物ではなく、テキストもどこかで見たような薄い内容のものばかり。さらに特定の敵からしか入手できないにも関わらず、死体が一定数以上になると古いものから消失する仕様のため、数人倒した先から慎重に死体を探らなければならない武器パーツ回収などは悪意すら感じるほどだ。
 登場銃器はM1ガーランドにSMLEと前作より俺好みのが二種類も追加されているが、性能面で言えばやはりGew43一択であり、そもそもカスタマイズの概念があるにも関わらずなぜセミオートライフルのスコープ倍率が一番高いのか等、不満は残る。
 他に細かい不満(けっこう致命的なのもあるが…)を列挙すると、ゲームプレイに支障をきたすレベルで強調されるBloomとDepth of Field、冗長な紙芝居とカットシーン、やたらにスロー演出が長く間延びするようになったキルカメラ、なぜか今作から復活しインベントリ管理を無駄に煩雑にしてくれるHealthゲージと回復アイテムの存在など、なぜそこを前作から変えてしまったのかと頭を抱える要素が多い。

 ストーリーも前作に比べるとあまり出来が宜しくない。
 単純なヒーローモノになってしまったのはまあ目を瞑るとして、安い友情&復讐劇的な要素を入れる必要があったのかどうかは疑問が残る。開発者にとってはわるいなちすをブッ殺す以上に自分の殺人を正当化する理由が必要だったのか?
 俺は…カール・フェアバーンという男は、敵地のド真ん中に墓標を立てるような、形見の銃弾で敵を始末するような、そういう「プレイヤーに見せつけるような」手段で戦友の死に報いるようなヤツであって欲しくはなかった。任務にそういった私情を持ち込む男であって欲しくはなかった。
 ただ、戦争で兵士が死ぬのは当然のことなのだと。友軍が死んだくらいで心は動かんと、任務中は非情な態度で臨みつつ。任務を達成したあとで、ウィスキーのグラスを掲げながら「すべてが終わった。友よ…」と、誰にも聞こえない場所で一人呟くような、そんな男であって欲しかった。
 もっとも、「俺はお前とは違う」という言葉の真意がただの正義感(俺はお前よりもマシな殺人をしている、等)からではなかったことが若干の救いではあったが。エレベータ前のありがちな問答で軽く絶望しかけたので。

 プロットに関して言えば、ネタバレすると秘匿計画「疫病」とはかの有名な地上巡洋艦ラーテことP-1000の製造計画だったのであるが、これを知った途端、俺「これ放っといていいんじゃねぇかな…」と思っちまったんですが。
 だって、あれですよ。この、夢見がちな小学生か真正のキチガイしか思いつかないような、「超巨大でつよいせんしゃ!」について熱っぽく語るヴァーレン将軍のフィルムを見たときにですね。その、なんというか、うん…どうしようもなくいたたまれない気分になってですね、その。
 開発者(というか脚本家)的には、ラーテが一輌でも製造に成功すれば連合軍側に多大な被害が出た、という筋書きなんでしょうけども。こいつが一瞬でも実用に供される光景を想像しろっていうのは、いくらなんでも無理があるんじゃねぇかな…というか、あの製造工場からどうやって完成品を移動させるつもりだったんだ。



 まぁ、うん、その…全体的に、本作はいまいちだった。個人的にノリノリになれる舞台だった前作の大戦末期のベルリンと違い、あまり熱の入らない北アフリカ戦線という差もあったでしょうが、1ステージあたりのプレイ時間が丁度良くサクッとプレイできるV2に比べると、俺は本作を「前作より確実に進化した」などとは、ちょっと言えないんだよな。
 ただ最後の空港やラーテ工場(ただし前半部に限る)は割と楽しくプレイできたのは確かなんですが。それ以前の、詰みセーブを作りやすいオアシスや敵に囲まれてボコボコにされやすい寺院などのウンコマップで疲弊した心を癒すには不充分だった。
 というかカセリーヌ峠に関しては、そもそも観測手が狙撃手と別行動を取ること自体がとんでもないんだが、観測手が高所を陣取って狙撃手を地べたに這い回らせるってどういうことだよ。というかおまえらは通信器もなしにどうやって意志の疎通を計ってるんだよ!エスパーかよ!英国国教騎士団の吸血鬼か貴様ら!
 ちなみに「ブラウアーと合流せよ」のタスクが表示されたとき、展開的に今後彼を生かしておく必要がないこと、ここで円満に終わるなら即座にカットシーンに移行すればいいので「オイオイオイ死ぬわアイツ」と本能的に察知したら案の定死んで噴いた。



本文で述べなかった良点、スコープを撃つと破損するようになった
カルロス・ハスコックごっこが捗る









2015/10/05 (Mon)05:33

必殺の一弾はいま、キミの手に委ねられた







 どうも、グレアムです。先日SteamでセールだったSniper Eliteのトリロジーパックを購入しまして、今回Sniper Elite V2をクリアしましたのでレビューなどを書きたいと思います。はじめは一作目からクリアする予定だったんですが、さすがに今やるとけっこうキツく最初のステージでギブアップしてしまいました。デモ版は以前に何度かプレイしてたんですが、あれ後半かと思ってたのに最初のステージだったとは…

 プレイ前に有志の日本語字幕MODをダウンロードしたものの、どうも現在はデフォルトで日本語字幕が用意されているようなので不要?になってしまった。ストアページには日本語はサポートされていないと記載されているのだが、プロパティの言語タブに日本語(Japanese)の項目がしっかりあるので、じつは無意識のうちにMODを導入していた…というオチではないと思う。ただゲーム開始前のメニュー(メインメニューではない)で文字が表示されない不具合があり、そこだけちょっと不便かもしれない。

 本作は狙撃ゲーということで、距離や風による弾道の変化や音に紛れて狙撃するといったフィーチャーはあるものの、根幹はアーケードライクなシューターであり、旧OFPやARMAのような立ち回りの自由度を期待すると肩透かしを食らうことになる。
 基本的には一本道で、ルート選択の自由度は多少ながら存在するものの、たんに道が枝分かれしているだけで「どのルートを使えば有利になる」というようなデザインにはなっていない。先述の「環境音で銃声をカモフラージュする」という要素もいつでも利用できるわけではなく、すべての敵を射程距離が短く携行弾数も少ない消音ピストルで倒すのでなければ、銃声を立てた時点ですべての敵がこちらを認識し猛追してくるという状況を変えることはできない。
 狙撃がメインながら100m前後での撃ち合いが多く、ロングレンジでの精密狙撃をするシーンが皆無&なぜかクローズドレンジでの接敵や屋内を進むシーンが多いあたりは、さしずめ「TPS版のSilent Scope」といったところだろうか。
 個人的には広域を見渡せる高所からの狙撃シーケンスがほとんどなかったことが不満だが、それを除けば、最初から「そういうゲームだ」と割り切ってプレイしたため、上記の難点もあまり不満に思うことはなかった。所謂バリューゲー的な楽しみ方ではある。

 俺がこのゲームを褒めるとすれば、それはやや悪趣味ととれなくもない人体破壊描写(もちろん大好きだが、本作におけるそのテの描写に関してはすでに方々で語り尽くされており、あえていまさら書こうという気は起きない)についてではなく、意外にもストーリーに関してだ。
 V2ミサイルに関わる陰謀の阻止、というので、プレイ前は「どうせわるいなちすを成敗する正義のアメリカン・ヒーローものだろ?そういうのはもう飽きたよ。まあ、いいけどさ…」と思っていたのだが、そのありきたりな予測はゲーム開始時に早々と裏切られることになる。
 Sniper Elite V2とは…大戦末期、ベルリン陥落を目前にアメリカは積極的にドイツの技術や技術者の保護を進めていたのだが、中にはソ連への亡命を考える技術者もおり、主人公であるOSS機関員カール・フェアバーンはソ連への技術拡散を阻止するため技術者の暗殺を目論む、というプロット。
 なんというか、とんでもない話である。当時まだ同盟国であったにも関わらず、すでにアメリカはソ連を最大の仮想敵国と見做しており、かの国が少しでも有利になることを阻止するため積極的に妨害する、というのである。またソ連も新型の化学弾頭を搭載したV2ミサイルをドイツ最後の抵抗に見せかけてベルリンに撃ち込もうとするなど、とんでもなさは引けを取らない。
 基本的に本作で敵対するのはドイツ兵なのだが、アメリカは、というか主人公にとってはすでに死に体であるドイツのことなんか眼中になく、実質的な敵はソ連なのである。第二次世界大戦を舞台にしたゲームで、アメリカとソ連が戦うのである。これが斬新でなくしてなんであろうか。
 そういった展開が、本作ではじつに淡々と進行する。主人公はあくまで国益のために行動しており、そこに善悪の概念だとか、逡巡や良心の呵責は存在しない。ストイックなのである。ドライなのである。
 カール・フェアバーンにとって、ドイツは、ナチスはたんなる敵国に過ぎない。他のゲーム、あるいは映画にありがちな「地獄からやってきた邪悪な悪魔大軍団ザ・絶対悪ナチス」ではないのである。またソ連への技術拡散を阻止するのも、あくまでそれが「アメリカの国益に反するから」であり、「悪の大国ソ連の邪悪なる野望を阻止すべく正義のため」ではないのである。
 本作では誰も、善だの悪だの、正義だのといった言葉を口にはしない。ドイツの科学者も、このテの作品にありがちな「無理矢理やらされた」「本当はこんなことしたくなかった」「後悔している」だのといった寝言をほざくことなく、あくまでそれぞれが自分の信念(あるいは利益)に従って行動している。
 そんな本作の空気が、俺にはとても心地よかった。厨二病と揶揄す声もあろうが、俺は自分を正当化できなければ人も殺せないようなヒーローに用はないんである。

 はじめは「大戦末期のドイツが舞台なら大抵のことは許せる」程度の気持ちではじめたんですが、意外なところで感心させられたので、本作への評価は当初の印象からけっこう上方修正されました。
 とはいえ本作の一番楽しい部分は「狙撃」そのものにある、というのは変わらず、スローモーションで弾丸を追尾し人体が破壊される様子(そして宙を舞う潰れた弾頭)を見るのがたまらなく楽しい、という一点において代替のきかない作品だというのは強調しておかなければならないでしょう。
 個人的に一番気に入っている狙撃はヘッドショット…ではなく、腰にぶら下げた手榴弾を狙った爆殺。これが本当に派手で楽しいんですが、そもそも手榴弾を携行している敵があまり多くなく、狙える角度もかなり限定されるので、なかなか実行できる機会が少ないのが残念です。
 …そういえば、まだキ○タマ・ショットを一度も成功させたことないな。あれどうも単純に股間を撃っただけでは発動せず、精密にキ○タマを狙わないといけないらしい。本当にできんのか、これ。



ヘッドショット?そんなのは生温いぜ!













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